「漢文が白文だと読めない」という悩みを解決するための学習法

安田です。

気がつけばもう年末。
寒さも本格的になってきましたね。
勉強に打ち込むためには体調を整えることが大切ですから日々気をつけましょう。

今回は、白文を読めなくて困っている人に向けてのアドバイスです。

大学入学共通テストではセンター試験の頃から引き続き、「返り点・送り仮名がない状態で正しく読めるか」が問われます。
私大や国公立大の二次試験でも「読めないと解けない」と感じる場面があるでしょう。

なかなか難しい課題ですが、どう対応していけばいいか、心持ちの面と技術的な面からアプローチしていきます。

白文とは「原文のままの漢文」のことである

まず、白文とはなんでしょうか。

基本的には、「返り点・句読点・送り仮名などがついていない、原文のままの漢文」のことを指します。

知らない人が見たら「ただ漢字が並んでいるだけ」に見えてしまうやつです。

 

入試問題などの場合、句読点は大抵振られている

句読点もない、というのはなかなか衝撃的ですね。
文の切れ目がひと目ではわかりませんから。

ですが、高校生が学ぶ段階では、返り点と送り仮名が振られていない漢文はよく目にするものの、句読点までもがないというのはほとんどありません。
入試問題でも、たいてい句読点は振られています。
(ただし、読点は問題の都合上、あえて振っていないこともありますが……)

さすがに句読点(特に句点)は振っておかないと難しくなってしまいますから、大学受験において、句読点は原則付いているものとして考えていればOKです。

 

白文を読めるようになる必要があるのか?


根本的な話なのですが、そもそも、白文状態(返り点・送り仮名がない状態)を読めるようにする必要があるのでしょうか?

これを質問されたら、基本的には「別に読めるようになる必要はない」と返しています。

まっさらな状態から適切に返り点・送り仮名を振るのは、漢文を専門とする大学生でもなかなか骨の折れることです。
それなりに勉強していないとままなりません。

 

入試問題も「白文を読む力」を問いたいわけではない

ましてや、漢文を主で勉強することのない高校生に、そのレベルを要求することはまずありません。

入試問題で出題される「正しい返り点・送り仮名を振る問題」は、本来的には白文を読む力を問いたいわけではないと私は考えています。

では、一体なにを求めているのでしょうか。

 

問われているのは、いつもの「漢文を読み解く力」

この白文状態(返り点・送り仮名がない状態)を読めという問いは、いつもの「漢文を読み解く力」を確認しているだけなのです。

句形の知識はあるか、文構造を理解できているか、基礎的な語彙を覚えているか、傍線部だけでなくきちんと文章全体を読んで内容を把握できているか。

これらの力はきちんと学習することで身につけることができます。
学習方法はこれまでにご紹介しているので、参考にしてみてください。

 

例文から見る「白文の読み方」


具体例として次の文を見てみましょう。ちょっと古いですが、2010年のセンター試験本試験の問題です。
実際の問題には返り点だけ振られていて、送り仮名がない状態で正しい書き下し文と解釈を選ぶものでした。

例文
然 即 学 杜 者 当 何 如 而 可。

 

実際は返り点が振られていて、さらに選択問題ですからどう読むかの方向性はある程度分かる状態です。
これをいきなりまっさらな状態から読めと言われると大半の人には難しくなってしまいますからね。

 

句形の基礎知識を活用する

この一文を見て、「当」という字で再読文字、「『まさに~べし』と読むんじゃないか?」と考えられるかどうかがまず一つ。

句形の基礎知識ですね。
100%とは限りませんが、高確率で再読文字だなと考えられるようになることが肝要です。

 

基本的な語彙の知識を活用する(1)

「然」は「しかり」、「即」は「すなはち」。
このあたりは基本的な語彙の知識です。

そのあと、「学杜者」と続いていますね。
その後に再読文字らしきものがありますから、一旦その手前の「者」で切っておきます。

 

基本的な文構造の知識を活用する

漢文の基本的な文構造は、述語のあとに目的語や補語が続きます。

「学」を「まなぶ」と動詞で取ると、この部分は「杜(と)を学ぶ者」と読めるでしょう。

 

基本語彙の知識を活用する(2)

「何如」は、「いか(ん)」と読んで、「どうか」「どのようか」を問う語です。

これは句形の本や参考書にも掲載されている重要語ですから、句形学習においても語彙の学習においても触れるはずです。

 

置き字の知識を活用する

「而」は接続を示す置き字として学びますね。
「しかして」「しこうして」と読むこともあります。

ちなみにこの問題では、どの選択肢を見ても「すなはち」と読んでいたので、読む際に迷うことはないでしょう。

 

「可」の読み方を考える

最後の「可」は、「か」と読むか「べし」と読むかどちらか? というのがまず候補として出てくると思います。

「べし」と読むのであれば、助動詞になるから動詞とセットで使っているはず。
動詞とセットになっていないから、文末ということも踏まえて「か」と読むよね、と考えられれば上出来です。

 

全体構造が取れたら、文章内容から考えて解釈する

こんな感じでおおむね全体構造が取れたら、あとは解釈です。
これは文章内容から考えていきます。

ここだけ見れば「杜」ってなんだろう?となる人もいると思いますが、本文を読めば、「杜詩」、すなわち「杜甫の詩」を指すことは容易にわかります。

本文ではこの直後に、杜甫の詩を学ぶ上でどういう詩から入ればいいかという話をしているので、それが読み取れれば「何如」という語彙の知識とあわせて「どのような」と解釈するのが確実に分かります。

これから2010年の問題を解く人がいるかもしれませんので、書き下し文や解釈はあえてすべては書きません。
気になる人は自分で確認しましょう(そういう知識への欲求、学習姿勢も受験においては大切です)。

 

白文に強迫観念を持つ必要はない


白文状態(返り点・送り仮名がない状態)で読まなければならないところは、句形・文構造からはじまる通常の漢文の学習で十分に対応可能です。

特に大学入学共通テストについては選択肢が示されているので、基礎知識と本文内容を照合させれば「とても難しい」という感触はなくなってくると思います。

ですから、無理に「白文を読めるようにしなきゃ!」と考える必要はありません。

 

おわりに

白文を読むような設問があっても、「白文を読む力が問われているんだ」と強張る必要はありません。
きちんと句形や語彙の知識を身につけて読解力を磨けば十分に対応可能です。

もっとも、日々コツコツと教科書の音読学習をしていれば理屈で考える前にある程度掴めるようになります。
そうすると漢文を得点源にすることも十分にできますし、勉強が楽しくもなってくるはず。

過度に恐れずに向き合ってみてください。

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事