第1問の解答と解説

第1問

古代ギリシャのアルキメデスが考えた円周率 $\pi$ の近似値は次のうちどれでしょう。
① $\dfrac{223}{7} < \pi < \dfrac{22}{7}$
② $\dfrac{256}{81}$
③ $\sqrt{10}$

解説

正解は① $\dfrac{223}{7} < \pi < \dfrac{22}{7}$です。
円に内接する正多角形と外接する正多角形から導いています。

② $\dfrac{256}{81}$は古代エジプトで用いられた近似で,③ $\sqrt{10}$は西暦1世紀以降の中国で使われていたことが発見されています。

 

第2問の解答と解説

第2問
数学A「図形の性質」で学習するチェバの定理とメネラウスの定理が発表されたのが早いのはどちらでしょう。
① チェバの定理
② メネラウスの定理
③ ほとんど同時期

解説

正解は② メネラウスの定理です。

チェバの定理は1678年「直線について」に述べられていて, メネラウスの定理は100年頃「球面論」の中で述べられています。

教科書では並んでいますが, 歴史的にみるととてもずれがありますね。

 

第3問の解答と解説

第3問
確率論の創始者の1人で, あるものの単位にもなっている人物は次のうち誰でしょう。
① ニュートン
② パスカル
③ ファラデー

解説

正解は②パスカルです。

パスカルは友人からサイコロ投げに関する質問を受け, その問題について, フェルマーと手紙のやり取りをしました。
それが確率論の出発点と言われています。

フェルマーは, フェルマーの最終定理でおなじみの人物です。
また, パスカルは圧力の単位になっています。

①ニュートンは数学Ⅱ「微分積分学」を考えた人物で, 力の単位になっています。
③ファラデーは電磁誘導の発見などで有名で, 静電容量の単位になっています。

 

第4問の解答と解説

第4問
1600年代に航海や天文観測に用いられたものとして適切でないのは次のうちどれでしょう。
① 対数表
② 三角関数表
③ 虚数 $i$

解説

正解は③ 虚数 $i$ です。

虚数 $i$ を初めて使ったのはオイラーと言われています。
1777年のことです。

① 対数表, ② 三角関数表について, 例えば, $766 × 515$を考えてみましょう。

$766 × 515 = 0.766 × 0.515 × 10^6$であり, 三角比の表から,$$ \sin 50^\circ = 0.7660,  \sin 31^\circ = 0.5150, \cos 19^\circ = 0.9455, \cos 81^\circ = 0.1564$$であるから, 数学II「三角関数」で学習する積和の公式より,$$ \sin 50^\circ \sin 31^\circ =\dfrac{\cos 19^\circ - \cos 81^\circ}{2}=0.3945$$となります。したがって,$$766 × 515=0.766 × 0.515 × 10^6 =\sin 50^\circ \sin 31^\circ × 10^6 =0.3945 × 10^6 =394500$$となります。

また,$766 × 515 = 7.66 × 5.15 × 10^4$であり, 数学Ⅱ「対数関数」で学習する常用対数の表から,$$\log_{10} 7.66 = 0.8842, \log_{10} 5.15 = 0.7118$$であるから,$$\log_{10} 766 × 515 = \log_{10} 7.66 × 5.15 × 10^4 = \log_{10} 7.66 + \log_{10} 5.15 + 4 =5.596$$となります。したがって,$$766 × 515 =10^{5.596} = 10^5 × 10^{0.596}$$となります。$10^{0.596}$は常用対数表より$3.94$と$3.95$の間にあることが分かるので, 大雑把な値は,$$3.94 × 10^5 = 394000$$となります。

実際は,$766 × 515 = 394490$となります。

三角比の表や常用対数表は近似値です。
上のように, 桁数の大きい掛け算を表と足し算のみで近似値が計算できます。

 

第5問の解答と解説

第5問
オイラーが記したものの中で“ $i$ ”は最初何を表すものだったでしょう。
① 虚数単位
② $\int$
③ $\infty$

解説

正解は ③ $\infty$です。

オイラーは $\infty$ も$1$つの数のように書いており, 現在なら$$\lim_{n \to \infty}(1 + \dfrac{1}{n})^n = e$$と書くところを

$(1 +\dfrac{1}{i})^i = e$(つまり$(1+ \dfrac{1}{\infty})^\infty = e$ の意味)

と書いていました。

$e$ を最初に用いたのはオイラーと言われていて, 円周率 $\pi$ の記号を広めたのもオイラーと言われています。
のちにオイラーは$\sqrt{-1}$を改めて $i$ として採用しました。

第6問の解答と解説

第6問
次のうちで, 1800年代に活躍したフーリエの業績として最も適切なものはどれでしょう。
①いろいろな関数を三角関数で表そうとした。
② いろいろな関数を多項式で表そうとした。
③ いろいろな関数の不定積分を求めた。

解説

正解は① いろいろな関数を三角関数の級数で表そうとした。です。

高校数学範囲ではありませんが, 関数$f(x) = x(−\pi \leqq x \leqq \pi)$のフーリエ級数は$$\sum\limits_{n=1}^\infty \dfrac{2}{n}(-1)^{n-1} \sin nx$$となります。

実際$n=5$までのグラフと比較すると
となります。

また,大学入試でも出題される$$\int_{-\pi}^{\pi} \cos mx \cos nxdx = \begin{cases}{\pi (m = n)}\\ {0(m \neq n)} \end{cases}$$のような積分がよく現れます。

さらに,フーリエ級数を利用して$$\sum\limits_{n=1}^\infty \dfrac{1}{n^2} = \dfrac{\pi^2}{6}$$が得られたりします。

② いろいろな関数を多項式の級数で表そうとしたのはテイラーとマクローリンで, 数学Ⅲの「裏技」について解説した記事で紹介しています。

「数学Ⅲの「裏技」との正しい付き合い方【裏技3選】」

おわりに

クイズはどうでしたか?

数学のクイズはなかなか経験がないのではないかと思います。

教科書では学習しやすいように、順番や記号が整備されています。
歴史的な流れを考えてみるのも楽しいものです。

それでは, 今回はこの辺で!

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