小論文塾メイジャーステップ代表の根岸です。
以前、「【作文とは違う!】小論文の書き方の原則を教えます。」という記事で、小論文を書こうと思っても書き方がわからずに始められない人に向けて、作文の書き方と比べながら小論文の書き方の原則についてお話ししました。
さて、今回は『はじめの一歩』の次の段階のお話です。
「書くべき内容は十分に準備できたんだけど、書こうと思うとうまくまとめられない……」
こういう悩みを抱えている人も多いのではないかと思います。
大学受験の小論文は、どのような構成で書けばよいのか。
今回はこのテーマについて説明します。
目次
書くべき内容があれば、小論文は書ける
よく、次のように質問されることがあります。
「小論文の書き方がよくわからないんです」
「小論文ってどうやって書けばいいのですか?」
これを読んでいるあなたもきっと同じような質問、不安を感じていますよね。
でも、ちょっと考えてみてください。
大学入試の小論文で求められる字数は、400字~600字程度。
一般的な作文の原稿用紙であれば1枚~1枚半です。
たいした字数でもないでしょう。
書くべき内容があれば、小論文は書けるのです。
まずは書くべき内容をしっかり考えて準備しましょう。
私が書いた『身近なテーマで考える力をやしなう 小論文はじめの一歩』では、小論文で求められる「考え方」を詳しく学べます。
参考にしてください。
小論文に基本的な構成法はあるのか?
大学受験小論文の書き方の「型」については、世の中にたくさんの言説があふれています。
・最初に問いを設定し、その答えを書け!
・いや、問題点と解決策を書け!
・初めに具体例を書け!
・いや、初めに自分の意見を述べよ!
・4段落構成で書け!
・いや、3段落構成だ!
この通り、相容れない「型」が至る所で語られているのが小論文学習の世界です。
その意味で、小論文の基本的な「型」は存在しないと言えます。
しかし、これでは受験生は何を信じたらよいかわかりませんね。
いろいろな文章の「型」に共通するポイント
そこで、私は考えました。
たしかにいろいろな文章の「型」はあるけれど、それらに共通する要素を抽出することはできるのではないか。
その共通点を大学受験生が身につければ、どんな型で書いても適切な構成の小論文になるのではないか――。
どの「型」で書くかはもちろん大切です。
自分に合った「型」を身につけるべきです。
しかし、それと同じかそれ以上に大切なのは、どんな「型」にも共通する小論文の構成法を知り、活用することなのです。
小論文の文章構成法のポイント3選
どんな「型」にも共通する小論文の構成法、ポイントは3点あります。
一つの段落に一つの役割を持たせる
一般的な小論文は複数の段落で文章を構成します。その際、一つの段落には役割を一つだけ持たせることが大切です。
たとえば、4段落構成なら、
1 論点の設定
2 メリット
3 デメリット
4 意見
あるいは、
1 意見
2 理由
3 具体例
4 結論
など。
大切なのは、段落をまたいで同じ内容が続かないようにすることです。
一つの段落で内容が完結するように文章を構成しましょう。
段落の第一文にその段落の趣旨を書く
その段落の趣旨を段落の第一文に書くと、小論文を構成しやすくなります。
これには理由がふたつあります。
1.文章を構成しやすくなる。
2.採点者が読みやすくなる。
少し詳しく説明しましょう。
1点目について。
段落のはじめに趣旨を書けば、その詳しい説明を段落内ですればよいので、文章を構成しやすくなります。
小論文の文章をスムーズに書けるようにするため、段落の第一文、段落の書き出しをしっかり考えてください。
もう一つ、採点する先生が読みやすいという点も挙げられます。
第一文に段落の趣旨を書くのは、文章に見出しをつけたり、画面にテロップを出したりするのと同じことです。
「これが大切です!」と採点する先生にメッセージを伝える役割を果たします。
段落の第一文をつなげて読むと小論文全体の要約になるように、段落を並べる
一つの段落に一つの役割を持たせ、第一文に段落の趣旨を書けば、小論文全体の構成はもう決まったようなものです。
第一文をつなげて読んだときに、文章の筋道がわかる構成にすればよいのです。
実は小論文の文章構成とか「型」と呼ばれるものは、この段落の並べ方のことなのです。
「型」とは並べ方のパターンの一つです。
ですから、がっちりと「型」を守らなければならないものではありません。
全体の筋道が通るように「型」を崩す場合もあります。
いずれにせよ、「型」は段落の並べ方のパターンであり、構成法のひとつだと考えてください。
筋道が通るように段落を並べることが大切です。
段落の第一文をつなげて読むと小論文全体の要約になる。
口で言うのは簡単ですが、実際やってみるとけっこう難しいので、練習を重ねてくださいね。
この構成法を身につけると、これまで小論文の構成で悩んでいたことがバカバカしいことだったと思えるようになります。
おわりに
よく小論文では「論理的な文章構成が大切」と言われます。
しかし、「論理的な文章構成」とはいったいどういった構成なのでしょうか?
きちんと教えられないまま「論理的な文章構成」で書けと言われても難しいですよね。
実は「論理的な文章構成」というのはそれほど難しいことではありません。
一つの段落に一つの役割を持たせ、第一文に趣旨を書き、それを筋道が通るように並べれば、「論理的な文章構成」になります。
小論文の文章構成を考えることは、小論文の「型」を考えることではありません。
筋道が通る段落の並べ方を考えることです。
一言で言うならば、文章構成≒段落構成なのです。
小論文の文章構成で一番大切な「段落の構成の仕方」を、この文章を読んだ受験生に身につけてほしいと強く願っています。
がんばってください!
現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。
基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。