
皆さんこんにちは。
今回は2022年度から履修が始まった新しい科目・歴史総合を学んでいる方々へ、この科目を学習する意義についてお伝えしていきます。
目次
近現代を中心に探究型の学びが求められる「歴史総合」
歴史総合は、おおよそ日本史3割・世界史7割の割合で両方をブレンドした、近現代史中心の教科となります。歴史総合では日本史・世界史の関連性に留意しながら、歴史に関する資料を読み解いたり、さまざまな「問い」を検討する、いわゆる探究型の学びが求められます。よく言われるような「歴史は所詮暗記モノ」というイメージからの脱却ですね。
また歴史総合は、近現代の歴史を世界と日本の関わりの中で学びながら、今の社会がどうつくられてきたのかを理解し、そこから「これから自分たちはどう生きるのか」を考える力を育てていく科目ということもできます。
単なる知識ではなく大学入試や就職活動においても重視される能力を育てる
こうした学びを通して身につくのは、単なる知識ではなく、「自ら問いを立て、複数の視点から物事を考え、根拠に基づいて判断し、自分の言葉で表現する力」です。これらの力は、大学入試や就職活動においても重視される能力です。
例えば、総合型選抜や学校推薦型選抜では、志望理由や課題に対して自分の意見を述べる力が求められます。歴史総合での学びを通して得た思考の深さや表現力は、そうした場面でも評価されるでしょう。
歴史総合で身につけた力は社会に出た後も活かされる
社会に出た後もこの力は活かされます。ニュースや国際情勢を見た際に、背景にある歴史や構造を理解できることや、ビジネスや仕事の中で異なる価値観を持つ人々と議論し、納得解を見いだす力といったスキルは、どの分野でも必要とされる「土台」です。
そもそも戦争や格差、移民問題や環境問題といった現代世界の課題は、ある日突然に立ち起こったものではありません。それぞれに「過去から積み重なってきた理由」があり、その背景を辿ることで、初めて正しくその問題を「理解」することができるのです。
歴史総合で身につけた力が具体的に活きるシチュエーション
歴史総合では、近現代の世界と日本の歩みを通して、現在の世界がどのように形作られてきたのかを学びます。
例えば国際協力に関心のある人は、植民地の歴史や国連を始めとする国際機関の成立背景を知ることで、現代の国際問題を深く理解できるようになるでしょう。ジャーナリズムや報道の世界を志す人は、歴史総合の学習を通してニュースの背景にある歴史的経緯を読み解く力を養えることでしょう。
また将来的にビジネスの世界でバリバリ活躍したいという人も、経済のグローバル化の歴史や戦後復興の道筋を大局的に掴んでおくことで、企業や市場の成り立ちを理解できるようにもなるでしょう。さらに福祉や教育の分野に進みたい人にとっても、人権や社会制度の歴史を知ることは、現代の制度設計を読み解く上で重要な視点となります。
歴史総合の学習を通じて意識したい「知識以外の『力』」
さて、このような歴史総合の学習を通じて、意識してもらいたい知識以外の「力」がいくつかあります。以下に列挙してみましょう。
- 社会の構造を読み解く分析力
- 多様な立場や背景を理解する共感力
- 情報を比較し、自分の意見を組み立てる判断力
- 自分の頭で考え、表現し、他者と対話するコミュニケーション力
こうした力は、現在の高校生活だけでなく、受験や就職、その後の人生でもずっと役立つ「一生モノ」のスキルです。
歴史総合は歴史知識を「社会に向き合うための道具」として学び直す営み
歴史総合の学習は、ただ昔の出来事を覚えるだけではなく、歴史知識を「社会に向き合うための道具」として学び直す営みに他なりません。
ぜひ、前向きな気持ちを持って歴史総合の授業に取り組んでみましょう。真剣に取り組めば、想像以上に成長した自分に出会えること請け合いです。
歴史総合の「知識面」で不安がある人は参考書を活用する
もし歴史総合の「知識面」で不安があるなら、市販の参考書を活用するのもおすすめです。
インプット用:『カリスマ講師の日本一成績が上がる魔法の歴史総合ノート』(KADOKAWA)
アウトプット用:『よくわかる高校歴史総合問題集』(Gakken)
以上2冊を普段の授業と併用すると間違いないでしょう。