2024年度共通テスト数学ⅡBから見る、高1・高2生の学習指針

どうも, みなさんこんにちは。高橋佳佑です。
今回は2024年度(令和6年度) 共通テスト数学IIB の出題内容から今後の勉強の仕方や意識すべきことを改めて考えてみましょう。

2024年度共通テスト(本試験)の問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。

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2024 年度(令和6 年度) 共通テスト数学IIBの設問別ポイント


1月17日に平均点の中間発表があり, 数学IIBは61.03点でした。
ちなみに,2023 年の平均点は61.48点でした。現状平均点はほとんど変わりませんね。

それでは今回の共通テストの中で特徴のある問題について見ていきます。

第1問[1] 対数関数

対数関数のグラフに関する出題でした。
底や真数に定数を含んでいますが具体的な定数の値の指定があるので比較的考えやすいと思います。

複数のグラフの位置関係を問うものでした。
最後の2問[ ク ]と[ ケ ]は誘導がなく単発の問いで, 特に[ ケ ]は初見だと時間がかかってしまうかもしれません。

第1問[2] 整式の除法

(1) はただの計算なので手早く処理したいです。
(2) に入って計算以外のことが問われています。

センター試験から共通テストに変わって, このような数学的な内容, 解法の理解が問われる問題が増えています。
条件から, 結論とそれが得られる根拠を選択肢から選ぶ問いは共通テストらしいと感じました。

式だけを見ればどれも正しそうなことを言っているので,きちんとした理解が問われています。
最後の問いまで誘導がしっかりしていました。

第2問 微分積分

前半は微分や積分計算ですが, 関数値$f(3)$ の意味を問う問題が出題されています。
問題文で定義された関数から考察することが必要です。

(2)に入って, 定積分で表された関数のグラフを選択肢から選ぶ問題も積分計算に頼らず直観的な増減を考えることにより形状は選べば時間をかけずに解答できますが少し難しいかもしれません。

さらに(3) ではグラフの形状の特徴を利用して定積分を式変形していく問題ですが, 文字が多く意味を見失う人が多いかなと思いました。

第3問 確率分布と統計的な推測

公式通りでない問題もありますが, 誘導がしっかりしているのでその通りに計算していくだけで答えが得られます。

後半の期待値の計算では, 確率を実際に計算することが必要ですが, 全体的に内容はとてもあっさりしている出題でした。
計算は少し面倒です。

第4問 漸化式

シンプルな漸化式とその応用に関する出題でした。
誘導がしっかりしているので,それに従い計算していけば解答できます。

数学的帰納法の理論に関する出題がありました。
最後の問いでは$b_n$の一般項が誘導になっており, それをもとに考えると解答できますが, 文章の正誤判定を正確にするのはきちんとした考察が必要になります。

第5問 空間ベクトル

空間内の2 直線や最短距離に関する出題でしたが, 誘導がしっかりしていてやるべきことが明確でした。最後の問い以外は計算量も多くなく誘導もしっかりしていて解きやすいセットでした。

以上が2024年の共通テスト数学IIBの出題の内容です。
センター試験や教科書の問題と比べて, 計算だけではなくそれが正しい根拠をきちんと考えさせられたり, 式の意味など計算力だけではどうしようもない問いが多いです。

思考力が必要になりますね。

今回のテストのポイントをまとめ, 今後どのように勉強すべきかを次で考えてみましょう。

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これから共通テスト対策として取り組みたい勉強法

さて, 今回の共通テストIIB の出題のポイントを整理してみましょう。

共通テスト数学ⅡB出題のポイント
  • 複数のグラフの比較
  • 数学的に言えることをきちんと選べる
  • 式を選択肢から選ぶ
  • グラフの特徴を利用する
  • 設定の複雑な問題を, 誘導に乗って解く
  • 式から読み取れることを選択肢から選ぶ
  • 1 つの問題に対して2 つのアプローチを考える

昨年までのポイントと少し変わっているところがあります。

以上を踏まえ, どう勉強するか考えてみましょう。
来年以降の新課程になっても出題形式は大きく変わらないと思いますし, 勉強法も変わりません。

教科書内容の知識や理解

共通テストや一般入試において, そもそも教科書内容の知識や理解は必要になります。
ただ問題が解けるだけではなく, それが正しい根拠を明確して日々学習して下さい。

日頃の学習から答案を作るようにしましょう。
答案には立式の根拠, そこから分かることをきちんと記し, 答えが求まっていることを示すことを意識してください。

ここで, 共通テスト風の問題を考えてみてください。

例題

これはかなり昔の大学共通第1次学力試験(共通一次試験)で出題された形式を参考にした問題です。
答えが正しいかどうかも大事ですが, その結論になる過程の正誤を問うています。

現在の共通テストでも数学的に言えることをきちんと選べることや式から読み取れることを選択肢から選ぶことが問われていることから, 日頃から常に答えを出すときに根拠を明確にして答案を作ることを心掛けてほしいです。
最初は模範解答を真似しながら, 答案を作る練習をしましょう。

