2023年度 共通テスト[数学ⅠA]から見る高1・高2の学習指針

こんにちは。数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では、共通テスト数学IAの問題分析をしていこうと思います。

この記事は、問題を解き、答え合わせをした上で読んでもらうとなお効果的です。
問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。

2023年度 共通テスト本試験[数学ⅠA]の総評

全体的に昨年と比べてかなり難易度が落ちた印象です。

とはいえバスケットボールの問題や場合の数,整数問題など時間を浪費する可能性のある問題も多々ありました。

ですから,解ける問題をいかに速く解いてしまって,複雑だったり思考力が必要な問題にどれくらい時間を残せるかどうかが鍵になってくる試験だったのではないかと思います。

 

2023年度 共通テスト本試験[数学ⅠA]の問題分析

第1問[1] 数と式

絶対値が含まれた不等式の問題です。

最初の$x$が$(1-\sqrt{3})(a−b)(c−d)$に変わっただけだなと気づくことができれば,あとは誘導通り展開計算するだけで最後まで辿り着くことができます。

落としたくない問題でしたね。

 

第1問[2] 図形と計量

前半は三角比の基本を問う問題でした。

(1)(i) は正弦定理や三角比の相互関係の計算ができたかどうかです。
確実に取りたい問題でした。

(1)(ii) は三角形の面積が最大となる図が掴めたかどうかです。
高さが最大になれば良いので,辺$\rm{AB}$を横に真っ直ぐになるように図を描いておけば考えやすかったのではないかと思います。

後半は空間図形です。

$\triangle\rm{PQR}$が底面に来るように図を描けば体積が最大となる$\rm{T}$の位置が考えやすかったと思います。
また球の中心を$\rm{O}$としたとき,$\rm{OP}=\rm{OQ}=\rm{OR}$ですから,$\rm{H}$が$\triangle\rm{PQR}$の外心になっていることに気づけると$\rm{PH}=\rm{QH}=\rm{RH}$もすぐ分かったのではないかと思います。

前半後半ともによくある図形の問題ですからしっかりと得点しておきたい問題でした。

 

第2問[1]データの分析

データの分析はいつも文章が長く取り組みにくい問題ばかりだったのですが,今回の試験ではかなり手が出しやすかったのではないかと思います。

思考力を必要とする問題がほぼなく,分散や相関係数,四分位数や四分位範囲などの定義を正しく覚えているか,そして箱ひげ図をしっかりと読み取ることができるかを問う問題でした。

知識さえあれば解ける問題しかありませんのでここは確実に満点を狙いたいところです。

 

第2問[2] 2次関数

バスケットボールのシュートを題材とした問題でした。
ボールが放物線軌道を描くのでその放物線について計算をしていきます。

問題文で細かい設定が与えられていますので,まずは設定をしっかりと理解するところから始まります。
また数値が少し汚いですから問題文で与えられた結果をうまく使っていくことが大切な問題だったのではないかと思います。

(1) は文字が混ざっていますが,$p$が負なので$2$よりも$2−\frac{1}{8p}$の方が大きいですから,花子さんのシュートの放物線の軸の方が右側にあることはすぐにわかると思います。

また後半ではリングに当たらずにシュートが決まる条件を,接線を利用するように誘導がついていた問題です。

設定にしっかりと乗って進めればよかったのですが,数字が汚かったりヒントがすこし難しかったので手がつけられなかった受験生も多かったのではないでしょうか。

ただ常識的に考えてください。花子さんよりプロのシュートの方がそりゃあ頂点高いですよ笑。

 

第3問 場合の数

確率についての出題は一切なく,場合の数を計算する問題しかありませんでした。

巧妙に誘導が設定されており,その誘導に気づいた人と気づけなかった人とで大きく所要時間に差が出たのではないでしょうか。
(5) から(6) への誘導に気づけるととても気持ち良く完答できる問題でしたね。

基本事項だけでなく思考力も必要とする非常に良い問題だったのではないかと思います。

 

第4問 整数の性質

最大公約数や最小公倍数が土台にある問題でした。

長方形を隙間なく並べて大きな正方形や長方形を作る問題はよくある問題ですが,今回は数値が少し大きかったので計算ミスが少し怖ったのではないかと思います。

しかし,最大公約数や最小公倍数を利用することにより計算式の数値をどんどん小さくすることもできたので,不定方程式を楽して解く訓練を普段から意識的にしていたかどうかが勝負の分かれ目になったのではないかと思います。

$ax+by=c$の形の一次不定方程式は頻出ですから,ただ解けるだけでなく速く楽して解く訓練を積むようにしましょう。

 

第5問 図形の性質

作図の正当性を論証していく問題でした。

円周角についての知識がしっかりとあればかなり基本的な問題ばかりでしたので,解きやすいと感じた受験生は多かったのではないでしょうか。

$4$点が同一円周上にあることを論証する場面ばかりでしたが,円周角の定理の逆を利用すればよいだけでしたので本当に経験がものをいう問題だったと思います。
あとは直径の円周角が$90^\circ$になることくらいでしょうか。

満点を狙いたい問題だったのではないかと思います。

 

おわりに

今回の記事はどうだったでしょうか。

今年の試験はしっかりと勉強をしてきた受験生がしっかりと得点を伸ばせる問題でしたので,このような難易度が来年度以降にも続いてくれるといいなと思いました。

しかし試験の難易度はやはり蓋を開けてみるまでわかりません。

来年度以降共通テストを受験する受験生は,今年の問題の難易度に安心するのではなくしっかりとセンター試験や共通テストの過去問を解いて本番に備えるようにしてくださいね。

今回の記事はこの辺で失礼します。
また次の記事でお会いしましょう。

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