【数学Ⅲ】極限計算の原則確認と直観的な理解をしよう!

どうも, みなさんこんにちは。高橋佳佑です。
今回は数学Ⅲで学習する極限についてお話します。
極限という分野は大きく分けて、数列の極限、関数の極限の2つがあります。
これらの極限計算の原則と、直観的なイメージから結果が得られる場合があることをここで紹介しましょう。
なお, この記事内で$n$を正の整数とします。

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∞はとても大きいという意味の記号

$a_n=n$で与えられる数列$\{a_n\}$について考えてみましょう。
具体的に数列の項を書きだすと下のようになります。$$1, 2, 3, \cdots\cdots, 1000, \cdots\cdots, 100000, \cdots\cdots$$番号$n$が大きくなればなるほど数列の項$a_n$は際限なく大きくなります。

このことを, とても大きいことを意味する記号$\infty$を用いて$$\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}n=\infty$$と表し, $\{a_n\}$は(正の無限大に)発散するといいます。

関数$f(x)=x$に対しても, $x$の値を大きくすればするほど関数値$f(x)$は際限なく大きくなるから
$$\lim_{x\to\infty}f(x)=\lim_{x\to\infty}x=\infty$$と表し, $f(x)$は(正の無限大に)発散するといいます。

同様に, $a_n=\sqrt{n}$や$a_n=n^2$に対して, $$\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$$となり, $f(x)=x^{\frac{3}{2}}$, $f(x)=x^4$に対しても$$\lim_{x\to\infty}f(x)=\infty$$となります。

したがって, $a_n=n^2+\sqrt{n}$や$f(x)=x^4+x^{\frac{3}{2}}$は, $n\to\infty$, $x\to\infty$とすると$\infty+\infty$すなわち$\infty$となります。

さらに, $a_n=-n$や$f(x)=-x$のとき, $n$や$x$を大きくすればするほど$a_n$や$f(x)$の値が小さくなることを
$$\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}(-n)=-\infty$$$$\lim_{x\to\infty}f(x)=\lim_{x\to\infty}(-x)=-\infty$$
と表し, これを(負の無限大に)発散するといいます。

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\cfrac{1}{n}$や$\displaystyle\lim_{x\to\infty}\cfrac{1}{x}$は収束する

数列$\{a_n\}$や関数$f(x)$において, 極限を考えたときに特定の値に近づいていくことを, 収束するといいその値を極限値といいます。

例えば, $a_n=\cfrac{1}{n}$で与えられる数列$\{a_n\}$について考えてみましょう。
具体的に数列の項を書きだすと下のようになります。$$1, \cfrac{1}{2}, \cfrac{1}{3}, \cdots\cdots, \cfrac{1}{1000}, \cdots\cdots, \cfrac{1}{100000}, \cdots\cdots$$
番号$n$が大きくなればなるほど数列の項$a_n$は$0$に近づきます。

このことを$$\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}\cfrac{1}{n}=0$$と表し, $\{a_n\}$は$0$に収束するといいます。

関数$f(x)=\cfrac{1}{x}$に対しても, $x$の値を大きくすればするほど関数値$f(x)$は$0$に近づくから
$$\lim_{x\to\infty}f(x)=\lim_{x\to\infty}\cfrac{1}{x}=0$$と表し, $f(x)$は$0$に収束するといいます。

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\cfrac{2}{n}$や$\displaystyle\lim_{x\to\infty}\left(-\cfrac{3}{x}\right)$も$0$に収束します。

これらを使っていろいろな極限を考えてみましょう。

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極限計算の原則は収束する項をつくること

ここでは具体的な極限計算をしてみましょう。

極限計算の原則
    まずは$n\to\infty$や$x\to\infty$とする。極限が分からなければ,収束する項をつくる。例えば, $\cfrac{1}{\infty}$となる部分が作れれば, それを$0$として計算することができます。

$a_n=\cfrac{6n-1}{2n+3}$や$f(x)=\cfrac{2-9x}{3x+4}$について, $n$, $x$を$\infty$にしてみましょう。
$n\to\infty$のとき, $$6n-1\to\infty, 2n+3\to\infty$$ですから$$\lim_{n\to\infty}\cfrac{6n-1}{2n+3}=\cfrac{\infty}{\infty}$$となります。
$x\to\infty$のとき, $$2-9x\to-\infty, 3n+4\to\infty$$ですから$$\lim_{n\to\infty}\cfrac{2-9x}{3x+4}=\cfrac{-\infty}{\infty}$$となります。

$\infty$はとても大きいことを表す記号なので約分できません。このままでは値が定まらないので不定形と呼ばれます。

このような分数式の場合, 分母の最高次数に注目しましょう。

今回はともに分母は$1$次式になっています。このとき分母と分子に$\cfrac{1}{n}$, $\cfrac{1}{x}$をかけます。

つまり,$$a_n=\cfrac{6n-1}{2n+3}=\cfrac{(6n-1)\times\cfrac{1}{n}}{(2n+3)\times\cfrac{1}{n}}=\cfrac{6-\cfrac{1}{n}}{2+\cfrac{3}{n}}$$$$f(x)=\cfrac{(2-9x)\times\cfrac{1}{x}}{(3x+4)\times\cfrac{1}{x}}=\cfrac{\cfrac{2}{x}-9}{3+\cfrac{4}{x}}$$
とします。これで, $\cfrac{1}{\infty}$となる部分が作れました。よって, $$\lim_{n\to\infty}a_n=\cfrac{6-\cfrac{1}{n}}{2+\cfrac{3}{n}}=\cfrac{6-0}{2+0}=3$$$$\lim_{x\to\infty}f(x)=\cfrac{\cfrac{2}{x}-9}{3+\cfrac{4}{x}}=\cfrac{0-9}{3+0}=-3$$
となり, ともに収束することが分かりました。

