カテゴリー:[連載小説]像に溺れる

  • #5 内面世界による救済――像に溺れる

    像には「内側」が存在しない。像はいかなる意思も記憶も所持することがない、単なるデータの塊として存在している。それらはゲームのグラフィックのように、コードによって操作可能なものだ。この像の世界では、ぼくの扱えるコード、すな…
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  • #4「像」の世界——像に溺れる

    自宅の最寄りの駅からは、よく手入れされた並木通りが南に向かってまっすぐに伸び、日中の街並みはいつも陽光に包まれている。四つの車線の端には、並木と花壇のスペースが広く取られ、歩行者が車を意識することなく歩けるようになってい…
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  • #3「孤立」という状況——像に溺れる

    孤立という状況は物理的な距離とは関係なく生じるもので、彼女とぼくたちの間には精神的な断層のようなものができていた。ヤナガワサンの席の位置は変わっていないのに。 「なかったことにする」という判断を、誰かが口に出したわ…
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  • #2場違いなオレンジ——像に溺れる

    チャイムが鳴り、担任の岡本先生が入ってくる。一斉に伸びる背筋とともに、気怠さと緩慢さはしまいこまれて、起立、気を付け、礼の号令が、ひと息ごとに夏休みを飛び越していく。 「お久しぶりです。皆さん、有意義な夏を過ごせま…
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  • #1「適応」の行方——像に溺れる

    両岸の護岸ブロックによって窮屈な軌道を強いられたその川は、固有の名前を誰に意識されるでもなく、地面が生まれつき備えた宿命的な皺のように、物言うことなくその地を二つに分けている。駅から続く商店街が、その細く浅い川を境に途切…
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