【日本史サロン】大河ドラマをもっと深く楽しむ方法

こんにちは。日本史の河原です。

今回は少し趣旨を変えて「大河ドラマをもっと深く楽しむ方法」ということでお話できればと思います。

僕は現在「日本史サロン」というYouTubeチャンネルで大河ドラマの歴史解説を行っています。

今回は僕自身が動画を作る下調べでやっていることも含めて、皆さんに大河ドラマをより深く楽しむ方法をお伝えできればと思います。
多くの関連書籍を読んできた中でオススメの参考文献も紹介しますので、ぜひ肩の力を抜いてお楽しみいただければ嬉しいです。

最後に、大河ドラマを見ている高校生や受験生に向けての受験日本史への活かし方もお話したいと思います。

近年の研究の成果を取り入れている大河ドラマ


まず、前提として、大河ドラマも「ドラマ」なので、楽しみ方は十人十色だと思います。
好きな俳優さんの演技に注目するのも良し、演出に注目して楽しむのもいいですよね。

ドラマと史実の違いに目を向けて楽しむ

その中で僕は日本史講師という立場からドラマと史実の違いに目を向けて楽しむ方法をおすすめしています。

大河ドラマが他の時代劇と異なる点は、時代考証をはじめ様々な考証の先生が入り、できる限りリアルな歴史ドラマを目指してきた点にあるでしょう。

特に近年の大河ドラマはその傾向が強く、できる限り最新研究の成果を盛り込もうとする意欲が見られる作品が多いのが特徴です。

「どうする家康」に反映されている近年の研究

今年の「どうする家康」は、考証に対する批判も多いですが、近年の研究の成果を反映して描かれているところもたくさんあります。

具体的には、

  • 家康は今川家の人質ではなく、待遇は悪くなかった
  • 浅井長政と朝倉義景は同盟関係ではなかった
  • 織田信長は将軍足利義昭を傀儡にしようとしていたわけではなかった

など近年の研究の成果がしっかり反映されています。
そのため、大河ドラマを追いながら近年の研究の成果も追っていくとより深く多面的にドラマが楽しめるのでオススメです。

深堀りの仕方は2パターンある


では、大河ドラマで描かれる時代の最新の研究の成果を知るにはどのような方法があるのでしょうか?

個人的には2パターンあると考えていて

大河ドラマの深掘りの仕方
  1. 専門家が書いた主人公の概説書を読む
  2. 疑問に思ったところを調べる

の2つです。それぞれ見ていきましょう。

パターン①:専門家が書いた主人公の概説書を読む

まず、①ですが、大河ドラマは歴史上の人物を主人公にするので、主人公の概説書を読んで掘り下げるパターンです。

最新の研究の成果を知るためには、歴史小説ではなく、専門家が書いた文献が良いでしょう。
専門家が書いた文献には、参考文献一覧が必ずありますので、気になった本があれば、その本も読むことでどんどん深く掘り下げることができます。

パターン②:疑問に思ったところを調べる

②は歴史に詳しい方にオススメです!
例えば、ドラマを見ていて疑問に思った箇所が出てきたら、その箇所について調べるという方法です。

ネットにもいろいろな情報がありますが、正確でない情報も多いので、やはり本で調べるのが良いでしょう。
Amazonなどで関連書籍がないか調べたり、大きな書店に足を運び自分の疑問に答えてくれそうな本を探すと良いでしょう。

どちらのパターンでも1冊だけでなく、参考文献から更に掘り下げて本を読んでいくとより深く多面的に知ることができるのでおすすめです。

「どうする家康」オススメ参考文献

せっかくなので、僕がこれまで動画を作るために読んできた本の中で、特に皆さんにおすすめしたい本をいくつかピックアップして紹介したいと思います。

黒田基樹『徳川家康の最新研究』(朝日新書)

黒田基樹『徳川家康の最新研究』(朝日新書)

本のタイトル通り、家康の近年の研究の成果をコンパクトにまとめています。
この本を読めば、黒田氏が指摘する家康が「忍耐の人」ではなく、「強運の持ち主」だったということも納得できるでしょう。

黒田氏の本は非常に表現が平易で初心者の方にも読みやすいと思います。

平山優『新説 家康と三方ヶ原合戦』(NHK出版新書)

平山優『新説 家康と三方ヶ原合戦』(NHK出版新書)

「どうする家康」時代考証の平山優氏の新著。
家康生涯唯一の大敗といえる三方ヶ原合戦を詳細に分析した新書です。

信玄が見抜いていた家康の弱点とは何か?
三方ヶ原合戦を詳しく知りたい方には必見の1冊です。

平山優『戦国の忍び』(角川新書)

平山優『戦国の忍び』(角川新書)

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家康の臣下に服部半蔵という人物がいますが、実は半蔵は忍者ではありませんでした。
そもそも戦国時代に僕たちが想像するような忍者は存在しなかったのです。
戦国時代に存在したのは「忍び」です。

では、「忍び」とはどのような存在だったのか?
その実態を詳しく知りたい方に特におすすめです!

柴裕之『織田信長 戦国時代の「正義」を貫く』(平凡社)

柴裕之『織田信長 戦国時代の「正義」を貫く』(平凡社)

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平凡社
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織田信長といえば、革新的なカリスマで天下統一を目指した人物というイメージが強いですが、近年の研究で信長自身は非常に保守的で旧体制を守ろうとしていた人物だったことが明らかになっています。

本書はそんな「新しい」信長の一生を解説しています。信長ファンにこそ読んでいただきたい1冊です。

大河ドラマを見ている高校生や受験生へ


最後に大河ドラマを見ている高校生や受験生に向けて、受験日本史への活かし方にも触れたいと思います。

今年の大河ドラマは安土・桃山時代が舞台なので、合戦が苦手な方は「どうする家康」を見続ければ受験日本史でも出てくる有名な戦はかなり網羅することができるでしょう。

この時代は人物や合戦が多くて覚えられないという方は、勉強の休憩に大河ドラマを見ると合戦名は頑張って覚えようとしなくても、覚えるようになっていると思います。

ただし、合戦名を覚えるために無理して見るのは効率があまり良くないので、視聴習慣がない方はこれまで紹介してきた暗記方法などを活用して頑張って覚えましょう。

▼参考:「『日本史が覚えられない』悩みを克服するための学習法」

おわりに

今回は大河ドラマをご覧になっている方に向けて、少し踏み込んだお話をさせていただきました。

冒頭で紹介した「日本史サロン」では毎週日曜日の大河ドラマ放送後に、大河ドラマの歴史解説をしています。
今回紹介したような形で最新研究の成果にも触れるようにしているので、良かったら一度覗いていただけると嬉しいです。

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