こんにちは。安田です。
今回は、1年間を通しての受験に向けた漢文の学習について、基本的な道筋を紹介します。大学入学共通テストのみで使う科目という人が多いと思いますので、その対策を基本線としつつ、私立大学の一般入試や国公立大学の二次試験に向けての学習についても触れていきます。
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目次
漢文学習で意識したい3つのポイント
大学入試に向けての漢文学習法において意識したいポイントは以下の3点です。
- 語彙力の拡充
- 知識獲得(文構造・句形・漢詩)
- 「読む」「解く」の習熟
上記3点に意識を置いた上で、1年間を通しての学習の見通しを立てていきましょう。
漢文学習は1年間を3つに分けて考える
4月~1月までを大きく3つに分け、それぞれ①基礎養成期、②実力養成期、③過去問演習期として、それぞれの時期でなにをやればよいか、イメージを作っていきましょう。
- 【4〜7月】基礎養成期
- 【8〜10月】実力養成期
- 【11月〜】過去問演習期
私立大学の一般入試や国公立大学の二次試験で漢文も出題される場合は、③過去問演習期を2月まで延ばすとともに、②読解力養成期での学習を色濃くしていきましょう。
科目的に漢文は優先度が低くなる人が多いと思いますが、直前にちょっとだけ勉強してもなかなか思うような点数を取るのは難しい科目でもあります。早いタイミングから意識を持って、少しずつ固めて、あとあと慌てずに自分の主力科目に打ち込めるようにしていけるとベストでしょう。
【4~7月】基礎養成期:基礎知識の確認と定着を目指す
まずは基礎知識の確認と定着を目指しましょう。
- 返り点と送りがなから、書き下し文を書けるか
- 書き下し文を見て自分で返り点と送りがなを振ることができるか
- 熟語の構成、漢文の文構造が理解できているか
- 代表的な句形を見て意味が取れるか
- 漢詩の形式やルールを答えられるか
以上5点、完璧に詰めなくてもいいので、できる限り7月までの間にひと通り学習して、「見たことも聞いたこともない」という状態から脱しておきましょう。
実際に書きながら練習できる教材を使う
ただ眺めて読むだけではなく、実際に書きながら練習できる教材を使って定着を図れるとよいです。
漢字の意味を常に考えながら取り組む
大切なのは、漢字の読みと意味を常に考えながら、ただの作業にならないよう「どういう意味だろうか?」「何を言っているのだろうか?」と考えながら取り組むことです。それによって語彙力が強化されていきます。
【8~10月】実力養成期:音読・現代語訳の確認と問題演習
これまで学校の教科書で扱ってきた文章や模試で触れた文章などを使って、
「現代語訳ができるか」
を確認してみてください。
一度学習した文章でも、「読めない・意味が取れない」という部分が出てくるはずです。疑問点や不明点は身近な先生に質問してきっちり解決していきましょう。
夏休みを利用して、問題演習に取り組む
ただ読むだけでなく、夏休みを利用して問題演習も入れていきたい時期です。大学入学共通テストに向けた演習を中心にするといいでしょう。
私大・国公立二次試験対策はプラスアルファの学習を
私立大学の一般入試や国公立大学の二次試験に備えたい人はプラスアルファの学習を入れたい時期です。
【11月~】過去問演習期:過去問演習に取り組む
センター試験や大学入学共通テストの過去問を中心に演習しましょう。
市販されている過去問や実戦問題集は、書き下し文や現代語訳まで丁寧に書いてくれています。ひとつひとつを確認しながら取り組むことで、知識も増え、「読める」「解ける」ようになってきます。
共通テスト以降も漢文が必要なら「11月末まで+共通テスト明けの追い込み」
12月後半以降は共通テスト対策で手一杯になる人が多いと思います。
共通テスト以降も漢文が必要な場合、11月末までの段階で志望校の過去問に取り組んでおき、共通テスト後に追い込みをかける形で進めていきましょう。
高1・2生はまず土台作りをしっかりと行う
慌てず騒がず、まず土台作りをしっかりとやりましょう。上記①基礎養成期の内容を2年生までに固めておけると、グッと志望校への距離が縮まります。
漢文は一つの文章がそこまで長いわけではありませんから、日常の学習でそうした10分程度のひと手間をかけるだけでも力がついてきます。
日常からアンテナを広げて語彙力を拡充する
また、漢文以外の科目での学習はもちろんのこと、日常から様々なものにアンテナを広げ、語彙力を拡充していくことが漢文学習にも非常に効果的です。
日常のすべてを自分の力にしていく意識を作っておけるとよいですね。
おわりに
漢文はどうしても後回しになってしまう科目だと思いますが、みんながそうであれば、先手を打って対策しておけるとそれだけ有利に運べる科目でもあります。
大学入学共通テストでは配点が5点減って45点になりますが、大学入試は合否のボーダー上わずか数点差のところに大多数の受験生がひしめきます。漢文の1問が合否を左右することも十分にあり得ます。
1年を通して、計画的に学習を進めていきましょう。