国風文化(前編)――佐京由悠の日本文化史重要ポイント

受験生の皆さま、お疲れ様でございます。
日本史科の佐京でございます。今日は「日本文化史重要ポイント」の第5回、国風文化の前編をお送りしたいと思います。

国風文化の基本情報

☆キホン情報の整理
時期:10世紀~11世紀
政治史的理解:藤原北家による摂関政治期を含む時期
中心人物:藤原道長
外交史的理解:菅原道真による遣唐使停止の建議。しかし中国との民間交流は活発。
仏教史的理解:浄土教の成立
・中心寺院→平等院鳳凰堂

前回扱った弘仁・貞観文化が平安初期、桓武・嵯峨天皇の時代の文化でした。
今回は時代が下り、10世紀から11世紀、藤原北家による摂関政治の時期を中心とした時期の文化です。

文化史の本論に入る前に、前編の今日は「摂関政治」「国風」の意義について触れておきましょう。

 

摂関政治


藤原北家による「摂関政治」とは、藤原氏の氏長者(藤原氏のトップ)が摂政関白に就任して国政を掌握する政治形態です。

ここで「摂政」「関白」の意義を確認しておきましょう。

Point 摂政・関白
摂政=天皇が幼少などの時に、その政務を代行する役職
関白=天皇が成人後に、その政務を補佐する役職

摂政は「政」を「摂る」ので「代行」、関白は「あずかもうす」なので「補佐」と理解しておけば間違いませんね。

 

外戚政策

さて、この摂政・関白、上で述べた通り、最高権力者である天皇に多大な影響力を持つ役職ですよね。
藤原氏は権力を掌握するためにこの摂政・関白に目をつけるわけです。

すなわち、自らの娘を天皇に嫁がせ、天皇と娘の間に生まれた子が天皇として即位すれば、自分は天皇にとっての「お母さんのお父さん=(母方の)おじいちゃん」(外祖父という)として天皇に影響力を及ぼすことができるのです。

これを外戚政策といいます(外戚=母方の親戚)。

当時の貴族社会においては、夫は妻の父の庇護を受けたり、子どもは母方の手で育てられるなど母方との結びつきが重視されていたことからしても、外戚政策は藤原氏にとって「合理的」であると言えるでしょう。

*摂関政治について詳しくはコチラ

 

摂関政治と外戚政策

さて、摂関政治においては藤原氏が天皇のもっとも身近な親戚として、天皇の権威のもと、政治権力を握っていくのです。

ここで、天平文化の記事で述べたことを思い出してください。

平安時代にはなぜ幼帝が多くなるのでしょうか。

もうわかりますよね。

摂関政治(そしてこれはこのあとの院政も、ですが)は天皇ではなく「天皇の周りのオトナたち」が権力を握っていきます。天皇の個性は問題にならず、その結果、幼帝が多くなるのです。

だって(自分の娘の子であれば)誰でもいいんだもん。

 

「国風」の意義


さて、今回の「国風文化」、いつも何度でも聴く言葉だと思いますが、その意味はなんとなくおわかりでしょうか?

日本の学校の授業では「国語」の授業があります。そこでは日本語の文章を主に読みますよね。
では、「国風」とは?

なるほど、日本風なんてところでしょうか。
ちなみに「日本史」のことを「国史」と呼んだ時代もありました。

 

「日本」風の文化?

さてこの「国風」文化。よく「わかりやすい」説明としてなされるのが、

“遣唐使の停止→中国からの影響が途絶える→今までのように中国からの影響を受けなくなった→日本風!”

という思考フローです。

では、「日本」風とは一体何でしょうか。

いままでの飛鳥文化や天平文化は「日本」風ではなかったのでしょうか。
そうであるとして、中国文化の影響を受けなくなったらそれは「日本」風になるのでしょうか。

 

「国風文化」とは何か

意地の悪い書き方をしてしまいましたが、まさに「国風」に宿る論点はここにあります。

先ほどの「わかりやすい説明」のような単純素朴な見方はさまざまな観点から否定されざるを得ないでしょう。

いままでの連載でお話ししてきたように「日本文化」なるものは他の地域の文化同様、海外、特に東アジアからの影響を受け続けてきたわけでこれを無視することは到底できないし、「遣唐使中止」というイベントがあったとて「中国との民間交流は活発」に行われていたわけですから(キホン情報の整理を今一度ご確認ください)。

実際、「国風」文化とは、10世紀までの中国文化の吸収・定着を土台としながらも、これを咀嚼し、アレンジしていった文化といえるでしょう。

このように理解すると、後編で述べる文学や美術などの各論がよりとらえやすくなります。
それでは今日はこの辺で。


「佐京由悠の日本文化史重要ポイント」
第1回 初の仏教文化、飛鳥文化
第2回 国家仏教の形成と白鳳文化
第3回 鎮護国家思想と天平文化
第4回 弘仁・貞観文化
第5回 国風文化(前編)

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