生物基礎の共通テスト対策

今回は『生物基礎』の共通テストについて、これまでのセンター試験の傾向や共通テストに向けた試行調査(平成30年実施)を踏まえた上で、どう対策すべきなのかをお話します。

今回のポイントは次の3つです。

①用語だけ暗記しても点数がとれない
②生物の計算問題はワンパターン
③実験問題で点数をとるには

 

生物基礎は用語だけ暗記しても点数がとれない

生物というと、中学生時代の理科の勉強の名残のせいか、用語を中心とした暗記をイメージされる方が多いでしょうか。

確かに、用語を暗記することは必要なのですが、それは生物の勉強の目的ではなく、あくまでも生物という学問を学ぶ上での道具または手段に過ぎないのです。

 

例えば『呼吸』とは何か説明できますか?

まず『呼吸』という用語を知らない受験生はいないでしょうが、説明を求められると答えに詰まる方も少なくないのではないでしょうか。

呼吸に関するポイントは以下の通りです。

・異化(複雑な物質を分解して単純な物質にすること)の一つで、エネルギーを放出する反応が起こっている。
・酸素を利用して有機物を分解し、そのときに放出されるエネルギーによって生命活動を行うのに必要なATPを合成する。
・有機物が分解される反応であるため、ATP以外に“副産物として”二酸化炭素や水が生じる。

 

生物基礎では最低でも『呼吸』について上記のことを把握していなければならず、特に共通テストのように学んだ知識を身近な事象と結びつけて考えることを求められる試験こそ、正しく理解しようとする姿勢が大切になってくるのです。

 

生物の計算問題はワンパターン


生物では、現象やはたらきを数値として評価するため、試験でもよく計算問題が出題されます。

実際に、過去のセンター試験でも計算問題は出題されており、平成30年の試行調査でも全19問のうち3問が計算問題として出題され、計7点の配点(50点満点中)となっていました。
したがって、計算問題を完全に無視してしまうと得点率が10%以上下がってしまうことになりますので、対策をしないわけにはいきません。

具体的にはどのような対策が求められるかというと、数学のような高等技術が必要というわけではなく、算数程度の計算ができればよいのです。

 

生物の計算のほとんどは単位の変換と比・割合を使った計算になります。
試行調査で出題された問題を使って説明したいと思います。

問題
生産された有機物に含まれる窒素の重量比が0.7% だったとき、熱帯・亜熱帯多雨林で生産者の吸収する窒素量は、年間で1平方メートルあたり何グラム(g)になるか。熱帯・亜熱帯多雨林における年間の有機物生産量は(グラフより)2.0kg/㎡である。

 

〈解説〉

まず、“何グラム(g)か”と問われているので、有機物生産量の単位を変換します。
1kg=1000gですので、2.0kg/㎡=2000g/㎡となります。
ここで、問題文中に“生産された有機物に含まれる窒素の重量比が0.7%”とありますので、1年間に生産される有機物に含まれる窒素量は、
2000〔g/㎡〕×0.7/100=15〔g/㎡〕
と求めることができます。したがって、生産者が吸収した窒素は有機物の生産に使われるため、15〔g/㎡〕が今回の答えとなります。

 

今回の問題は一例にすぎませんが、生物基礎における計算問題は他のどの問題もひたすら単位の変換と比・割合の計算となりますので、コツさえつかめばそこまで難しいものではありません。

そういう意味では、生物の計算問題はワンパターンといえますので、是非得点源にしていただきたいなと思っています。

 

実験問題で点数を取るには


おそらく受験生の最大の悩みとなるのが実験問題ではないでしょうか。

実験問題を解けるようになるポイントは以下の2つに集約されます。

・生物に関する知識を正確に、かつ体系的に覚えること。
・問題文で与えられる情報を順序立てて整理すること。

 

まずは何といっても知識です。これから生物の実験問題を解くわけですから、知識無くして実験結果を正しく読み取ることはできません。
ここでは知識をきとんと習得したという前提で話をすすめたいと思います(※知識が未完成な方は実験問題の対策よりも知識の習得を最優先してください)。

 

生物基礎の教科書に載っている実験の理解

まず教科書に記載されている実験を理解するところから始めましょう。

実験問題を苦手とする受験生は教科書に載っている実験について読み飛ばしている方が多く、また、読み飛ばしていない方でも人物名と簡単な功績だけ把握しているという受験生も少なくありません。

 

つまり、実験問題を解けない最大の原因は“教科書に載っている実験でさえよく理解していない”というところにあるのです。

 

エイプリーの実験

例えば、エイブリーという人物の実験をご存知でしょうか?
遺伝子に関して一通りの知識がある方は以下の話も読んでみてください。

エイブリーは形質転換の原因物質がDNAあることを示し、遺伝子の正体の解明に大きく貢献した方の一人です。
以下は彼が行った実験の概要となります。

エイブリーは、生きたR型菌がS型菌の抽出液と混ぜるだけで形質転換が起こることを発見し、S型菌に含まれる特定の成分が形質転換を引き起こしていると考え、その成分を突き止める実験を行った。
あらかじめS型菌抽出液をタンパク質分解酵素あるいはDNA分解酵素で処理し、それぞれを生きたR型菌と混ぜて培養したところ、タンパク質分解酵素で処理した実験では形質転換が見られ、DNA分解酵素で処理した実験では形質転換がみられなかった。

 

さて、みなさんはこの実験をどう解釈しましたか。

 

エイプリーの実験のポイント解説

では、今回のエイブリーの実験を整理してみたいと思います。

実験を整理する際は、目的・方法・結果・考察の4つに沿って整理するとよいでしょう。

まず、どんな実験にもその目的があります。
目的:DNAの原因物質の解明

そして、どのような実験を行ったか一つひとつ整理し、各実験結果をシンプルにまとめていきましょう。
方法と結果:S型菌抽出液を生きたR型菌と混ぜて培養し、形質転換の有無を観察

(1) S型菌抽出液を分解酵素で処理しなかった場合→形質転換が起こった。
(2) S型菌抽出液をタンパク質分解酵素で処理した場合→形質転換が起こった。
(3) S型菌抽出液をDNA分解酵素で処理した場合→形質転換が起こらなかった。

 

考察は基本的に対照実験との比較により得ることができます。

〈考察〉
(1)を対照実験として、(2)や(3)の実験と比較する。
(1)・(2)より、抽出液の中にタンパク質が含まれていなくても形質転換が起こった。
(1)・(3)より、抽出液からDNAを取り除くと形質転換が起こらなかった。したがって、タンパク質が無くても形質転換は起こるが、DNAが無いと形質転換は起こらないので、R型菌はS型菌のDNAを獲得することで形質転換を起こしていると言える。

 

今回は実験に対する解釈の一例を説明したにすぎませんが、結論としてはなるべくシンプルにまとめていくことが大切になります。
整理する作業は慣れるまで大変かと思いますが、まずは教科書に載っている実験を一つひとつ丁寧に解釈するところから始めてみてください。

 

最後に


共通テストで生物基礎を受験する方の多くは文系の受験生で、なかなか理科に時間が割けないというのが現状だと思います。

だからこそ、生物基礎の勉強に割く貴重な時間を単なる機械的な暗記で済ませるのではなく、知識一つを覚えるにしても定義をしっかりと確認したり、教科書に載っている実験を順を追って整理したりして、一つひとつ丁寧な勉強を心がけることで得点に結び付けてください。

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