2023年度共通テスト[漢文]から見る高1・高2生の学習法

こんにちは。安田です。

2023年度の共通テスト、受験されたみなさんはお疲れさまでした。
今回は、高1・高2生に向けて、今年度の共通テストを踏まえた「漢文の学習指針」をお話ししていきます。

なお、問題を解き、答え合わせをした上で読んでもらうとなお効果的です。
問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。

出題について(白居易『白氏文集』)

本文出典:『白氏文集』 白居易(唐代(中唐)の詩人)

白居易といえば長恨歌が有名ですが、高校生の皆さんは授業で香炉峰の雪のエピソードを学習した人もいると思います。
平安期において、教養のある日本の貴族で知らぬ者はなし、というくらい唐代における代表的な詩人です。

 

複数テクスト形式での出題だが、一つの文章として読んでも差し支えない

今回は、彼が官吏登用試験に備えて自分で作った予想問題と模擬答案が2つのテクストとして出題されました。

複数テクストとは言っても、「問い」と「答え」のセットなので、実質的には一つの文章と考えて読んでも差し支えないと思いますので、あまり違和感なく読み解ける形です。

 

「きちんと本文内容を読み取れるかどうか」がより強く押し出された問題構成

語の意味、返り点の付け方と書き下し文、基本的な句形、内容把握といった定番の問題に加え、比喩を説明する問題や空欄補充問題など、前後の内容を踏まえて考えなければいけない設問が肝になっています。

目新しさはあるものの、「読めれば解ける」というレベルで、難問奇問はなく、標準的なレベルです。

総じて、知識だけで解ける、という問題は減り、語の意味を考える問題も合わせて、「きちんと本文内容を読み取れるかどうか」がより強く押し出された問題構成と言えるでしょう。

 

今後の学習では、まずベースとなる知識を習得する

今回の共通テストでは正確な内容把握ができているかがキーとなる問いが多かったのですが、やはり読解の下地となる基礎知識は必須になります。

また、基礎知識そのものを問うている問題もあります。

  • 句形の知識を軸に文構造・内容を取る(問2、3)
  • 頻出語句を覚える、漢字の意味を熟語から考える(問1)

まずは、ドリルなど自分が取り組みやすいものを利用して句形の知識を固めていきます。
固めながら、教科書で学習済みの文章を用いて音読し、書き下し、訳す訓練をする。

ごく当たり前の学習ですが、積み重ねることで確実に読めて解けるようになります。

 

句形の習得と語彙力の強化

まずは、句形を意識的に勉強して習得してしまいましょう。それと同時に、語彙力を磨きましょう。
句形の学習および語彙力の増強については、以前に書いているのでそちらの記事を参照してもらえればと思います。

「漢文句形の覚え方―句形の学習を漢文読解の入り口にする方法―」


「漢文の語彙を身につけるために受験生が取り組むべき学習を紹介します。」

 

文構造を押さえるための学習

さらに、文構造を意識することで初見の文章を読みほどく技術が向上しますから、文構造を押さえるための学習もしていきましょう。

例題で確認!「漢文が読めない」悩みを克服するための2つのポイント

 

複数テクスト対策

共通テストの出題形式である複数テクスト対策についてはこちらの記事でも書いています。
「漢文の共通テスト対策に効果的な勉強法まとめ【複数問題文】」

今回の問題は片方をヒントに、というよりも、予想問題をしっかり把握した上で、白居易がどういう答えを用意しているのかと素直に頭から読んであげればいい形だったので、あまり複数テクスト感はなかったかなとも思います。

今後は昨年と同じように漢詩が出る可能性もありますし、傾向が変わる可能性もあります。
どのような形で出てきても対応できるように備えておくに越したことはありません。

 

共通テストの最大の対策は「今すぐ勉強を始める」こと


大学入学共通テストの最大の対策はなにか――「早いうちからたくさん勉強する」ことに尽きます。

国語はそれなりの実力がないと、80分で評論・小説・古文・漢文の4つをしっかり読んで解き切ることは難しいです。
模試や過去問で時間が足りない!と感じる人も多いと思います。

そして、確固たる実力をつけるためには、相当量の勉強が必要です。

 

高校3年生は思った以上に時間がない

さらに、高校3年生は思った以上に時間がありません。

他の科目の学習を考えるとどうしても漢文に使える時間は限られるはずです。
特に理系の人は理科や数学の比重が極めて高くなります。文系の人は特に歴史でしょう。

日本史も世界史も大変なボリュームで、現役生が「少なくとも最低限は取れる」レベルに到達するには相当な学習時間が必要です。
国公立大学志望なら共通テストでは数学や理科の基礎科目、公民科目もやらなければなりません。

高校3年生ではこれらに本格的に取り組まねばならず、どうしても配点が低めになっている漢文に回す時間は少ない。
下手をすると、全く勉強できずに1月を迎える……ということも珍しくないのが実情です。

 

漢文の配点が低くても「生命線」になることはある

しかしながら、配点が低くても生命線になることはあります。

受験というのは予定通りにはいかないもので、いずれかの科目で失敗する可能性は常にあります。
そうしたときに、比較的難易度が安定している漢文で点数が見込めれば、失敗をカバーすることも十分に可能です。

知識を頭に詰めるだけなら人によっては短期間でできるかもしれませんが、自在に使えるようにするには継続して反復練習をする必要があります。

今回の共通テストのように、単に知識を持っているだけでなく、知識をベースに「きちんと読解する」ことに比重が置かれている場合、日常の学校の授業で行う精読を大切にしつつ「正確に内容をキャッチする」練習を日々積んでいく必要がありますから、直前の付け焼き刃的な勉強ではどうしても点数を取るのは難しくなるでしょう。

まだ漢文に取り組み始めていない人は、今すぐに勉強を始めましょう。
基礎知識をひと通り学び、演習を通しながら定着させて使えるようにしていく。

早めに始めれば、それだけ貯金を作ることが可能になります。

 

おわりに

共通テストの国語においては、漢文は比較的点数が取りやすく安定しやすいと言われます。
ですが、それはしっかり勉強している人だからこそです。

たくさんの時間を漢文に充てるべきというのではなく、学校の授業や定期考査、模試など「自然と漢文に取り組む時間」を有効活用することで、過去問や実践問題演習に入る前の下地をしっかり作っておいてもらえればと思います。

まだ本格的に勉強を始めていない、という人は、「今すぐ」始めましょう!

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