2023年度 共通テスト[英語(リーディング)]から見る高1・高2の学習指針

こんにちは。由良です。

今回は、2023年に行われた共通テスト英語(リーディング)の問題を分析し、高1生や高2生に今の時期からできることをお伝えしたいと思います。

なお、問題を解き、答え合わせをした上で読んでもらうとなお効果的です。
問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。

2023年度 共通テスト[英語(リーディング)]の特徴(総評)

最初に、共通テスト英語(リーディング)の特徴と、解く際に有効なアプローチをご紹介します。

  • 時間はかなり厳しい
  • 時間配分を意識する
  • 先に設問を見るアプローチが有効

それぞれを、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。

 

時間はかなり厳しい

「共通テストは時間が足りなくなる…。」という受験生の悩みを聞いたことはありますか?
もしかしたらこの記事を読んでいる皆さんもマーク模試などを受験したときに「読み終わらない」、「解き終わらない」といった悩みを持っている人もいるかもしれませんね。

80分で6,000語以上を処理しなければならない共通テストは「あらゆる入試の中で最も時間設定が厳しい問題」です。

ただなんとなく英文を読んで、問に答えるだけでは時間内に解き終えるのは難しいです。
「共通テストの解き方」というものをしっかりと意識していく必要があります。

 

時間配分を意識する

各大問・中問ごとに目標時間を設定することも重要ですが、実際に問題を解いているときは時計とにらめっこしながら解くわけではないですよね?

あまり細かく刻みすぎると、計画が狂ったときに修正するのが非常に面倒くさいです。
「第1問~第3問で25~30分、第4問~第6問で50分」などのように、大きな枠組みを意識すると良いでしょう。

 

先に設問を読む

通常の読解の学習では「読む→設問を見る→各選択肢の解答根拠を探す→選択肢を落とす→解答する」という5つのステップで答えを出すことが多いと思います。

実際、この手順が最も正確に処理をすることができるでしょう。
しかし先述の通り、共通テストは時間の設定がかなり厳しい問題となっています。
つまり5つステップを踏むほど時間に余裕がないのです。

そのため「設問を見る→読む→解答する」の3ステップで問題を解く意識を持つようにしましょう。
設問を見るときに「何を答えるべきなのか」をしっかりと押さえたうえで文章を読むことが重要です。

 

2023年度 共通テスト[英語(リーディング)]の設問解析

ここからは、それぞれの設問を見ていきます。

 

第1問 A:ハンドアウトの読解 B:ウェブサイトの読解

どちらも設問にあう情報を文章から探し出す問題です。

Aは演劇についての案内を読み、2つの問に答える問題でした。
問2ではどちらの演劇にも共通する選択肢を選ぶ問題が出題されています。

このように共通するもの(もしくはどちらにも書かれていないもの)を選ぶという問題は、事前に選択肢まで読んだうえで読みながら選択肢を減らしていくほうが良いでしょう。

Bは夏の英語集中特訓の案内を読んで3つの問に答える問題でした。
解答根拠が複数個所にまたがっており、落ち着いて選択肢を減らしていく必要があります。

 

第2問 A:ウェブサイトの読解

第2問 Aは靴についての広告を読み、その情報や顧客のコメントを読み取る問題でした。

昨年度は”fact”を問う問題でしたが、今年度は”opinion”を問う問題が出題されています。

またリード文が解答根拠となっている問題も出題されており、いわゆる「読まなくても良い部分」が存在しないことを示す問題となっています。

 

第2問 B:レポートの読解

第2問 Bは通学中の時間の使い方に関するレポートを読み取る問題でした。

こちらでは“fact”を問う問題が出題されてします。

問3では正しいものの組み合わせを答える問題が出題されており、事前に選択肢を読んでおいたほうが解きやすい問題だったと言えるでしょう。

 

第3問 A:ニュースレターの読解 B:ブログの読解

第3問 Aはキャンプ部からの準備に関してのニュースレターを読み取る問題でした。

問1では図を選ぶ問題が出題されており、この問題はこれまでに出題されていない形式の問題なので驚いた受験生もいたかもしれません。

とはいえ、「表面上の問い方(=見た目)」は変わることもありますが、「本質的に出題者が問いたいこと」は大きく変わっていません。

形式の変化に左右されないように、自信を持って対応できるようになるまで練習を積むことが大切です。

 

第3問 B:ブログの読解

第3問 Bは文化祭の出し物についてのブログを読み取る問題でした。

昨年と同様、時系列を整理する問題が出題されています。
この問題は先に選択肢を読んでおいて、出てきたタイミングで順番を決めていくほうが良いでしょう。

ただし、後から順番が変わってしまうこともあるので、「時間を表す表現(=〇〇なとき)」や「動詞の形(=過去完了形など)」に注意しながら読み進める必要があります。

 

