【数学Ⅰ】重要問題「二次方程式の解の配置問題」の原則を確認しよう

どうも, みなさんこんにちは。
高橋佳佑です。

前回は「不等式の成立条件」をグラフのイメージにより解く方法をお話ししました。


今回は入試でも頻出テーマである方程式について, 特に「二次方程式の解の配置問題」についてお話しします。
数学Ⅰの「二次関数」の単元以外にも適切な置き換え等することでこの問題に帰着することが多いので, 絶対に理解しておきたいです。
ここでは解法の原則を確認します。

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判別式について

数学の分厚い問題集は「問題辞書」として利用しよう教科書では, 二次方程式\(ax^2+bx+c=0\)において\(b^2-4ac\)を判別式といい, \(D\)で表すことになっています。これは, 解の公式の\(\sqrt{ }\)の内部になっているので, \(D\)の符号を調べれば解の種類が分かります。

解の種類
  • \(D>0\)⇒異なる2つの実数解
  • \(D=0\)⇒重解
  • \(D<0\)⇒実数解なし

また, \(x\)の係数が\(2\times\)と表せる場合, すなわち\(ax^2+2b'x+c=0\)のとき, 判別式を\(D\)とすると\(D/4=b'^2-ac\)となり, 計算が少し楽になります。

「二次方程式の解の配置問題」の原則

下の例題を見てください。

例題

二次方程式\(x^2-2ax+a=0\)が異なる異なる2つの正の解をもつ定数\(a\)の値の範囲を求めよ。

このように二次方程式が特定の範囲に解をもつ条件を考える問題を「二次方程式の解の配置問題」といいます。

方程式の実数解はグラフの共有点の\(x\)座標に対応しますから, 方程式に関する出題はグラフに対応させて考えるのが原則です。
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方程式の条件をグラフの条件に言い換える

方程式の条件をグラフの条件に言い換えましょう。
今回の場合は放物線\(y=x^2-2ax+a\)が\(x\)軸と\(x>0\)の部分で異なる2点を共有すると言い換えられます。

まずはグラフをイメージしてみましょう。条件を満たすグラフは下のようになります。

条件を立式する

では実際に, グラフが上のようになる条件を立式してみましょう。

問題にもある通り, 方程式が「異なる2つの実数解をもつ」ことを考えると, これは判別式が正またはグラフの頂点の\(y\)座標が負ということになります。

したがって

$$D/4=a^2-a>0$$

という式が成り立ちます。

軸の条件を考える

ただ, このままでは下の図のように条件を満たさないグラフになる場合があります。

グラフの軸\(x=a\)が定まっていないので左右に動いてしまいます。そこで, 左右の動きに制限をつけるため軸の条件を考えます。

条件を満たすグラフの軸は\(x>0\)の範囲にあるので

$$a>0$$

という式が成り立ちます。

境目の値を考える

しかしこれではまだ条件を満たさないグラフがあります。

これらの違いは, 境目の符号です。今回は$x>\color{red}{0}$の範囲に共有点をもつ条件ですから, 境目は\(x=0\)と考えます。\(x=0\)のときの符号に注目すると, 条件を満たすのは

$$0^2-2a\cdot0+a>0$$

のときです。

以上をまとめると

$$\begin{cases}a^2-a>0\\a>0\\0^2-2a\cdot0+a>0\end{cases}$$

となります。これを解いて, 求める範囲は\(a>1\)となります。

二次方程式の解の配置問題の原則

ここで二次方程式の解の配置問題の原則をまとめます。

二次方程式の解の配置問題の原則

方程式の条件をグラフの条件に言い換え, 3つの条件を調べる。

  1. 上下:判別式
  2. 左右:軸
  3. 端点値:境目の値

これら3つの条件から放物線の位置が決まります。

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二次方程式の解の配置問題の原則を確認する「実践問題」

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【数学Ⅰ】重要問題「二次方程式の解の配置問題」の原則を確認しよう

実践問題

上で紹介した原則を使って次の問題を解いてみましょう。

例題

二次方程式\(x^2+2px+p+2=0\)が\(0\leqq x\leqq2\)の範囲に異なる\(2\)つの解をもつ\(p\)の値の範囲を求めよ。

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解説

まずは方程式の条件をグラフの条件に言い換えます。

「二次方程式\(x^2+2px+p+2=0\)が\(0\leqq x\leqq2\)の範囲に異なる2つの解をもつ」とき,
「放物線\(y=x^2+2px+p+2\)が\(x\)軸と\(0\leqq x\leqq2\)の範囲で異なる2点を共有する」。

これを満たすグラフは下の図のようになります。

次に条件を整理しましょう。

  1. 上下:異なる2つの実数解をもつことから判別式は正
  2. 左右:軸は\(x=0\)と\(x=2\)の間
  3. 端点値:\(x=0, 2\)のときの\(y\)はともに0以上

\(f(x)=x^2+2px+p+2\)の判別式を\(D\)とすると
$$D/4=p^2-(p+2)=p^2-p-2=(p+1)(p-2)$$
であり, 放物線\(y=f(x)\)の軸は\(x=-p\)なので求める範囲は,

\(D/4=(p+1)(p-2)>0\)
\(0<-p<2\)
\(f(0)\geqq0\)
\(f(2)\geqq0\)

よって, $-\cfrac{6}{5}\leqq p<-1$となります。

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おわりに


今回は「二次方程式の解の配置問題」の解法の原則についてお話ししました。

このテーマは頻出で, 今回紹介したような問題からハイレベルな問題までいろいろな難易度があり, 様々な解答方法が考えられます。いずれにしてもグラフがとても有効なので, 是非「方程式の実数解はグラフの共有点」ということを意識してください。

それでは,今回はこの辺で!

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