2022年度共通テスト数学IAから見る高1、高2生が取り組むべき数学の学習方針

こんにちは。
数学講師の大塚志喜です。

今回の記事では共通テストに向けて高1,高2生のみなさんがどんな学習をしていけばよいかについてお話ししていきます。
問題を解いてからの方がよく伝わると思いますので,ぜひ実際に問題を解いてから読んでみてくださいね。

▼共通テスト問題はこちらから確認できます。(※毎日新聞社のページに飛びます)

2022年度共通テスト数学ⅠAの全体的な印象


共通テスト2年目だった2022年度共通テスト数学ⅠAは,初年度の試験を参考にして対策をしていた受験生がたくさんいたようです。
それでも平均点も40 点を下回る、かなり得点しにくい試験になってしまいました。

しかし問われている内容は決して難しいものばかりではありませんでした。
個人的には6割程度なら,しっかりと数学を勉強していればそれほど高いハードルではなかったと思います。

ではなぜここまで平均点が落ち込んでしまったのでしょうか。
その原因と,これからの対策についてお話ししていきます。

 

2022年度共通テスト数学ⅠAで出題された「長い問題文」


共通テストの数学ⅠAは,とにかく問題が長いといろいろなところで言われています。
まずはここです。

問題を解くだけの能力があるのに,長い文章が読めないだけで得点できないのは非常に勿体無いです。
まずは長い文章になれなければいけません。

 

「少し前の内容がしばらく経ってから意味を持つストーリー」に慣れる

共通テスト数学ⅠAの問題文の「長い文章を読む」ことに関しては完全に個人差が出ます。
当然、文章を読むことに抵抗のない人ほど有利です。

この「問題文が長い」傾向が続くようであればウダウダ言ってはいられません。
早いうちに長い文章になれる必要があります。

そのために,小説のような本をお勧めします。

本格的な文学小説である必要はありません。
読みやすい,あるいは面白そうだと感じた本で大丈夫です。

漫画でも良いのですが,その場合はジャンルを選びましょう。

例えば推理漫画のようにセリフが長く,「少し前の内容がしばらく経ってから意味を持つ」ストーリーに慣れてほしいのです。

 

しっかりと文章を読む力を普段から養う

共通テスト数学ⅠAの文章は(図を除けば)長くても3ページ分程度です。
しかも行間が空いているので文章量はそれほどでもありません。

それでもあの文章が長いと感じてしまうのはなぜでしょうか。
それは,「あの長さの文章を,内容を頭に入れながら読む習慣がない」ことが大きな原因の一つになっていると思います。

まずはしっかりと文章を読む力を普段から養いましょう。
気に入ったり気になったりした本を読むのは良い気分転換にもなりますしね。

 

2022年度共通テスト数学ⅠAでの問われ方について


次は問われ方です。
これに関してはセンター試験の数学ⅠAとかなり異なる点があると思います。

センター試験の数学ⅠAでは,基本的な問題の解き方さえ覚えていれば「ほとんど同じような問題が同じような問われ方で」出題される問題が多かったはずです。
しかし共通テストになり,その傾向はどんどん弱くなってきている印象です。

「基本的な問題は解けるのが当たり前。解き方を覚えているだけではなく,その解き方をする理由まで自分のものにし,それを問題文の状況に合わせて適宜用いていく」という問題が所々に見受けられました。

ただ過去問が解ければある程度得点できてしまうような試験ではありません。
「数学的な内容一つ一つがしっかりと身についた上で問題が解けるようになるための勉強」が必要になってきているわけです。

このような能力は,今までは主に大学の2次試験で大部分を要求されていました。
逆に言えば,センター試験ではそれほど要求されてはこなかった能力です。

つまり,共通テスト数学ⅠAでの高得点を目指すためには,センター試験に合わせた勉強法をひたすらこなし,典型問題を解けるようになるだけでは不十分だということになります。

 

共通テスト数学ⅠAで高得点を目指すには「解ければ良い」という考えを捨てる


では,共通テスト数学ⅠAで高得点を目指すために,どのように数学の学習を進めていけばよいのでしょうか。
まず大切にしたいのは,「解ければ良い」という考えを捨てるところだと僕は思います。

問題を解くところから始めるのではなく,その問題を解くために必要な知識や技術をしっかりと積み上げていく習慣が大切です。

自分が知っている定理や公式の成り立ちをすべて他人に説明できるくらいが理想ですが,そこまでとは言いません。
「なぜその公式や定理が成り立つのか説明できないもの」を減らしていきましょう。

 

「解ければ良い」という考えを捨てる

この学習の積み重ねは,共通テストだけではなく2次試験の勉強にもそのままつながっていきます。

大学入試で問われる技術や方針は,有名な定理や公式を証明していく中で用いる技術や方針から持ってくることが非常に多いです。
みなさんももしかしたら「この問題の背景には実はこんな事実があるんだ」なんてお話を先生からしてもらったことがあるかもしれません。

実はそのようなケースがかなり多いのです。

 

知識と技術を活用するために「なぜ」を大切にする

また,知識と技術はただ持っているだけではダメです。

問題を解くときはそれを使わなければいけません。

その時に大切になってくるのが,「なぜこの問題はこのようにすると解くことができるのだろう。そもそも,なぜそう解こうと思ったのだろう」という「なぜ」を 普段から大切にすることです。

普段多くの受験生を見ていると,この「なぜ」を考える習慣のない受験生ほど壁にぶつかる割合が多いと感じます。
そして「なぜ」を考えられるようになるためには悩むための道具,つまりそもそもの技術や知識が必要です。

結局積み重ねなわけですね。

大切なのはどのようにしてそれを積み上げていくかということです。
少し厳しい話をすると,目先の得点などみなさんにとってはほとんど何の役にも立ちません。

みなさんにとって大切なのは「その問題を解けるようになることで,その前の自分と何が違うのか,どんな新しいことができるようになったのか」を着実に積み上げていくことです。

 

おわりに

数学の分厚い問題集は「問題辞書」として利用しよう
さて,今回の記事はどうだったでしょうか。
少しでもこれから先の数学の学習方針が伝わってくれれば幸いです。

上でも述べましたが「どんな問題が来ても大丈夫」という状態を作るためには,目先の得点にこだわらないことが本当に大切です。
目先の得点にこだわってしまえばしまうほど,「今目の前の問題さえ解ければいい」という勉強の仕方がどんどん自分の中に入り込んできてしまいます。

そうなることなくしっかりと力のつく学習をコツコツ積み上げていくことが,共通テストのみならず数学全般が得意になっていく1番の近道だと思います。

頑張ってくださいね。

では今回の記事はこれでおしまいにしようと思います。
また次の記事でお会いしましょう。

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