第4問 複数テクストの読解

第4問では効果的な学習法について2人の筆者が書いた意見文を読み取る問題でした。

1人目の文章を読んだだけでどの問題が解けるのか、両方とも読まないと解けない問題はどれなのかをまず分析することが重要です。

問4ではどちらの筆者も言及している内容についての問題が出題されており、先に選択肢まで読んでしまうほうが解きやすいでしょう。

 

第5問 エッセイ文の読解

昨年までは伝記文が出題されていた第5問では、部活動や兄との会話をテーマとしたエッセイを読み取る問題でした。

エッセイや物語文はそもそも受験生が勉強する機会が少ない文章形式です。

今後もエッセイや物語文の読解が出題されるのかはわかりませんが、センター試験の過去問等を使ってエッセイや物語文を読むことに慣れておくことも必要でしょう。

問3では時系列を整理する問題が出題されています。

第3問Bと同様に事前に選択肢を読んで、文章を読みながら並び替えられるようにしましょう。

また、問5では文章からわかる教訓を選ぶ問題が出題されていますが、文脈から類推する必要がある問題となっていました。

ノートが設定される問題の考え方

第5問にはノートがついており、設問はそのノートを埋めていく形式になっています。

ノートが設定される問題では、文章を読み始める前にノートを読むようにしましょう。
ノートは要約なので、しっかり読むことである程度の話を理解したうえで文章を読むことができます。

今回の問題であれば、抽象と具体の関係を意識することが絶対条件ですが、文章を読んだときに出てきた「見たことがない情報」が空所に入れるべき内容だと判断することもできるでしょう。

後半セクションをうまく乗り越えるためにはこの「ノートとの付き合い方」が非常に大切になってきます。

 

第6問 A:説明文の読解 B:説明文の読解

第6問 Aでは人がものを集めたくなる理由についての説明文を読み取り、ノートを埋める形式の問題が出題されました。
先述の通り、まずノートを熟読することで話の内容を大枠で理解してから文章を読むことが重要です。

 

第6問 B:説明文の読解

第6問 Bでは「クマムシ」についての説明文を読み取り、プレゼンの資料を完成させる問題が出題されました。
スライドの順番が文章で出てきた順番と異なっていたこともあり、難易度が高かったと思います。

 

高校1・2年生に“今”意識してほしいこと

これまで共通テストの問題を使って“解き方”のような話をしてきました。
しかし、今の時期からある種の「テクニック」を使って高得点を目指してほしいわけではありません。

最後に今の時期に意識してほしいことをまとめておきます。
それは次の2点です。

  • 語彙力を強化する
  • 英文法を強化する

 

語彙力を強化する

共通テストでは英語の文章を短い時間で大量に読まなくてはなりません。
つまり、知らない単語や熟語が出てきたからといって止まっている時間はありません。

共通テストに関して言うと、出題される文章の語彙レベルが非常に高い(=難しい)というわけではありませんが、まずは文章を読む上での大前提として単語や熟語の勉強を頑張りましょう。

語彙の勉強は共通テストに限らず、私大の入試や国公立の2次試験でも当然必要になる力です。
遅くても高3の8月末までに、学校で使っているものでも自分で買ったものでも良いのでしっかりと覚えきることを目標にして取り組むと良いでしょう。

 

英文法を強化する

共通テストでは英文法や語法の空所補充(いわゆる文法問題)は出題されません。
しかしそれは文法がいらないという意味ではありません。

そもそも文法というのはその言語のネイティブが無意識に使っているものを言語化したものです。

共通テストではそこそこのスピードで英文を読み進めなければなりません。
それは「文法を無視して単語を拾い上げていく」ことを指しているのではなく、「意識しなくても単語を文法で繋げて意味を理解できる」ことを指します。

オススメの英文法学習法

オススメの勉強法は「例文を英作文する」ことです。
普段使っている参考書でも塾や予備校のテキスト、学校のテキストなんでも良いです。

文法単元の解説には例文がついていますよね?
多くの場合、この例文で使われている単語は簡単なものが多いはずです。

この勉強は単語の勉強ではないので、難しい単語である必要はありません。
自分がすでに勉強して、理解できたと思った単元の例文を英文に戻してみましょう。
遠回りのように見えるかもしれませんが、様々な文法単元を意識できるようになり、また英文法を学ぶ意味が分かってくると思います。

 

おわりに

さて、今年の共通テストが終わり、次の共通テストまであと1年というタイミングです。
「何から始めたらいいのかわからない…。」なんていう人も多いのではないかと思います。

たくさんのことをお伝えしてきましたが、すべてを一気に始めるのではなく、自分にできそうなものから挑戦してみましょう。
受験勉強は継続させることが最も大切で、また最も難しいのです。

自分にできることを1つ1つ積み上げていき、この記事を読んでいる皆さんが受験生になったときに自信を持って私大の入試や国公立の2次試験に臨めることを心から祈っています。

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