古文を受験生が得点源にするための年間ロードマップ

皆さんこんにちは、古文科を担当しております加藤と申します。

これまで多くの受験生の方々から、古文についての様々な疑問や悩みについて相談を寄せられてきました。

例えば、「古典文法はいつまでに終わらせなければいけないですか」、「古典文法や単語はしっかりやっているのに、読解問題になると点数が取れなくて困っています」、「過去問はいつから始めたらいいですか」……他にも単語は毎日どのくらいのペースで進めたらよいのか、古文常識はどのように学習すればよいのかなど、実に多岐に渡ります。

そこで今回は、これから本格的に古文学習を始める受験生の皆さんのために、「古文学習で必要な事柄は何か(古文学習の具体的イメージ確立)」、「何をいつまでに(時期)」、「何を使って(教材準備)」などをお伝えできればと思います。

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古文学習の重要ポイント

まず、古文を得点源にするためには、どのような学習項目をこなさなければならないのかを、本格的に受験勉強を始める前に整理しましょう。

古文の学習項目

などが挙げられます。これらはそれぞれ独立した分野というより、①から④の項目が、最終的に⑤の古文読解につながると考えてください。

読解のテクニックの習得も重要ですが、こつこつとした知識の積み重ねが確実な得点力につながります。「古文は難しい」というイメージを持っている方も、時間と努力によってしっかりと成績が上がる科目ですから、是非頑張ってくださいね。

時期別の古文学習イメージ

では、各項目の学習を進めていく上で、どのような教材を準備し取り組めばよいのかを、時期と共に見ていきましょう。

3月を学習のスタート地点と仮定して、入試までの10か月の学習は次のように示すことができます。

古文の学習イメージ
  1. 3月~5月:古文学習の準備と基礎力養成期
  2. 6月~7月:基礎力完成、読解力養成期
  3. 夏期講習期:基礎力再確認、読解力養成と実力チェック
  4. 9月~10月:実践力養成と本格的な入試問題対策への準備
  5. 11月~1月:過去問演習と実力完成

具体的に見ていきましょう。

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時期別の古文学習イメージ【3月~5月】:古文学習の準備と基礎力養成期

古文学習開始の上で、基本的なことですが非常に重要なことが、「自分が持っている教材を確認すること」です。古文単語帳・古語辞典・国語便覧、そして予備校に通っている方はそのテキスト集や参考書などを改めて整理してみましょう。

塾や予備校のテキスト、市販の参考書などで使いやすいものは数多くありますが、学校で配布されている学校採用専売品のテキストにも、非常に良質なものがあります。特に古典文法の副教材など、市販参考書に書いていない詳しい内容などもありますので、皆さんの学習の助けになるはずです。

これらは一般の書店では手に入らないものも多いので、学年が変わったりしても捨てずに活用してください。もちろん、紛失やそもそも配布されていないといった場合でも学習は可能ですから、安心してください。

古文学習のスタート時に用意しておくべき教材

では、具体的に用意しておくべき教材を紹介します。手元にないものは、書店などでの購入を検討してください。まず学習開始期に用意してほしいものを以下に示します。

古文の学習開始期に用意しておきたいもの
  1. 古文単語帳
  2. 古語辞典
  3. 古典文法参考書(解説メイン型)
  4. 古典文法参考書(問題演習中心型)
  5. 国語便覧

それでは、この基礎力養成期にそれぞれの学習項目についてどのように取り組めばよいかを具体的にお話したいと思います。

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【古文単語】現在使っている古文単語帳と古語辞典を用いた古文単語の学習

基本的に、現在使っている学校配布、市販や予備校配布のものを使用してよいと思います。学習習慣が単語テストの実施などで付いているものを使って頂くと、1冊やり切ったときの達成感も生まれるので、モチベーションにもなるでしょう。

多くの単語帳は300語以上のものが中心となっています。しかしながら過去問演習時期などになると、派生語を含めて単語帳に収録されていないものも出てくるため、必ず古語辞典も併用しましょう。

市販されている単語帳には良いものが数多くあるので、実際に使いやすそうなものを選んでください。
参考までに1冊ご紹介します。

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こちらは図やイラスト、例文も豊富で、学習し易い内容となっております。

