なかなか学習時間の取れない受験生のための数学ⅠA学習の方針

こんにちは。数学講師の大塚志喜です。

さて,今回の記事ではなかなか数学の勉強時間が取れない受験生がどんなふうに数学IAの学習を進めていけばよいかについてお話ししていこうと思います。

試験までの時間は無限ではありません。
有限である時間をどう使えば,より効率よく結果に結びつけることができるのか考えていきましょう。

時間のない受験生こそ「日中を有効活用する」ことが重要


まず,日中を大切にしましょう。

皆さんの勉強時間の中でおそらく最も長いのが学校の授業時間なのではないでしょうか。
その時間を有効活用しようともしていないのに「時間がない」は通りません。

少なくとも学校の定期試験は授業内容定着の確認テストです。

全く話を聞いていない状態で一人で勉強し始めるよりも,一度聞いていてそのノートがある状態でもう一度学習するのでは,やはりかかる時間が全然違います。

日中を有効活用するために、夜の睡眠時間を確保する

授業中寝てしまう人は夜にちゃんと寝ましょう。

睡眠時間はクセになります。

日中寝るのが当たり前になってしまうと,それを夜睡眠に切り替えるのにはかなり大変な思いをすることになります。

しかも試験は夜ではなく,日中に行います。

試験中爆睡しなかったとしても,しっかりと目が冴えた状態で集中することは難しくなってしまいます。
そうなってしまうと,とっさのひらめきがなくなったりたくさんの計算ミスをしてしまうことになりかねません。

まずは普段から,結果を出すための生活習慣を作っておかなければ,どんなに効率の良い勉強法を試してみたところでなかなか結果に結びつきません。
日中はちゃんと起きて活動し,夜はしっかりと睡眠をとって体力回復をするような生活リズムを作っていきましょう。

分野を絞って優先順位をつける

次に,数学の具体的な学習内容についてお話ししていきます。

数学学習においてあまりこのようなことはお勧めできないのですが,それなりに高いレベルの大学に挑戦しない限り,入試問題というのはほとんどが分野の枠を超えることがあまりありません。

例えば,確率漸化式を立てるという問題は確かにありますが,結局は最後に数列の知識を使うだけでその問題における思考の大部分は確率や場合の数に割かれます。
分野を横断する問題と言っても,結局片方の分野が大部分を占めている場合が多いのです。

なので時間がないのであれば,しっかりと勉強すればそれができる限りすぐに結果に結びつくような分野であったり,非常に出題頻度の高い分野をまず完成させてしまうことが早期に結果を出すポイントになってきます。

数学IA においておすすめの分野は,「数と式」,「2 次関数」,「データの分析」,「場合の数と確率」,「整数の性質」です。

すぐに結果に結びつけたいのであれば,多少のひらめきが必要な図形問題にたくさん時間を割くよりも,技術さえ身につければそれがそのまま得点になるような分野から片付けてしまえば少なくとも結果はすぐ現れます。

各分野について少しずつみていきましょう。

「数と式」は典型問題を徹底的に練習する

展開と因数分解,分母の有理化,1 次不等式の計算をガリガリ練習しましょう。

ここに関してはとにかく計算がほとんどです。
典型問題をガリガリ練習するだけでそのまま得点に結びついていきます。

▼参考:「【数学Ⅰ】数と式の学習をする際に必ず意識すべきポイント」

「2次関数」ではグラフの扱い方を身につける

2次関数で身につけるべきはとにかくグラフの扱い方です。

2次関数はそれ単体で出題されることもよくありますし,他の分野で用いることもよくありますので,ここをしっかりと頑張ることで他の分野での得点にもつながっていきます。

平方完成して放物線の頂点を読み取る,グラフから最大値と最小値を読み取る,場合分けの仕方を身につける,グラフと方程式,不等式の関係を理解するなど,内容がほとんど決まりきっています。

