物理の基礎固めをするためにおすすめの参考書・問題集とその取り組み方
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物理は基礎が大事だが、基礎のハードルが高い。

物理という科目は、基礎を固めることが重要となります。
基礎がないといくら標準問題や発展問題を解いても物理の実力は上がりません。

基礎があれば、それをもとに考えて解くことができるのですが、基礎がないと“その問題の解き方を覚える”ことを繰り返してしまい、後々の問題演習の効果が上がりません。

逆に、物理という科目は基礎が固まってしまうと、それだけでも大きく得点が取れるようになってくる科目です。
標準問題や発展問題も基礎の組み合わせでできていますから、ある程度の演習を積めば解けるようになっていきます。

しかし、物理は基礎のハードルが高い科目で、基礎の部分(入口)で挫折する人が非常に多いです。大人で「高校生の頃、物理は最初から全く意味が分からなかった」と言う人が多いのが現状です。

 

物理の基礎とは何か。そしてどうやって基礎を身につけるか。


まず、物理の基礎が固まるとはどういうことなのか。

それは、物理の用語、物理量の定義、公式を言葉や図で説明できるようになることです。

決してただ公式を丸暗記して問題の数値を当てはめて解くということではありません。

例えば、「力のはたらきとは?」「加速度の定義は?」「温度と熱の違いは?」「波とは?」などと聞かれて、きちんと言葉で答えられるでしょうか。

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物理の基礎を身につけるために教科書を読む

では、何のテキストを読むのが良いかというと、まずは学校で配布された検定教科書です。

学校の検定教科書には、多くの図や写真を用いて物理の用語が、高校生の間に身に着けてほしいレベルでしっかりと記述されています。

学校の授業と教科書・学校配布の問題集でしっかり物理の基礎を身に着けていって、実力が上がる人はそれで良いです。

しかし、物理の教科書を読み進めても、挫折をしてしまう人が多いのも事実です。
その理由を2つ挙げてみると、

①教科書だと説明が端的過ぎて、自力で行間が読めない
②教科書は公式っぽく式がまとめられていて、全て覚えなければいけないのかと感じてしまう

です。

②は重要な観点で、物理では何を覚えて何を覚えないか(覚えないで自分で考えて導くもの)の色分けが独学では難しいのです。

 

物理の基礎を固めるためにどんな参考書を使えば良いのか


そこで、教科書以外に、基礎固めをするのに使用すると良い参考書を2つ紹介します。

・鯉沼拓, 為近和彦(2012)『宇宙一わかりやすい高校物理』学研プラス
・折戸正紀(2018)『折戸の独習物理』数学社

の2冊です。どちらかをやれば良く、両方やる必要はありません。

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受験物理界では、浜島清利『物理のエッセンス』(河合出版)がとても有名ですが、ある程度の基礎が身についていないと、「力学」はまだいけても、「波動」「熱」「電磁気」「原子」分野は、物理のエッセンスの端的な説明とクセで、挫折してしまう可能性と、よく分からないから誤魔化して暗記に走ってしまう可能性が高いです。

その前に基礎的な参考書を挟みましょう。

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折戸の 独習物理

 

『宇宙一わかりやすい高校物理』の特徴

『宇宙一わかりやすい高校物理』は、図をふんだんに用いて教科書レベルをかなりかみ砕いて解説してあります。

キャラクターが出てきたり、くだけた表現で記述されていたりするので、もっと硬派な参考書の方が良いという人は、『折戸の独習物理』の方が向くかもしれません。

ページ数が多くて分厚いのですが、心配することはありません。
右側ページは全て図やグラフなどになっており、本文は1冊の半分程度です。

この思い切ってページの右半分を全て図やグラフにしているところが良いですね。

なぜなら、高校物理では、物理現象をビジュアルでイメージできるようになることがとても大切だからです。

物理の学習の流れは、高校生の間に物理現象をイメージする力を醸成し、大学に入学したら、より数式を重視して、抽象的なまま議論を進めていく力を磨いていくといった感じです。
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5月に開かれているとある学会にて、最難関大学の教授の方々が以下のように言っていました。

