2023年度 共通テスト[現代文]から見る高1・高2の学習指針

こんにちは、羽場です。

今回は、2023年1月14日に行われた大学入学共通テスト(本試験)の問題から、高1・高2生がどのようなことを意識して学習していくべきなのか、考えていきたいと思います。

なお、問題を解き、答え合わせをした上で読んでもらうとなお効果的です。
問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。

 

2023年度 共通テスト[現代文]から見る高1・高2の学習指針(総評)

最初に、今年度の本試験全体を通して見た今後の学習指針をご紹介します。

  • 基本的な読解力を養成する
  • テクスト同士の関係性をつかむ訓練を積む
  • 使い分けや意味を意識した漢字・語彙の学習を積む
  • センター試験過去問を通した問題演習で小説の基本的な読解力を養う
  • 基本的な読解演習と並行して、共通テスト特有の問題への対応力を磨く
  • 表現・叙述の効果の演習も抜かりなく行う
  • 時間意識を持った問題演習を行う
  • 多少終わらなくても丁寧に読み・解く意識を持つ
  • 「不要な情報は書かれていない」という姿勢で臨む

本年度の問題を分析していきながら、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。

 

2023年度共通テスト[現代文]全体の特徴

本年度の共通テストの出題は、第1問・第2問で見ると分量が多く感じられ、40分〜45分で解き切るのは難しく感じられた受験生も多かったと思います。

ただ、第3問・第4問の古典は例年ほどは時間のかからない問題でした。
したがって、全体で見るとバランスが取れていた印象です。

現代文に50分かけても解き終わった可能性は十分にあるでしょう。

とはいえこれはあくまで結果論。

試験中は「現代文が終わらない」というところで焦りを覚えた受験生が多かったことでしょう。
前から順番に解いていた受験生は、焦った状態で突入した古典が全く頭に入らなかったという事態も考えられます。

第1問・第2問の現代文は40〜45分程度で解き終えるつもりで演習を積みつつ、「多少終わらなくとも丁寧に読む」姿勢を持っておくことが重要でしょう。

 

第1問 論理的文章の読解

昨年の本試験同様、複数テクストの読解となりました。
出典は以下の通りです。

【文章Ⅰ】柏木博『視覚の生命力――イメージの復権』
【文章Ⅱ】呉谷允利『ル・コルビュジエと近代絵画――二〇世紀モダニズムの道程』

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どちらもル・コルビュジエの建築に関するテーマの文章でした。

ちなみに、ル・コルビュジエは上野公園内にある国立西洋美術館 本館の設計をした人物としても知られています。
東京に訪れた際は足を運んでみるのはいかがでしょうか。

 

設問から解答する戦略を立てる

共通テストでは、先に設問を確認することをお勧めします。
※選択肢までは見なくて良いでしょう。

ただし、漫然と眺めるだけなら時間の無駄です。

設問を確認しながら、戦略を立てる意識を持ちましょう。

今回は複数のテクストが並べられていましたが、設問を見ると問2問4【文章Ⅰ】単体、問5【文章Ⅱ】単体、問6だけが【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を横断する問題でした。
したがって、

  1. 【文章Ⅰ】を読む→問2問4に解答する
  2. 【文章Ⅱ】を読む→問5に解答する
  3. 問6に解答する

という流れで解くのが有効だったと考えられます。

 

読解時に意識すべきポイント

リード文に読解の上で大きなヒントとなる一文がありました。

……【文章Ⅱ】は、ル・コルビュジエの窓について【文章Ⅰ】とは別の観点から考察したものである。

複数テクストの読解においては、それらの文章がどのような意図で並べられているのかを把握することが必要です。

今回はリード文に書かれている通り、どちらも「コルビュジエの(建築物における)窓」について。
ただし、【文章Ⅱ】【文章Ⅰ】とは「別の観点から考察した」ものなので、【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を比較する出題があるだろうことが予想できました。

リード文をサラッと読み流す受験生も多く見られますが、リード文に書かれた情報をきちんと読み取ることは重要です。

基本的な姿勢として「不要な情報は書かれない」「必要だから記載されている」という視点を持っておきましょう。

 

複数テクストの読解

「複数テクスト問題」というのはやはり慣れないものかもしれませんが、実生活において複数のテクストを読むのは決して珍しくありません。

たとえば、英文や古文を読んでいる中でわからない単語に出会った際、私たちは辞書という別のテクストを参照しているはずです。

この時、いったいどんな作業をしているのかに注目してみましょう。

  1. メインの文章を読む
  2. わからない語句に出会う
  3. 辞書の記述をよく読む
  4. メインの文章の文脈に照らし合わせて適切な意味を選ぶ

ざっとこのような作業をしているはずです。

現代文の問題で出題される「複数テクスト」で求められているのも似たような作業です。
つまり、

  1. それぞれの文章をよく読む(①③)
  2. 両者の記述を照らし合わせる(④)

というイメージです。

 