古文単語は「3ヶ月で1周」を目安に受験当日まで学習を続ける

今回はロードマップということで、どのようなペースで進めていけばよいかを中心にお話させて頂きます。

単語学習は基礎力養成期のみで行うものではなく、年間を通じ受験の当日まで続けるものであるという認識を持ってください。入試会場で皆さん単語帳を確認していますよね、あのイメージです。

具体的に「1日どのくらい覚えればよいのか」ということについては

1日どれくらい覚えれば良いか
  • 1日に5語程度、週に30語程度
  • 月単位で換算すると100〜120語程度

となります。そうすると3か月で単語帳が1周学習出来たことになります。

「隙間時間を使う」「週に数を決めてまとめて覚える」など様々な方法がありますが、この基礎力養成期に「単語帳1周」が出来るとかなり理想的なペースです。

もちろん1周しただけで覚えきれる方はなかなかいないので、実力完成期まで繰り返し単語学習は取り組んでください。

【古語辞典】古語辞典を用意する

「古文で辞書は必要ですか」、「単語帳だけではだめですか」といった相談もよく頂きます。現在はスマホなどで検索も可能なので、必要ないのではないかと考える方もいます。

結論から申し上げると、「絶対に古語辞典は持っておいたほうが良い」です。古文の学習は語学学習と捉えてもらうとイメージが掴みやすいのですが、辞書があった方が圧倒的に獲得出来る語彙量に差が出ます。

おすすめなのはタイトルに「全訳」と入っている古語辞典

古語辞典を選択する際は、受験で用いることを前提とするならば、タイトルに「全訳」と入っているものがよいでしょう。現代語訳と原文との比較は非常に重要です。

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などが挙げられます。参考にしてみてください。

電子辞書でも構いませんが、私は紙の辞書を推奨しております。

付録のカラーページによる古文常識の獲得や和歌の修辞法の理解など、様々な部分で活用できます。また書き込みも可能ですから、マーカーを入れるなどの作業を伴う学習も可能です。

さらにコラムなども充実しているものも多く、古文の世界観が広がることで、こちらも古文常識の拡充に役に立つでしょう。

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【古典文法】2学期にはどんな文法問題が出ても絶対に失点しない状態を目指す

古文読解の要となるものがやはり単語と文法です。これは、なるべく早めに学習を終え、「2学期にはどんな文法問題が出ても絶対に失点しない」という意識を持ってください。

もちろんこれは極めて理想的な状態です。塾・予備校でも2学期に文法の授業が行われているところはたくさん存在します。しかし、「学校や予備校の授業が文法面ではすべて復習になっている」ということは、とても良い状態でしょう。

習得すべき文法項目を細分化すると、多くの学校・塾、予備校では以下の通りに進めることが多いようです。

習得すべき文法項目
  1. 古文導入、歴史的仮名遣い
  2. 用言の習得(動詞・形容詞・形容動詞)
  3. 助動詞
  4. 助詞
  5. (敬語)
  6. 識別
  7. (和歌)

カッコで示したものは、教授者によって比較的実践時期が異なるため。もちろん、不必要というわけでは決してありません。

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学習開始3か月までに助動詞習得することを目指したインプットとアウトプットを行う

「古典文法学習を始めよう」と決めた日からまずは文法系等で解説メインのテキストをしっかりこなしましょう。それがインプットの作業になります。

次にアウトプットとして問題演習型テキスト(例えば古典文法ドリルなど)をこなして、「自分の古典文法の理解力はどの程度なのか」を確認するしましょう。その際には、必ず現代語訳もチェックしてくださいね。

そして目標は学習開始3か月までに助動詞習得です。
少しハードスケジュールのように見えますが、ここが頑張り時です。次の読解力養成期につながりますので、学習を進めていきましょう。

やや早めに文法を修得しなければならないのは、2学期から読解力養成と文法の新規学習を行ことは負担がとても大きいためです。目安としては、

5月末までの文法学習目安
  1. 歴史的仮名遣い、用言(動詞・形容詞・形容動詞)
  2. 助動詞完成(可能なら助詞・敬語まで)

を5月末までに行ってください。プレッシャーに感じて欲しくはないのですが、文法問題は全受験生の正答率は高いです。ですから、文法単独問題での失点は避けるように、気を引き締めていきましょう。