次に, $a_n=\cfrac{n+1}{n^2+n+1}$や$f(x)=\cfrac{x^3+x+1}{2x^2+x+2}$について考えてみましょう。

分母の最高次数はともに$2$ですから, 分母と分子に$\cfrac{1}{n^2}$, $\cfrac{1}{x^2}$をかけます。

つまり,

$$a_n=\cfrac{n+1}{n^2+n+1}=\cfrac{(n+1)\times\cfrac{1}{n^2}}{(n^2+n+1)\times\cfrac{1}{n^2}}=\cfrac{\cfrac{1}{n}+\cfrac{1}{n^2}}{1+\cfrac{1}{n}+\cfrac{1}{n^2}}$$
$$f(x)=\cfrac{(x^3+x+1)\times\cfrac{1}{x^2}}{(2x^2+x+2)\times\cfrac{1}{x^2}}=\cfrac{x+\cfrac{1}{x}+\cfrac{1}{x^2}}{2+\cfrac{1}{x}+\cfrac{2}{x^2}}$$

とします。これで, $\cfrac{1}{\infty}$となる部分が作れました。

よって,

$$\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}\cfrac{\cfrac{1}{n}+\cfrac{1}{n^2}}{1+\cfrac{1}{n}+\cfrac{1}{n^2}}=\cfrac{0}{1}=0$$

となります。また, $f(x)$については$x\to\infty$のとき$\cfrac{\infty}{2}$となり, これは$\infty$ですから

$$\lim_{x\to\infty}f(x)=\lim_{x\to\infty}\cfrac{x+\cfrac{2}{x}+\cfrac{2}{x^2}}{2+\cfrac{1}{x}+\cfrac{2}{x^2}}=\infty$$
となります。

以上のように極限計算の原則は, 収束する項を作ることです。

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高次数の項を優先して直観的に極限計算する

$n\to\infty$のとき, $n$も$n^2$も$\infty$に発散しますが, 直観的にも$n^2$の方が$n$よりも大きいのは分かるでしょうか。

$n$が$1$億のとき, $n^2$は$1$億の$2$乗となり, $n$も確かに大きいですが$n^2$と比べるとまだまだ小さいです。したがって, $n$は$n^2$と比べたとき無視できる埃のような存在と見なせます。

この直観的なイメージを利用して極限計算をしてみます。
例えば$n^2+n$の極限を考えるときは$n^2+$(埃)と考えることができます。

以下, (埃)を$\cdots\cdots$と表すことにすれば,

$a_n=\cfrac{6n-1}{2n+3}$や$f(x)=\cfrac{2-9x}{3x+4}$は

$$\lim_{n\to\infty}\cfrac{6n-1}{2n+3}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{6n\cdots\cdots}{2n\cdots\cdots}$$$$\lim_{n\to\infty}\cfrac{2-9x}{3x+4}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{\cdots\cdots-9x}{3x\cdots\cdots}$$となります。すると極限は, 約分して$$\lim_{n\to\infty}\cfrac{6n\cdots\cdots}{2n\cdots\cdots}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{6\cdots\cdots}{2\cdots\cdots}=3$$$$\lim_{x\to\infty}\cfrac{\cdots\cdots-9x}{3x\cdots\cdots}=\lim_{x\to\infty}\cfrac{\cdots\cdots-9}{3\cdots\cdots}=-3$$となります。

$a_n=\cfrac{n+1}{n^2+n+1}$や$f(x)=\cfrac{x^3+x+1}{2x^2+x+2}$については,

分母は分母, 分子は分子で同様に考えれば,$$\lim_{n\to\infty}\cfrac{n+1}{n^2+n+1}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{n\cdots\cdots}{n^2\cdots\cdots}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{1\cdots\cdots}{n\cdots\cdots}=0$$$$\lim_{x\to\infty}\cfrac{x^3+x+1}{2x^2+x+2}=\lim_{x\to\infty}\cfrac{x^3\cdots\cdots}{2x^2\cdots\cdots}=\lim_{x\to\infty}\cfrac{x\cdots\cdots}{2\cdots\cdots}=\infty$$となります。

根号を含んだ式や分数場も同様に考えることができます。例えば$\sqrt{4n^2-n}$は$n$が十分大きいとき, $$\sqrt{4n^2-n}=\sqrt{4n^2\cdots\cdots}=2n\cdots\cdots$$のように$1$次式と見なせます。したがって, $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\cfrac{8n}{\sqrt{4n^2-n}+2n}$は$$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\cfrac{8n}{\sqrt{4n^2-n}+2n}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{8n}{2n\cdots\cdots+2n}=\lim_{n\to\infty}\cfrac{8}{2\cdots\cdots+2}=2$$と計算できます。

このように最高次数の係数に注目して極限計算することができます。
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おわりに

今回は数学Ⅲで学習する極限についてお話しました。上で紹介したもの以外にも不定形の解消方法や, 収束する極限の公式があります。
どんな場合であっても収束する項をつくるという原則は忘れてはいけません。

関数の極限値を計算できるようになると、あらゆる関数の導関数を求めることができるようになるため、微分法に話が進んでいきます。極限は微積分学の入り口にあります。是非, いろいろな極限を計算してみて下さい。

それでは, 今回はこの辺で!

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