本文読解のために身につけるべきこと

したがって、まず取り組むべきなのは1つの文章をきちんと読む力をつけることです。
(時間制約を除けば)私大や国公立二次に向けた学習と基本的には変わりません。

その上で、テクスト同士の関係性を掴む訓練を積んでいく必要があります。
学校や塾・予備校の教材、予想・実戦問題集などを活用してください。

 

文章読解で身につけるべきポイント
  1. 基本的な読解力を身につける
  2. テクスト同士の関係性をつかむ訓練を積む

 

第1問 設問ごとのアプローチ

続いて、設問ごとに必要なポイントを確認していきましょう。
今回の設問の概要は次のようなものでした。

  • 問1 漢字(書き取り/意味)
  • 問2 内容説明問題
  • 問3 理由説明問題
  • 問4 内容説明問題
  • 問5 内容説明問題
  • 問6 複数テクストに関わる内容説明問題

それぞれの設問を見ていきましょう。

 

問1 漢字

2022年の共通テスト本試験と同様、(ⅰ)が書き取り(3問)(ⅱ)が意味(2問)の構成でした。

(ア)の正答肢「感冒」(エ)の「琴線」など、難しく感じられるものもあったと思いますが、漢字の問題は死守したいところ。

(ⅰ)(ⅱ)ともに、普段から使い分けを意識した漢字学習ができているかが鍵を握っています。
「何も考えずに書き殴る」という学習からは抜け出しましょう。

『高校の漢字・語彙が1冊でしっかり身につく本』などを使用しながら、地道に学習を重ねていってください。

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問2〜問4【文章Ⅰ】の内容・理由説明問題

問2は①〜③段落の内容を押さえて解答すれば良い問題、問3は④〜⑤段落の内容を踏まえて、特に直前部に注目する問題、問4は⑦〜⑩段落を踏まえて解く問題でした。

基本的に各設問は「意味段落」「話題のまとまり」を押さえて解答する必要があります。
重要なのは「傍線部の前後だけでなんとかしよう」と考えないことです。

したがって、共通テストは時間の制約が厳しい試験であるとはいえ、本文の読解をおろそかにするわけにはいきません。

 

意味・話題のまとまりを意識した読解

個人的には、2021年共通テスト(第二日程)第3問は共通テストの方向性を考える上で示唆的なのではないかと思っています。

この問題は、問1の短文解釈、問2の表現・文法問題を除いて、傍線が一切引かれていません。
したがって、本文の内容・全体像を踏まえて、設問の要求に応じながら解答する必要があります。

今年度の問題を見る限り、現代文においても「意味・話題のまとまり」を意識した読解がこれまで以上に重視されていくのではないかと考えています。

設問のパターン別演習に精を出すより前に、まずは本文をきちんと読む力をつけていくことが近道と言えそうです。

 

問4 引用文も避けて通れない

この点(本文をきちんと読む)に関連して、注目すべきなのは問4でしょう。

問4は傍線部内の「フレーム」=「外界を切り取るフレーム」の関係を押さえつつ、後に出てくる『小さな家』の引用文から「景色を望むには、むしろそれを限定しなければならない」「まず壁を建てることによって視界をさえぎり……要所要所取り払い、そこに水平線の広がりを求める」の対応関係を掴む必要があります。

この問題は、「引用文は難しいから読まない」という姿勢では根拠を持って正解を選ぶことは不可能な問題です。

 

引用には必然性がある

著作権の観点から、引用には細かい条件があります。

引用の要件
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
文化庁HP「著作物が自由に使える場合」より)

(1)に注目してください。
引用には「必然性」が求められています。

そこに引用文がある以上、何かしら引用の目的があると考えて、「何についての引用なのか」「引用を通して何を伝えようとしているのか」考えつつ目を通すことを意識しておきたいものです。

 

問5【文章Ⅱ】の内容説明問題

【文章Ⅱ】に対応する問題です。

傍線部直後の「動かぬ視点テオリア」から、「沈思黙考」とのつながりを押さえられれば解答できました。

傍線部直後の「この」という指示表現に着目できたかどうかが鍵を握ります。

本文読解時に文と文のつながりをきちんと押さえられたかどうかがスムーズな解答に関係してくるでしょう。

 

問6 複数テクスト問題

【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】の関係性に注目した対話文型の問題です。
(ただし、(ⅱ)に関しては【文章Ⅰ】に関連した問題)

特に(ⅲ)は、空所の直前にある「【文章Ⅱ】と関連づけて【文章Ⅰ】を読むと」とあることに注目すると同時に、リード文中の「【文章Ⅱ】は、ル・コルビュジエの窓について【文章Ⅰ】とは別の観点から考察したものである。」という記述を思い出せたかどうかが鍵でした。

【文章Ⅰ】が「視覚装置」として窓を捉えていたことから、では「別の観点」にならないことに気づけるはずです。

 