【古文常識】国語便覧を活用する

古文では、季節に特有な動植物、年中行事など、多様な項目が出てきますし、時に設問に関連したりもします。
一方で、「千年前の生活習慣なんて分からない」「何を使ってどのように勉強したらよいか分からない」という悩みを抱えている方もいることでしょう。

そうした問題を広く解決しくれるツールが国語便覧です。

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もし学校などで配布がないのであり、購入を迷っているのであれば、迷わず購入しましょう。現代文や漢文などの知識も含まれているので、国語学習の上で損はしません。

個人的には図説でひたすら国語は勉強していた思い出があります。

最近は受験生向けだけではなく、社会人向けの便覧も増えているようですね。古文もしっかり読解出来ると楽しくなってきますし、昔の人の生活と現代の生活との差を知ることは、純粋に面白いことです。

そして古文常識についても「何をやったら終わり」という結論は出ません。読解のための、2学期以降に続く分野、または直前まで続く内容のためのものだと思って下さい。

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時期別の古文学習イメージ【6月~7月】:基礎力完成、読解力養成期

ここからは古文単語学習の継続、古典文法の学習に加え、読解に取り組みたいという受験生の方も増えてきます。
ですが、何より文法力、単語力を最優先してください。

この時期は模試、定期テストなど様々な試験が多いと思います。それでも、「夏終わりまでに文法習得していないと困る!」というイメージは共有しましょう。そしてある程度の単語力、文法理解が進んできたら、短文の品詞分解を行っていくことが更なる古文の実力を高めていきます。

【古文単語・古典文法】

古文単語の学習は2周目、そして文法は助詞、敬語法、識別、あわよくば和歌まで1周しておくことがとても望ましいです。

私も受験生の皆さんには、「夏の終わりまでにはどんな文法問題を聞かれても正解できるようにしてね」と、ちょっと辛そうなことをサラッと言っています。しかし、2学期の自分に弾みをつけるためにここが頑張り時です。

では、この時期に習得すべき文法項目を整理しましょう。

この時期に習得すべき文法項目
  1. 助動詞の復習
  2. 助詞
  3. 敬語法の理解
  4. 識別
  5. 和歌の修辞法

これらがすべてこなせていると、次の【古文読解】への橋渡しがスムーズです。

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【古文読解】品詞分解を意識した短文解釈を行う

古文を読解していく上で、「品詞分解」を重要視する先生方は多いと思います。私も現代語訳問題などの時には、必ず品詞分解を行ってくださいとお願いしています。

学校の先生方が、黒板に本文を板書し、時折スラッシュをうって品詞や意味、活用形などを書かれているのを経験した方もいるでしょう。あのイメージです。

品詞分解は、「どこまでが一単語なのが」を知るだけではなく、「どの単語と単語が意味上関連性のあるものなのか」を理解する上でとても重要です。特に国立系や私大の現代語訳などでは必須テクニックとなります。

学習開始3か月までに助動詞習得することを目指したインプットとアウトプットを行う

しかし、学習始めたての時期に「品詞分解」を行うはなかなか難しいと思います。単語の知識も勿論ですが、動詞や助動詞などの活用などを知らないと、間違った箇所で単語を切ってしまいがちです。

そのため、単語の知識や文法理解も進んだこの時期は短文解釈に力を入れましょう。短文解釈は、その一文だけ理解すればよいのではなく、全体の理解に今後つながっていくものなので、文法や単語の理解のためにも大切なものだと捉えてください。

独学の場合はレベル別の読解問題集に取り組む

塾や予備校に通っている方は、この時期すでに読解に入っている方も多いと思いますが、独学の方は、レベル別の読解問題集などで始めて行くのが良いかと思います。

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取り組むことで、自分がどの程度古文読解ができるのかに加え、自分の現在位置を知る座標となります。読解のテクニックなども収録されているので、参考にしてみてください。

