カテゴリー:[連載小説]像に溺れる

  • #18 コバンザメ――像に溺れる

    中間テストが終わってしばらくの間、教室には何やら息苦しい空気が充満し続けていた。 一人ひとりがテストの結果を待っているというだけではなくて、結果によってクラス内に生じる微妙な関係性の変化に対して身構えているのだった。 …
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  • #17 罰による強制――像に溺れる

    「法学入門」の内容は示唆に富んでいて、現実をどのような切り口から考えればいいか、確かな視座を与えてくれた。 冒頭では「法とは何か」を説明するため、法を成立させる要素が提示されていくのだが、そのなかでも「強制力を持った機…
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  • #16 仮定法の世界――像に溺れる

    家に帰り、買った本を読もうとしたが、それではなんだか古本屋の彼女に執着しているみたいで恰好がつかないように思い、普段通り英文法を勉強することにした。 椅子に座り、文法のテキストを取り出す。 スマートホンの電源を落…
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  • #15 内面と世界の間の通路――像に溺れる

    自宅の最寄り駅の古本屋で、法律関係の本を探してみることにした。 ぼくは普段、自主的に本を読むことがなかった。 現代文の教科書に載っている文章や、模試などで出会う文章は集中して読めるのだけれど、本屋や図書館で無数の…
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  • #14 抽象と具体の接点――像に溺れる

    電車に乗っている間に、ぼくはポジティブな像を一つ作り出そうと思ったのだけれど、ポジティブな人間がよく使う言葉がなかなか思いつかない。 友だち、元気……そうした言葉ではネガティブな書き込みも抽出してしまう。 嬉しい、楽…
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  • #13 標本としての像――像に溺れる

    サイコロを5回続けて振った時、3以上の目が2回以上起きる確率について、数学の後藤先生が解説している。 「こんなことやって何になるんだって思ってるでしょう?」 反復試行の公式を黒板に書き出しながら、独り言ちるように後藤…
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  • #12 脱色と脱臭――像に溺れる

    夕飯を食べにリビングに行くと、950円の牛ステーキ弁当が机に置いてあった。 ぼくは椅子に座り、冷たいままの牛肉を口に運ぶ。 電子レンジが嫌いだった。待っている時間、自分が養分を待ちわびる卑しい食肉植物になったみた…
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  • #11 作られた像――像に溺れる

    ふと思い立って、検索欄で「生きる意味」と入力してみる。 死にたいけど死ねない。こんな風になっても、生きる意味を探してしまう。 悠くんとのつながり。それだけが私の生きる意味。 生きる意味なんて、わからなくていい。みん…
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  • #10 SNSの亡霊――像に溺れる

    五時間目開始のチャイムが鳴っても、ぼくはそこを動く気になれなかった。 鼻腔にはまだ、煙たいバニラの粒子が残っている気がする。 オレンジのパーマといい、妖しいバニラの香水といい、彼女の像はぼくに受け止めきれないほどのリ…
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  • #9 空虚な像――像に溺れる

    昼休みの教室が苦手で、いつも四時間目のチャイムと同時に教室から抜け出している。 弁当のにおいが入り混じって、それだけでも気分のいいものではないのに、そんな中で参考書に見入ってるやつもいて、さまざまな活動の境界線がな…
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