漢文句形の覚え方―句形の学習を漢文読解の入り口にする方法―

安田です。

つい最近までは夏気分だったのですが、気づいたら肌寒くなって暖房を付けていました。
寒暖差の激しい時期は体調を崩しやすいもの。
特に高校生の皆さんは毎日がハードだと思いますので、食事と睡眠でしっかりと体調を整えましょう。

さて、今回は「句形の覚え方」について重点的にお伝えできればと思います。

「まず句形を覚えてから読解へ」とはよく言われるものの、なかなか覚えられないという人も多いのではないでしょうか。
暗記するということは、人によって得手不得手もありますし、一つのやり方に対して合う・合わないもあります。

これからお伝えする覚え方についても、まずは忠実に試してみて、そこから自分なりに頭に入りやすいようにアレンジしながら活用してもらえるといい勉強ができるでしょう。

漢文句形の覚え方①―音読しながら習得する―


漢文訓読において、特に句形の中で、現代語では使わない特有な読み方をする語がしばしば出てきます。

例を挙げましょう。
出典は『礼記』檀弓下、教科書などでは「苛政猛於虎也」のタイトルで掲載されている文章中の孔子のセリフです。

何 為 不 去 也 。
読)
なんすれぞさらざるや。
訳)どうして(この地を)立ち去らないのですか。

疑問形の代表的な「何為(なんすれぞ)」という形です。
現代の日本語で、特に高校生が日常的に使うことはほぼないと言ってもいいでしょう。

 

特殊な読み方をする語句は何度も読むのが鉄則

このように慣れていない特殊な読み方をする語句は、声に出して何度も読むのが鉄則です。

合唱の課題曲と要領は同じで、「なんすれぞ」と何度も、歌うようにブツブツ声に出すのが効果的です。
そして、書かれている文字と音を照合させていきましょう。

特に、疑問形・反語形で使われる、「奈何(いかん)」「安くにか(いずくにか)」や、仮定形の「苟くも(いやしくも)」「縦ひ(たとひ)」など、このあたりは過去のセンター試験や直近の大学入試共通テストでも頻出ですし、知っていないと読むことすら難しいですから、音でのインプットは必須です。

 

漢文句形の覚え方②―例文暗記に取り組む―

次の例文は『史記』項羽本紀より。教科書にも「四面楚歌」というタイトルで文章が掲載されていることが多いので、見たことがある人は多いのではないでしょうか。

是 何 楚 人 之 多 也 。
読)
これなんぞそひとのおおきや。
訳)なんと(敵の中に)楚の人(兵士)が多いことだろう。

詠嘆形の文です。

 

使われ方や意味も含めて「一つの文をまるごと」頭に入れる

「なんぞ~や」という読みの形だけ覚えていても、実際に文章の中で出てこられると気づきにくいのが現実です。
また、この読みの形だけでは疑問形と区別がつかないため、混乱する原因にもなります。

したがって、使われ方や意味も含めて「一つの文をまるごと」頭に入れることで読みに即使える形のストックを増やしていくのです。

 

漢文訓読の独特なリズムも身につけられる

英単語を覚えるとき、フレーズや文ごと覚えるようにというアドバイスをもらうことがあると思います。
同様に、漢文の句形を覚える際にも簡単な文ごと覚えるのが効果的です。

きわめて実践的に頭に残すことができるので、①の音読練習法とあわせて、漢文訓読の独特なリズムも身につけることができます。

『漢文必携』などの句形をまとめた参考書は、史書などから実際の文を引用していますし、例文暗記用に一覧にしてまとめてくれていることもあります。
こういったものを有効活用してみましょう。

 

漢文句形の覚え方③―文章を活用する―

句形を覚えるのは文章を読めるようにするためです。
したがって、声に出して例文を覚えたからといっても、実際に文章中で読むために活用しなければなりません。

学校の教科書に掲載されている文章には句形のまとめが付いていることが多いため、それだけでも練習は可能ですが、問題集を使って学習する場合、「特定の句形の基礎を学んだあとすぐに読解形式で演習ができる」ものをチョイスすると、スムーズに勉強できます。

『漢文道場基礎編』(Z会)

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『基礎からのジャンプアップノート』(旺文社)

『ステップアップノート10 漢文 句形ドリルと演習』(河合出版)

このあたりの問題集は手に入りやすく、練習には手頃です。

 

「書き下し文をつくる」だけでなく、必ず自分なりに口語訳をつくる

そしてさらに、漢文の問題集を骨の髄まで活用する勉強法をお伝えします。

「書き下し文にせよ」という問題を解く際、書き下し文を書いて終わりにしていませんか?
それだけでは非常にもったいないです。

必ず自分なりに口語訳を作りましょう。

解答解説には必ず口語訳の模範例が載っているはずです。
自分が作成したものと常に照らし合わせていくようにすると、意味内容を把握する力もついてきます。

問題集というのは、その問題を通じて「知識を身につける」「問題を解けるようにする」という目的のために使うものです。

設問で指示されたことだけをするのではもったいない。
自分の力を伸ばすために、あらゆる方法で活用しましょう。

 

おわりに

句形の学習は大切です。代表的なものを覚える、というのは漢文訓読の上で必須です。
しかし、句形をただ覚えただけでは、まだ「入試問題が解ける」という段階には至りません。
「覚えて、活かす」というのを念頭に置いて、学習に取り組んでください。

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