今回は生物学習での過去問の活用法について説明していきます。
まず、大前提として、生物はインプットすべきことを頭に入れていなければ問題を解くことはできません。
もし生物の一通りの単元を終えていない場合、早急に全単元を網羅し、しっかりと知識を詰めておきましょう。
目次
生物の過去問を解く意義は「分析」にある
では、本題です。
極論になりますが、生物の教科書を自力で読めて、内容を完璧に覚えているのであれば過去問を解く必要はありません。
本来、生物の入試問題は『教科書の内容を理解しているか』を問うものです。
たとえ、初見の問題であっても、教科書で学んだことや理解したことを応用できるか試すものであり、そこから大きくかけ離れたことを要求されることはありません。
生物で最も求められているのは「習得した知識をいかに活用できるか」
生物が暗記科目であることは確かですが、最も求められているのは「習得した知識をいかに活用できるか」というところにです。
特に、共通テストではそれが顕著に出るであろうと考えられます。
生物の過去問に取り組む際、ひたすら問題を解きまくることに意味はなく、過去問を解くことで「どのように問われるのか」や「どのくらいの深さまで理解していることを要求されるのか」などを分析していただけたらと思います。
生物の過去問を活用する5つのポイント
次に、具体的な過去問の活用について説明します。
- まずは生物の教科書や図説を使って知識を確認する
- 知識や定番問題が多い大学から解く
- 制限時間は後回しでOK
- 生物に「考察力」なんてものは存在しない!?
- 解くことより「解いた後」が圧倒的に重要!
詳しく紹介します。
まずは生物の教科書や図説を使って知識の確認を!
まずは、生物の過去問に取り組む前に一通りの知識を教科書や図説などを使って確認しましょう。
当然のことですが、生物でも覚えるべきものを覚えていなければ問題を解けないですし、過去問に取り組む意味がありません。
このプロセスに1~2週間はかけてよいと思います。
知識や定番問題の出題が多い大学から解く!
次に、受験予定の大学の生物の過去問に軽く目を通して比較してみてください。
最初は、知識や典型問題を中心として出題する大学から解き、時期が進むにつれて大学の難易度をアップさせていくイメージで進めることをオススメします。
生物の過去問を解く際の制限時間は後回し!
過去問演習を始めて間もないうちは制限時間を設けずに解くのが良いと思います。
生物では、解答のスピードは過度に意識して速めるものではなく、演習量が増していく中で自然と速くなっていくものです。
むしろ、最初はこれでもかというくらい丁寧に解くことを意識し、それでどのくらいの時間がかかったのかを計った方が良いです。
時間が無くて解けなかったのか、それとも時間をかけても解けなかったのかというのは大きく意味が異なり、これを把握しておくことはその後の学習方針を考える上で非常に重要です。
そして、過去問演習に慣れてくる中で解くスピードが上がってきたことを実感し始めた段階で、制限時間を設けて解いてみるとよいでしょう。
それもはじめのうちは制限時間+10~15分くらいで解き、その時間内で処理できるようになって来たら徐々に短くしていくましょう。
最終的には制限時間よりも5~10分短い時間で解けるようになっていることが理想です。
※大学によってはどう頑張っても時間内に解ききれない場合もあります。
生物に「考察力」なんてものは存在しない!?
『考察問題が解けるようになりません!』という受験生からの悲鳴は毎年絶えません。
まずはなぜ解けないのか(解けなかったのか)をよく自己分析することです。
実験を読み取る問題が解けない受験生には共通点がある
私の経験上、実験を読み取る問題が解けない受験生の共通点は次のとおりです。
- 教科書の知識が入り切っていない
- 文章を雑に読んでいる
- 頭の中で考えようとし、手を動かさない
よく巷では『生物は考察力を養え!』という意見を耳にしますが、受験生物に限っては考察力という怪しい能力はないと考えています。
考察力とは「知識をもとに、与えられた情報を読み取り整理する力」
敢えて考察力という言葉を定義するならば、『正しく理解して覚えた知識をもとに、与えられた情報を正しく読み取り、整理する能力』になるかと思います。
つまり、特別な能力は必要なく、知識を正しく理解した上で頭に詰め込み、生物に限らず日頃から文章を丁寧に読み(空欄や下線の前後だけ読むというのはもってのほか!)、無理に頭の中で解こうとせずに与えられた情報を手で書いて整理していく他ないのです。
生物でも解くことより「解いた後」が圧倒的に重要!
生物の過去問を解いたときに、「丸付けして解説読んで終了」では何の力もつきません。
それどころか、時間の浪費でしかありません。
過去問演習は実際のところ復習にこそ意味があるのです。
解いた後は知識の補充と分析をする
過去問を解いた後は、すぐ丸付けをするのではなく、先に知識問題に関しては生物の教科書や図説などで調べ、抜けていた知識をノートなどにまとめておきましょう。
このプロセスこそが初見の問題に強くなるポイントとなります。
そして最後に解説を読み自分の考え方と照らし合わせ、今後どのように問題に対してアプローチしていくかの方針を確認してもらえたらと思います。
おわりに
生物でも過去問は上手く活用することで直前期に実力を大きくアップさせてくれます。
一方、その活用法を誤れば大きなタイムロスを生み、過去問を解くメリットよりもデメリットの方が大きくなってしまいます。
直前期は限られた中での時間になりますが、生物に関しては勉強法さえ誤らなければ、最後の模試から入試本番までの間に最も実力を伸ばせる科目だと私自身は思っています。
本記事で紹介したエッセンスを上手に生かしていただき、志望大学に合格していただけたら幸いです。