こんにちは、羽場です。
この記事では、2023年3月にZ会から刊行される拙著『スマートステップ 現代文』第1章の特徴をご紹介します。
今回は
- 現代文の参考書が抱える課題とどう向き合ったか
- 第1章の構成
- 電子メディアの活用
の3本立てです。
本書がどのような問題意識のもとに生まれたかという部分をご紹介したいと思います。
同業や学校の先生方にとっては日々向き合っていらっしゃる課題でもあると思うので、どこかで是非みなさんの見解をお聞かせいただければ幸いです。
目次
「現代文への苦手意識」を払拭したいけれど
本書は「入門書の入門書」という位置付けで制作を開始しました。
そして、その際にポイントになったのが
という最大の課題。
本書の中でも触れていますが、現代文の参考書は「文章」の形で書かれており、
「読解力」を養うために書かれた解説を読むために、ある程度の「読解力」が必要になる
『スマートステップ 現代文』pp.72-73
この点から目を背けるわけにはいきませんでした。
自己啓発本が幅広い世代で読まれているのには理由があるはず
そんなことを考えていたとき、千葉雅也先生の『勉強の哲学 来たるべきバカのために』を思い出しました。
その裏側を記した『メイキング・オブ・勉強の哲学』の中で、千葉先生はインテリ層から馬鹿にされがちな自己啓発本の魅力にあえて感染してみる試みをしたと述べています。
たしかに自己啓発本は馬鹿にされがちな印象はあります。
そして、これまで「書籍」から距離をとっていた層にもリーチしている場合も多い。
ここには「現代文が本当に苦手な受験生」に対してアプローチしていくための何かしらのヒントがあるのではないかと考えました。
「自己啓発本」風な第1章各節のタイトル
結果として、『スマートステップ 現代文』第1章各節のタイトルは
- 現代文学習をはじめる前に――現代文学習のよくある誤解
- 学習モデルを「見える」化する――自己分析フローチャート
- 身につけたい「力」を知る――読解と知識の両立
- 取り組み方を「分類」する――「王道」の現代文学習法
- 学習時間を「デザイン」する――時間管理と電子メディア
- 自分の課題を「意識」する――よくある現代文Q&A
という、ビジネス書・自己啓発本感がそこはかとなく漂うものになりました。
軽い文体、充実した内容。
とはいえ、当然のことですが、僕は自己啓発本やビジネス書が書きたかったわけではありません。
それによって、現代文を遠ざけている受験生にもアプローチできるかもしれないと感じていたのです。
できるだけ身近な、読みやすい文体で、それでいて内容は読み応えのあるものに。
それが特に第1章を執筆する際に目指したものです。
3段階+Q&Aで現代文の学習方法を理解する
第1章の内容を大きく分けると
- 心構え――第1節・第2節
- 学習法――第3節・第4節
- 時間管理――第5節
の3段階にQ&Aをつけた4部構成になっています。
現代文学習に入る前に心構えを作る
第1節では現代文学習に入る前に作っておきたい「心構え」を解説しています。
インターネット上に限ってみても
「現代文は勉強しなくてもできる」
という誤解はいまだによく目にするものです。
そこで、まずはこうした「思い込み」を捨て、現代文学習に向かうための心構えをつくるところから始めていこうというのが第1節の中心テーマです。
現代文学習を「現状認識」からはじめる
第1章の第2節には簡単な自己分析フローチャートを掲載しています。
これは、大まかなタイプ別に「適切な学習」というのはあるだろうという考えによるもの。
何かを目指す上で、現状を知ることはその最初のステップであるはずです。
志望校がある人も、まだ決まっていないという人も、まずは自分の現状を認識した上で最適なアプローチを模索してもらいたいと思っています。
「王道」の現代文の学習方法を理解する第3節・第4節
本書の強みとしては、「忙しい受験生が効果的な学習をする指針」を示していることが挙げられますが、それは何も「時間管理術」に限ったことではありません。
適切な学習ができない状態で「効率」ばかりを追い求めていても、思うような成果は得られません。
まずは第3節や第4節を通して、正攻法の学習法を理解しましょう。
工夫をしていくのはその後です。
時間管理術を具体的に紹介する第5節
予講の中でも何度か触れてきたように、現代の受験生は忙しいものです。
にもかかわらず、受験で使う科目だけに絞ってみても、やるべきことは非常に多い。
そこで、第1章の第5節では「忙しい受験生が時間管理を成功させる方法」を詳しく解説しました。
そこでは「できるだけ実践的で、誰でも取り組めるもの」に絞って解説しています。
この節で解説している時間管理・タスク管理の方法をベースに、自分に合った学習管理を模索していってもらいたいと願っています。
現代では欠かせない「電子メディアの活用法」にも言及
現代の受験生が効果的に学習を進めていくためには、スマホをはじめとした電子メディアの活用が不可欠でしょう。
例えばYouTubeの教育系コンテンツ。
もちろん「玉石混交」ではありますが、中には使い方次第で有用なものも少なくありません。
そこで、本書の中では電子メディアを活用する際の考え方を紹介することにしました。
ぜひ本書やEducational Loungeの「補講」を通して、電子メディアとうまく付き合いながら学習していく姿勢を身につけてください。
『スマートステップ 現代文』書籍情報
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『スマートステップ 現代文』予講 | |