嘉手納を訪ねて歴史を見る——佐京由悠の沖縄“メモ”

小学生の時に衝撃を受けて以来、ずっと頭の片隅にある沖縄の地。
そんな沖縄を再び訪れた日本史講師の佐京由悠先生が解説する沖縄紹介を連載でお届けします。
糸満を訪れた第1回、辺野古を訪れた第2回に引き続き、今回は嘉手納地区を訪れます。

嘉手納

沖縄本島中部、中頭郡嘉手納町。

極東最大の米軍基地、嘉手納基地を擁する街である。

その総面積の約80%が米軍の嘉手納基地に占められており、かつ基地は隣接する沖縄市、中頭郡北谷町にもまたがっている。

「国道58号線より内陸は米軍基地でね、住民はそれより海側に追いやられてるんだ」

ここまで車を出してくださったN氏。

潮風をまともにあびる海側の民家はやはり劣化が早いのが一目でわかる。

N氏はこのあと「道の駅かでな」に私を連れて行ってくれた。
その展望台から嘉手納飛行場が一望できる。

報道カメラマンが何人も常駐しており、有事の際の報道に備えているようだった。

さまざまな軍用機がひっきりなしに離発着を繰り返している。

コザ

嘉手納基地を挟んでちょうど反対側、東の沖縄市、コザに来た。

戦後文化資料館ヒストリート

コザは嘉手納基地の出入り口周辺(「ゲート」)に発展した街であり、いわゆるゲート通り沿いに沖縄市戦後文化資料展示館ヒストリートがある。
*現在コザという地名はない

ここは沖縄市の職員(市史に関わる担当)の方が常駐し、無料で(!)たっぷり(!)展示物の案内をしてくださる。

沖縄の「戦後」に焦点を当てた資料館で、沖縄戦の終結、インヌミ収容所、嘉手納基地、コザ暴動など、目白押しである。

コザ発展の歴史

1948、49年、大規模台風が立て続けに沖縄を襲い、甚大な被害をもたらした。

米軍基地も例外ではなく、これにより米兵の士気が下がることを危惧した本国から調査団が派遣され、これによって米軍基地に莫大な予算が投じられた。

「本土」からいわゆるゼネコンも入り、大規模工事を行い、これによっていろいろな人が集まる景気のいい街となった。

朝鮮戦争のころである。

それから時代が下って、本格的に発展を見せたのはベトナム戦争のころである。

ヒストリート内のAサインバー展示

ヒストリートの中にはAサインバーの展示がある。

Aサインとは、“Approved”すなわち「許可済み」の意であり、米軍風紀取締委員会による許可を意味する。

米兵たちはこのAサインのある店を利用することとなるのである。

出兵前の兵士たちはそこで飲食し、1ドル札にメッセージを書いて店の壁に画びょうで張り付けるというのが慣習だったようで、ここヒストリートでは実物を見ることができる。

コザ暴動

1970年12月20日未明、今からちょうど50年前にこの地である事件があった。
当時の新聞は「暴動」(毎日新聞)、「騒乱」(読売新聞)などと報じた。

いわゆるコザ暴動である。

コザ暴動とは、アメリカ軍車両に対する焼き討ち事件である。

事件の発端は、地元沖縄の軍雇用員が酒気帯びの米兵によってはねられた事故である。
この事故の事情聴取の際、周囲の人たちが集まり、暴徒化したのである。

米軍の毒ガス問題

暴徒化したのは2000名とも3000名とも言われるが、普段からこれくらいの人数が集まる街ではない。

では、なぜこの時だけ大勢の人が集まったのか。

そのヒントとなるのは、前年の1969年のある出来事である。

コザ市(当時)に隣接する美里村(元沖縄市)の知花弾薬庫に致死性の毒ガスが秘密裏に備蓄されていた。それがこの年の7月にガス漏れ事故が発生したのである。

これによって島ぐるみの毒ガス撤去運動が巻き起こっていった。
そしてコザ暴動の前日、12月19日(土曜日)に、まさにその美里村で毒ガス即時完全撤去を要求する県民大会が行われ、約1万人が参加していたのである。

そうした事情と、週末ということも相まって12月20日の未明にこれだけの人が集まったのではないかと言われている。

コザ暴動の地、胡屋十字路の現在

コザ暴動が起こった胡屋十字路の現在の様子(画面右奥が胡屋十字路)。

「今度は夜来てみてください。また雰囲気が変わりますから」

終わりに

最後に、今回の訪問にあたり、ヒストリートのスタッフさん、また、車であちこち導いて下さり、いろいろお話をお聞かせ下さったN氏などたくさんの方にお力添えとお知恵を頂戴しました。心から感謝いたします。

今回の訪問場所(記事に言及していなものも含む)
ひめゆりの塔・ひめゆり平和祈念資料館
平和記念公園・摩文仁の丘・沖縄平和祈念資料館
辺野古 キャンプ・シュワブ周辺
読谷飛行場滑走路跡(車窓から)
チビチリガマ
米軍トリイステーション(車窓から)
沖縄戦上陸碑
道の駅かでな
沖縄市戦後文化資料展示館ヒストリート
イオンモール沖縄ライカム(米軍専用ゴルフ場跡地・車窓から)
奥武山公園
山下町第一洞穴遺跡
海軍壕公園
首里城
沖縄県立博物館
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