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【文学史・古文常識】読解演習とともに便覧で確認する

このジャンルは学校、予備校の先生の知識や授業にかける重みが多そうですが、毎日こつこつ読み込んでいきましょう。

特に文学史など、読解演習を始めたときが学習のチャンスです。便覧などであらすじや成立年代、ジャンルなどを覚えていきましょう。

古文常識に関する参考書もありますが、学習法の項目で後日ご説明しましょう。

時期別の古文学習イメージ【夏期講習期】:基礎力再確認、読解力養成と実力チェック

「夏は……」など様々な言葉や比喩が付きますが、古文では実践して頂きたい項目は意外に1学期と大きな変化はありません。

夏期講習期取り組むべき内容
  1. 古典文法再復習(2周目)
  2. 古文単語再確認
  3. 授業の復習(学校・塾・予備校)
  4. 古文常識の再確認、さらなる獲得
  5. 敵を知る(過去問、共通テスト演習)

ここで大切なことは、現在の自分の実力を知ることです。「模試を受けた、結果が悪かった、もうだめかな」なんて思わないでください。そもそも、習っていない、またはあやふやなままで受けた点数が少ないなんて気にしないでください。
「確実に勉強したのに、なぜ」と思うところだけ悔しいと思って下さい。

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模試の結果で志望校を下げるのはもったいない

予備校講師を続けていて、本当に切ないことは、生徒さんが「もう無理だ」と諦めてしまうことです。「模試の結果が悪かったから志望校を下げる」などの相談もよくいただきます。

でも、よく考えてください。国立等なら共通テストの結果で志願先を変更するのは「戦略的志願変更」と言えます。ですが模試の結果で志望校を下げるというのは、少しもったいない気もします。高校受験と違って、何校でも受けられるわけですから。

私は受験生の頃、また現在でもこのように考えています。「合格最低点を1点でも超えれば、その大学の学生になれる」と。
忘れないでほしい、皆さんからすればちょっと先輩からのメッセージです。

過去問は志望大学の他学部の問題を解いて「レベルを知る」程度に活用する

追記。「過去問やらなきゃ!」って焦っている人も多いでしょう。過去問は、「レベルを知る」くらいならこの時期にやっておくのはおすすめです。

例えば「絶対受けない他学部」など。総合大学であれば傾向も近いでしょうから、自分の実力を測るためにもおすすめ(早稲田など学部や出題形式が違うものは確認しましょう)かもしれません。ただ、第一志望校の最新年度を解くことは(先生によって流派が違うのは理解しています)私はあまり勧めておりません。

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時期別の古文学習イメージ【9月~10月】:実践力養成と本格的な入試問題対策への準備

もう、本当にこの時期に寄せられる相談が「古文ができない」、「読解ができない」、です。気持ちはすごく分かります。勉強してきた結果が右往左往することは、辛いことですね。

  • 単語は完璧とは言えないけどある程度覚えた。
  • 古典文法は何を質問さても大丈夫

なのに、何で古文の点数が伸びないのか、悩む受験生も多いでしょう。
でも大丈夫心配しないで。それまで培ってきた実力は、決して無駄なものではありません。

それを解決する必要条件が古文常識の学習とと古典文法の復習です。

【古文常識】【古典文法】古文常識を重視し、国語便覧を活用する

実践力養成期には、古文常識を本当に大切にしてください。学校の授業や塾・予備校など、様々な分野で古文常識に触れる機会はあると思います。もしなければ先の便覧をご参照ください。

そして古典文法の接続助詞・敬語法を中心に完璧に復習してください。

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時期別の古文学習イメージ【11月~1月】:過去問演習と実力完成

古文単語・古典文法については引き続き取り組んでください。少なくともこの時期までに文法は完成させましょう。
復習を欠かさず、文法問題での失点をなくさないようにしましょう。

【過去問演習】過去問演習を読解学習に取り入れる

本番直前に単語、文法などの確認をしましょう。最後の最後まで、努力を忘れずに行きましょう。

また、過去問演習を読解学習に取り入れられると最適だと思います。さらに各予備校から共通テスト実戦問題集などを刊行されており、それを活用するのも良いと思います。

その活用など、メソッドについては別の機会でご紹介させて頂けたら幸甚です。

質問できる先生を作ることを忘れずに

古文の勉強を、少しでも苦になく行っていただきたい願いは私としては望ましいことですが、ただ学習環境として「その科目については何でも質問できる」ことが大切だと思っています。ですから、質問できる先生を(科目の枠をこえて)作っておきましょう。

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※本記事はプロモーションを含む場合があります。

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