数学Ⅲの鬼門、複素数平面を攻略するために意識したい学習ポイント

どうも、みなさんこんにちは。高橋佳佑です。
今回は数学Ⅲの単元「複素数平面」に関してお話します。

広告

複素数とは何か

数学Ⅱで出てくる虚数単位$i$というものを覚えていますか。

$i^2=-1$を満たす数で、$i=\sqrt{-1}$です。

$i$の由来はラテン語で「想像上の」という意味のimaginariusです。
この数は図示することができなく、数として認められるまで時間がかかりました。

虚数は方程式を解くために出てきた数

この数の研究が始まった発端は16世紀です。

数学者カルダノが三次方程式を解いている過程で、ルートの中が負になるということがどうしても避けられませんでした。しかし、これを認めて計算を進めると正しい答えが出せることに気づきました。

広告

そして、カルダノの弟子であるボンベリが計算法則を定義し、17世紀フランスでデカルトにより虚という言葉が使われ虚数と呼ばれるようになりました。

さらに18世紀になり、オイラーが$\sqrt{-1}=i$として定義してさらに研究がすすめられました。

虚数というのは方程式を解くために出てきた数なのですね。

複素数の定義

ここで、改めて虚数単位$\sqrt{-1}=i$を使って複素数を定義します。

複素数の定義
$z=a+bi$($a, b$は実数)

と表される数を複素数といい、$a$を$z$の実部,$b$を$z$の虚部と呼びます。
今まで扱ってきた実数とは複素数の特別な場合で$b=0$としたものです。

すなわち、次の包含関係が成り立ちます。

複素数の包含関係

複素数$\supset$実数

広告

代数学の基本定理

そして、次の事実がガウスによって証明されました。

複素数係数の$n$次方程式は複素数範囲で$n$個の解をもつ(代数学の基本定理)

さらにガウスは複素数の幾何学的表示を考え、複素数平面へと話が進んでいきます。

複素数平面とは

複素数$z=a+bi$($a, b$は実数)を幾何学的に表示することに成功したのはデンマークの測量家ヴェッセルです。
ただ、ヴェッセルが発表する前にガウスはその概念に気づいていました。

座標平面で点P(a,b)を考えます。

ここで、複素数$z=a+bi$に対して、実部を$x$座標、虚部を$y$座標とする点は、座標平面内の点Pと同一視できます。
$z=a+bi$を座標平面上の点で表したものを複素数平面といい、$x$軸を実軸、$y$軸を虚軸と呼びます。

 

実際、複素数$z=a+bi$は次のように座標平面で表します。

さらに、原点を始点、複素数$z=a+bi$を表す点を終点とするベクトルと同一視することもできます。

 

広告
$α$と$β$を複素数とし、複素数平面上で$α$と$β$の表す点をそれぞれAとBとすると次のことが分かります。

$α=a+bi$と$β=c+di$として計算すれば簡単に確かめられます。
こうしてベクトルの概念が発展していきます。

また、原点から$z=x+yi$までの距離(複素数の絶対値といい$|z|$と表す)を$r$とし、$x$軸の正の方向と$\overrightarrow{\rm{OP}}$のなす角を$θ$とすると、$x=r\rm{cos}θ$、$y=r\rm{sin}θ$と表せるから、

$z=r($cos$⁡θ+i$sin$⁡θ$)

となります。

これを複素数$z$の極形式といいます。また、 $θ$を$z$の偏角といい、arg$z$で表します。

複素数を極形式で表すことで複素数の積が図形的な意味を持つ

複素数を極形式で表すことにより、複素数の積が図形的な意味を持ちます。

$z_1=r_1 (\rm{cos}θ_\rm{1}+\it{i} \rm{sin}⁡θ_\rm{1})$, $z_\rm{2}=\it{r}_\rm{2}(\rm{cos}⁡θ_\rm{2} +\it{i} \rm{sin}⁡θ_\rm{2})$とすると
$z_1 z_\rm{2}=\it{r}_\rm{1} \it{r}_\rm{2} \rm{cos}⁡(θ_\rm{1} +θ_\rm{2} )+\it{i} \rm{sin}⁡(θ_1+θ_2 )$
積$z_1$ $z_2$は、偏角が$θ_1+θ_2$となっていることから$z_\rm{1}$を原点のまわりに$θ_\rm{2}$回転、絶対値が$r_\rm{1}$ $r_\rm{2}$となっていることから、$\overrightarrow{\rm{O}z_\rm{1}}$を$r_\rm{2}$倍した位置にあることが分かります。

複素数の積は回転と拡大・縮小を表すことが分かりました。

ド・モアブルの定理

さらに、とても強力な定理が証明されました。

ド・モアブルの定理

$n$を整数とするとき、$(\rm{cos⁡}θ+\it{i} \rm{sin}⁡θ)^\it{n}=\rm{cos} \it{⁡n} \it{θ} \rm{+} \it{i} \rm{sin} \it{⁡n} \it{θ}$

広告

複素数と複素数平面を学習する際のポイント


さて、ここまで複素数と複素数平面についてお話してきましたが、具体的な学習上のポイントをお話ししましょう。
複素数$z$に関する計算方法は大きく分けて3つあります。

複素数$z$の計算方法
  1. $z=x+yi$($x$, $y$は実数)として計算
  2. 極形式の利用
  3. 共役複素数$\bar{z}$の利用

詳しく紹介します。

$z=x+yi$($x$, $y$は実数)として計算

まず①の「$z=x+yi$($x$, $y$は実数)として計算」についてです。

$z=x+yi$として計算すれば問題が解けることが多いですが、計算量がとても増えます。
数学Ⅱの複素数の計算を想像してもらうと分かると思いますが、大変だったと思います。

極形式の利用

次に②「極形式の利用」についてです。

極形式は積や累乗の計算が簡単に行えます。
また、上で見た通り図形的な意味もあるから図形に対応させて考えることもできます。
ド・モアブルの定理という強力な定理のおかげで累乗の計算もスムーズに求められます。

三角関数の計算が出てきますから、この計算に慣れてないと大変かもしれません。

共役複素数$\bar{z}$の利用

最後に③「共役複素数$\bar{z}$の利用」についてです。

共役複素数$\bar{z}$を利用すると計算が少なくて済む場合があります。
特に図形の問題を考えるときは便利です。

計算方法を是非、一度は自分の手で証明して成り立つことを確かめ、計算演習を積んでください。
慣れるまでは大変かもしれません。

また、これまでもお話ししてきた通り、複素数平面上の点はベクトルとして見ることもできるので、複素数平面で図形問題を考える際はベクトルと対応させて考えると見通しがよくなることがあります。
広告

おわりに

これまで触れてきたこと以外にも「複素数平面」の単元の中には、「円分方程式」「原点以外の点まわりの回転」「三次方程式の解を複素数平面上に図示する」「複素数列」「図形の性質の証明」「変換」など入試頻出テーマが盛りだくさんです。

これらの問題を解くのに必要なものは特別なことはありません。これまでお話ししてきたことについて、学習し自分の手で証明や原理を追ってしっかり理解すれば十分解けるようになります。

ⅠAⅡBの知識も必要になりますから必要に応じて復習し、時間をしっかりかけて理解するようにしてください。
それでは、今回はこの辺で!

広告

※本記事はプロモーションを含む場合があります。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事