設問解答のために身につけるべきこと

問6を除き、各設問は至って標準的なものでした。

したがって、私大や国公立大の対策と同様、本文の読解に基づいて的確に解答していくが要求されます。

まずは「王道」とでも言うべき現代文読解の問題演習を積んでください。
漢字や知識の学習も忘れずに。

とはいえ、もちろん問6のような「(今のところ)共通テストらしい」問題への対応も必要です。
オーソドックスな問題演習に合わせて、学校や塾・予備校の教材、予想・実戦問題集などを活用してください。

 

設問解答で身につけるべきポイント
  1. 使い分けや意味を意識した漢字・語彙の学習を積む
  2. 王道の読解演習を行う
  3. ①②に並行して、共通テスト特有の問題への対応力を磨く

 

第2問 文学的文章の読解

出典は梅崎春生「飢えの季節」でした。
ちなみに、梅崎春生は「赤帯の話」が2004年センター試験 本試験(国語Ⅰ)でも出題されています。

さて、著者の梅崎春生。

『真空地帯』などで知られる野間宏と並んで第一次戦後派として括られ、主に戦争や戦後社会を描く戦争文学で知られる作家です。(主な著作は「桜島」「ボロ家の春秋」、遺作の「幻化」など)
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本文の分量・設問数ともに増加したことを除けば、至ってオーソドックスな小説読解だったと言えるでしょう。
センター試験の過去問も含めた読解演習を通して、基本的な小説読解の技術を磨いてください。

また、「今年度出題されなかった=来年度以降も出題されない」というわけではありません。
今回は出題されなかった表現の特徴に関する対策もきちんとしておきましょう。

 

第2問 設問ごとのアプローチ

今回の設問の概要は次のようなものでした。

  • 問1 心情説明問題
  • 問2 心情説明問題
  • 問3 心情説明問題
  • 問4 心情説明問題
  • 問5 心情説明問題
  • 問6 心情説明問題
  • 問7 【資料】をもとにした考察

それぞれの設問を見ていきましょう。

 

問1〜問6 心情説明問題

傍線部につながる原因をとらえる、台詞にまつわる心情把握をするなど、これまでセンター試験時代から長年出題されてきた心情説明問題と同様だったと言えます。

ただし、先ほども述べた通り設問の数が多いことから、いかに素早く解答のポイントを見出せるか、そのポイントを踏まえて選択肢を素早く吟味できるかがポイントです。

良質な小説問題(センター試験の過去問を含め)演習を通して、「消去法に頼らない心情説明」の訓練を積みましょう。

 

問7 【資料】をもとにした考察

思うところがないことはないですが、個人的には割と好きな問題。

とはいえ、今回の分量を考えると不要だったのではないかという意見も散見されます。
その指摘は非常によくわかるのですが、今回の分量でも出題されたということは、この形式は作問サイドとしては必要だった問題なのでしょう。

おそらく共通テストでは今後もこのタイプ(ポスターに限らず、探究学習・主体的な学びを軸に据えた問題)が消えることはないのだろうと思っています。

 

不要な情報は書かれていない

(ⅰ)は広告と「焼けビル」、「会長の仕事のやり方」との共通点に注目する問題です。

ポイントになるのは【資料】の「●補足」にある情報まできちんと目を通していたかどうか。

ここでも、「不要な情報は書かれていない」「必要だから記載されている」という観点を持っておくと良いでしょう。

 

「何を問われているか」を把握する

(ⅱ)は空所を含む一文が「『焼けビルは』……」となっていることと、本文最終文の「……この焼けビルは、私の飢えの季節の象徴のようにかなしくそそり立っていたのである。」に注目すれば良い問題でした。

ただ、個人的にはの選択肢と迷った受験生もいたのではないかと思っています。

「そそり立(つ)」→自分が乗り越えるべき敵→「脱却する勇気」

という感じで。
そしておそらく、そのタイプの受験生は「深読みしすぎて……」と感じているのではないかと。

しかしながら、問題は「深読み」したことではなく、空所を含む一文をきちんと読めていないことでしょう。

落ち着いて考えてみると、今回は「『焼けビルがそそり立っていた』ことが何を意味するか」と問われているわけではなく、「焼けビル」が何を表しているのか(「飢えの季節の象徴」)を問われています。

「何を問われているか」に細心の注意を払うことを心がけましょう。

 

おわりに


今回は2023年度共通テスト[現代文]を簡単に分析しながら、今後の学習で意識すべきポイントを紹介してきました。

改めて、今後の学習指針を確認しておきましょう。

  • 基本的な読解力を養成する
  • テクスト同士の関係性をつかむ訓練を積む
  • 使い分けや意味を意識した漢字・語彙の学習を積む
  • センター試験過去問を通した問題演習で小説の基本的な読解力を養う
  • 基本的な読解演習と並行して、共通テスト特有の問題への対応力を磨く
  • 表現・叙述の効果の演習も抜かりなく行う
  • 時間意識を持った問題演習を行う
  • 多少終わらなくても丁寧に読み・解く意識を持つ
  • 「不要な情報は書かれていない」という姿勢で臨む

共通テストは 多くの受験生にとって初陣となります。
万全の状態で臨めるよう、今すぐに動き始めることをおすすめします。

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※本記事はプロモーションを含む場合があります。

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