一つ一つ正しく学習していけば短期間で身につけることは十分可能です。

▼参考:「高校1年生が6月に頑張っておきたい『2次関数』のポイント【練習問題あり】」

「データの分析」は用語とその意味,算出の仕方を覚える

まずは用語とその意味,算出の仕方を覚えるだけでほぼ満点が狙えます。

共通テストでは最後あたりに難しい問題が出てくることが多いですが,それまでの問題のレベルはかなり低く,知っていれば解ける問題が大部分を占めます。

とにかく用語と算出法を覚え,共通テストやセンター試験の過去問を練習するだけで高得点が狙える分野になります。

▼参考:「[数学I ]データの分析を学習する時に意識しておきたいポイント 」

「場合の数と確率」のポイントは「計算から考え始めない」こと

この分野は難しいと思っている受験生も多いかと思いますが,少なくとも共通テストで出題される程度の難易度であればそう難しくはありません。

大切なことは,「計算から考え始めない」ということです。

初めに「どうやって計算するんだっけ」から考え始めるスタンスだと絶対に得意になりません。
大切なのは,「今自分は何を数えろと言われているのか」を把握することです。

何を数えたらいいかわかっていないのに,答えなど出せるわけがありません。

数えるものがしっかりと見えているからこそ「こういうものを数えたいのか。じゃあこうやって計算すれば欲しいものが全部数えられるんじゃないか?」となります。

これだけでも覚えなければいけない量が全然違います。

また,共通テストではかなりの頻度で,全パターンを書ききることができるような問題が出題されています。
このような場合,そもそも計算すら必要ありません。
全部書き出して数えるだけです。

このように,「何を数えたいのか」→「直接数えようか,それとも楽に数えることができるのだろうか」というスタンスを念頭におきながらさまざまな計算法を勉強していくと,より効率よく技術も身につけられますし実践力もついていくと思います。

▼参考:「場合の数・確率から考える、公式との向き合い方」

「整数の性質」は「積/余り/不等式」のどれを利用しているのか意識しながら学習する

最後に整数の性質についてです。
この分野は教科書通りの順序や内容で勉強してしまうと,とても効率の悪い勉強になってしまいがちです。

結局大学入試での整数問題は「積の利用」「余りの利用」「不等式の利用」の3 つもしくはそれらの組み合わせでほとんどの問題が解けるようになっています。

今使っている技術がこの3つの中のどれを使っているのかを意識しながら学習を進めていくのがコツです。
そうすることで内容が有機的に結びついていき,実践力を効率よくつけることができるようになります。

おわりに

今回の記事はいかがだったでしょうか。
今回の記事では時間がなかなか確保できない受験生向けの記事でした。

しかしそもそも意識してもらいたいのは,時間は誰かに用意してもらうものではなく自分で作るのが基本であるということです。

たしかに効率を意識した勉強ではその場凌ぎはある程度できるかもしれません。
しかしその場を乗り切っても大学入試本番までそれができる状態を維持し続けることはできるでしょうか。

普通にコツコツ勉強を続けていく方がよっぽど簡単で,結果的にかかる時間もその場凌ぎの人よりもトータルは少なくなります。

目先の結果に囚われて本当に掴まなければならない合格を逃すようなことになってしまっては本末転倒です。

最終的な目標に対して今の自分はどのくらい離れているのか,その距離を埋めるためにはどのような行動をしたら良いのか,そのためにはどのくらい時間が必要なのかを逆算し,その時間を作るためには普段の生活をどのようにしたらいいのかを考え,そして実行する。
そのうえで学習内容に効率を求める。

それが実は一番トータルの時間が少なくなる勉強の仕方なのではないかなぁと思ったりもしています。
言うだけなら簡単ですが,これは実行するのがとても難しいことです。

しかし自分の目標達成のために自分が何を頑張るかがわかっているわけですから,是非とも夢に向かって頑張ってくださいね。

では今回はこの辺で。
また次の記事でお会いしましょう。

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