カテゴリー:[連載小説]像に溺れる

  • #24 人権ゲージ――像に溺れる

    「法学入門」の序盤に、「人権」という言葉について解説するコラムがあった。 ぼくは自然と、それを長い時間眺めていた。 そのコラムによれば、「人権」は多層的・多義的に扱われる概念だという。 法律で守られるべき具体的…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #23 未知の生態――像に溺れる

    反応に困っているぼくを見て、白沢はからかうような笑みを浮かべた。 「闇深そうな人、なんか気になっちゃうんだよね」 ぼくのことを馬鹿にしているのか、あるいは一目置いているのか、判断に困るような態度を、白沢はあえ…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #22 「羅生門」の記憶――像に溺れる

    教室の隅で行う作業はひどく孤独だった。 それは昼休みに部室棟の階段で感じる孤独とは性質の異なるもので、ぼくは自分自身の存在が、惨めに虐げられている者の像へと押し込められていくのを感じ、全身の皮膚がじりじりと、背後からの…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #21権力の構造――像に溺れる

    次の日、四時間目が終わって席を立とうとすると、早川が目の前に現れた。 はじめて話す気がするけれども、早川はとくに身構える様子もなく、淡々とした調子で話しかけてくる。 「グループチャット見た? 一緒の班だから、よろ…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #20 個別のチャット――像に溺れる

    文化祭を十日後に控えたホームルームでは、出し物である脱出ゲームの具体的な中身について、芝原がぬかりなく取り決めを進行していった。 迷路内に仕掛ける罠をめぐるさまざまな提案について、芝原は面白さと実現可能性の二つの観…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #19 小さな変化――像に溺れる

    遠藤はもともと、別の二人の女子とよくつるんでいたはずだ。 白沢柚希と早川香莉奈という、特進クラスにおいては垢抜けた外見をしていて、器用に何でもこなせるタイプであるため、自然とクラスの中心に位置づけられるような二人だ…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #18 コバンザメ――像に溺れる

    中間テストが終わってしばらくの間、教室には何やら息苦しい空気が充満し続けていた。 一人ひとりがテストの結果を待っているというだけではなくて、結果によってクラス内に生じる微妙な関係性の変化に対して身構えているのだった。 …
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #17 罰による強制――像に溺れる

    「法学入門」の内容は示唆に富んでいて、現実をどのような切り口から考えればいいか、確かな視座を与えてくれた。 冒頭では「法とは何か」を説明するため、法を成立させる要素が提示されていくのだが、そのなかでも「強制力を持った機…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #16 仮定法の世界――像に溺れる

    家に帰り、買った本を読もうとしたが、それではなんだか古本屋の彼女に執着しているみたいで恰好がつかないように思い、普段通り英文法を勉強することにした。 椅子に座り、文法のテキストを取り出す。 スマートホンの電源を落…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • #15 内面と世界の間の通路――像に溺れる

    自宅の最寄り駅の古本屋で、法律関係の本を探してみることにした。 ぼくは普段、自主的に本を読むことがなかった。 現代文の教科書に載っている文章や、模試などで出会う文章は集中して読めるのだけれど、本屋や図書館で無数の…
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
ページ上部へ戻る