「問題文を読んで、どんな物理現象が起こっているのかイメージできない受験生が非常に多い。文字や数式の情報から、図を描いて考えられる受験生に入学してきてほしい」

表紙やタイトル、中に出てくるキャラクターなどは好みが分かれるでしょうが、代ゼミの為近和彦先生が監修していて、あまりクセのない良質な参考書となっています。

この参考書は、物理をきちんと説明していないから駄目だというような批判があるかもしれませんが、それはお門違いです。
あくまでこれは初学者の段階の参考書であって、この後にもう少し踏み込んだ説明をしている『検定教科書』やその他の参考書を上積みしていけば良いのです。

最初から欲張って勉強して挫折するくらいなら、『宇宙一わかりやすい高校物理』でざっと流れをつかんで、その後にもっと深める参考書に入っていけば良いのです。

 

『宇宙一わかりやすい高校物理』の使い方

まずはざっと読んで、例題と別冊の問題集を指定された箇所で解いていきましょう。
もちろん解説は何かで隠しながら。

間違えた問題には印をつけておいて忘れたころに解き直しをして、解けない問題がなくなるまで間違えた問題を解き直ししましょう。
さらに、他の人に物理のそれぞれの概念を分かりやすく説明するにはどう言語化してどんな図を書いて説明すればよいのかを考えながら読み進めていくと理解が深まります。

例えば「運動方程式をどう説明しようか」などです。

 

『折戸の独習物理』の特徴

こちらは『宇宙一分かりやすい高校物理』のようなポップなレイアウトではありませんし、言葉も少し硬い表現になっています。

しかし、解説はとても丁寧で分かりやすいです。
『宇宙一わかりやすい高校物理』の説明が冗長でまどろっこしいと感じる方は、こちらの方が良いかもしれません。

「理解のコツ」というコーナーが随所に散りばめられていて、先述した「何を覚えて何を覚えないか」など、物理の理解の手助けになります。

問題も良問ぞろいで、初学者の状態から『宇宙一わかりやすい高校物理』レベルよりも上まで駆け上がることが出来ます。

「大学への物理」というコーナーがあり、数学Ⅲの極限と微分積分が分かれば、微積を用いた大学での物理の記述にも触れて概念を深めることができます。
ただし、数学Ⅲを未習の初学者には難しいので、始めは読み飛ばしても結構です。

デメリットを挙げるとすると、図が少ないことです。
ですので、学校の検定教科書の図や写真を常時参照し、物理現象のイメージをつかみながら読み進めていくと良いです。

 

『折戸の独習物理』の使い方

説明をざっと読んで、問題を解き進めましょう。

数学Ⅲで極限・微分積分を履修するまでは、「大学への物理」というコーナーは読み飛ばしても良いです。履修していたとしても、無理をする必要はありません。

間違えた問題には印をつけておいて忘れたころに解き直しをして、解けない問題がなくなるまで間違えた問題を解き直ししましょう。

宇宙一と同様に、他者に物理のそれぞれの概念を分かりやすく説明するには、どう言語化してどんな図を書いて説明すればよいのかを考えながら読み進めていくと理解が深まります。

 

物理の基礎固めができた後に取り組みたい参考書・問題集


基礎固めができた後は、

・為近和彦(2014)『為近の物理基礎&物理 合格へ導く解法の発想とルール』学研プラス
・浜島清利(2013)『物理のエッセンス』河合出版

のいずれかに進むのが良いでしょう。
『解法の発想とルール』はあまりクセのない解法や解説で本質的です。

『物理のエッセンス』は少しクセのある解法や解説が所々にあります。
浜島先生の路線に乗って、『物理のエッセンス』→(『良問の風』)→『名問の森』と進んでいく有名ルートでいくと接続が良いですが、物理のエッセンスの青い方(熱・電磁気・原子編)は特にクセが強い部分があるので書店で確認してみると良いです。
例えば、コンデンサー回路など。

基礎固めができた後についてはまた別の記事で詳しく紹介したいと思います。

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