例題の解説

さて, 上の問題の解答は①です。

[説明] が主張しているのは
「整数部分が1 の数と2 の数を加えると, その数の整数部分は3 である。」
ということですが, これは誤りです。

実際, $1.5 + 2.5$は$4$となり整数部分は3 ではありません。
答えが3 であることを言うには

$1.5^2 = 2.25, 2.5^2 = 6.25$であることを使って,
$1^2 < 2 < 1.5^2 , 2^2 < 6 < 2.5^2$より, $1 < \sqrt{2} < 1.5, 2 < \sqrt{6} < 2.5$から
$3 < \sqrt{2} + \sqrt{6} < 4$

としなければいけません。

今回は簡単な例を考えましたが, 日頃から常に数学的に正しいことを意識しながら問題を解きましょう。

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グラフの特徴

いろいろな関数の基本となるグラフの概形と特徴は抑えておきましょう。
基本となるグラフから平行移動や対称移動したとき, 式がどう変わるか意識してください。

さらに放物線の対称性など図形的な特徴も理解しておくとよいです。

指数関数のグラフ

今回は対数関数のグラフの平行移動の他に, 底が変化したときのグラフが出題されていました。
ここでは指数関数のグラフについて考えてみることにします。

底を変化させたときのグラフの位置関係を見てみましょう。
対数関数についても同様にできます。

指数関数の基本グラフは$y = a^x$のグラフです。

$a$の値を変えてグラフの様子を見てみましょう。この場合は$x = 1$や$x = −1$としたときの$y$の値の大小関係を考えればグラフの位置関係も容易に分かります。例えば, $a = 2, 5, \frac{1}{2}, \frac{1}{5}$としてグラフを重ねてみると,

このような位置関係になることはすぐに導けるように考え方を理解しておきましょう。

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数列

下の漸化式で定義された数列の一般項について考えてみましょう。$$a_1 = 1, a_{n+1} = 2a_n +1$$
基本的な漸化式ですからきっと解法は浮かぶでしょう。
本当にその解法は正しいのでしょうか。このような問題では知識や経験からn はすべての正の整数であると思っていませんか。

普段解いている問題はおそらく$$a_1 =1, a_n+1 = 2a_{n + 1}(n = 1, 2, \dots \dots)$$というものでしょう。漸化式が使える番号が$n = 1, 2, \dots \dots$のときの話です。実際,数列${a_n}$ の一般項は$a_n = 2^{n − 1}$となるから$$1, 3, 7, 15, 31, \dots \dots$$となります。

では次の漸化式で定義された数列はどうでしょうか。$$a_1 = 1, a_2 = 2, a_{n+1} = 2a_{n + 1} (n = 2, 3, \dots \dots)$$実際に調べてみると$$1, 2, 5, 11, 23, \dots \dots$$となり先ほどの数列とは全くの別物になります。一般項は$n \geqq 2$のとき, $a_n = 3 · 2^{n−2} − 1$となります。

このように, 漸化式$a_{n+1} = 2a_n + 1$ は同じでも他の条件を変えると別の数列が現れることになります。

細かい話ですが数列の学習で見落としがちなのはこういうところにあります。
条件を使っていい番号をきちんと確認しましょう。

今回の共通テストではこれよりも少し複雑な漸化式がテーマになっていました。
上で紹介した例とは別ですが, $n$が正の整数であったとしても条件次第でいろいろな数列が表せることを知っておいてください。

共通テスト対策としての模試の利用

上で見た通り, まずは日頃の学習で数学の知識や典型問題の解法の理解を徹底してください。
計算力が必要なのは大前提ですが, 普段から問題を解くときに答えが正しいことの根拠を明確にして記述しましょう。

実際に共通テストの出題形式の対策をするのは秋以降で十分です。

ここでは模試の利用方法を考えてみることにします。
共通テスト型の問題を解くときに意識したいのは「誘導がある」ということです。

文章が多く情報が多いですが, そこには答えを出すために必要なことが書かれています。
具体的な指示や考えるべきことが明確になっている部分に注目しましょう。

誘導のない問題は難易度が高いので, そもそも数学の学力が必要になります。
まずは基本的な問題や誘導がある問題をきちんと解答できるようにしましょう。

目標点を定め、模試の後には振り返る

模試を受ける前に目標点を定め, 模試の後には自己採点をして良かった点, 悪かった点をしっかり考えましょう。
基本的な問題を落としていないか, 誘導に気付けたかを特に気にしましょう。

時間配分も考えた方がいいですが, 情報量や計算量, 要求される思考力などで解くのにかかる問題はテストごとに違います。
つまり, 大問ごとの時間は設定する必要がないと思います。
時間がかかりそうと判断したなら飛ばすのも戦略になりえます。

模試を通して制限時間の使い方を考えましょう。

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2025年度共通テスト受験生が意識しておきたいポイントまとめ

長くなりました。
今回は2024 年度(令和6 年度) 共通テスト数学IIB の出題内容と今後の勉強の仕方や意識すべきことについてお話ししました。

数学は計算して答えを出すのが楽しいし, すっきりするという感覚も分かります。
モチベーション維持のために, 答えを出せるようになることを優先する勉強もありだと思います。

ですがそのあと必ず, その解法が正しいことを理解してほしいです。
そこまで考えられるようにならないと解けない問題があったり, 理解していないことが答案に現れたりします。

しっかり時間をかけて日々の学習に励んでください。

それでは, 今回はこの辺で!

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