2024年度共通テスト国語(現代文)から見る、高1・高2生の学習指針

こんにちは、羽場です。

共通テストが終わりました。
受験された方はひとまずお疲れ様でした。
ここからが本番という人が大半だと思います。今回の経験を活かして最後まで気を引き締めて臨んでください。

今回は、2024年1月13日に行われた大学入学共通テスト(本試験)の分析を通して、高1・高2生がどのようなことを意識して現代文を学習していくべきなのか考えていきたいと思います。

来年度からは新課程での実施となるため、形式的には今年の問題から大きく変化すると考えられますが、本質的な部分では参考にするべきところも多いでしょう。

なお、80分で問題を解き、答え合わせをした上で読んでもらうとなお効果的です。
問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。

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第1問 渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学――境界線上の音楽』

第1問は渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学――境界線上の音楽』からの出題でした。

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著者の渡辺裕氏の文章は2004年のセンター試験で「聴衆の『ポストモダン』?」が出題されて以来の出題です。

共通テスト国語(第1問)の出典一覧

参考までに、これまでの第1問の出典を挙げておきます。

年度本・追出典(初版発行年)
2024本試験渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学――境界線上の音楽』(2013年)
2023本試験【文章Ⅰ】柏木博『視覚の生命力――イメージの復権』(2017年)
【文章Ⅱ】呉谷充利『ル・コルビュジエと近代絵画――二〇世紀モダニズムの道程』(2019年)
追試験北川東子「歴史の必然性について――私たちは歴史の一部である」(2009年)
2022本試験【文章Ⅰ】檜垣立哉『食べることの哲学』(2018年)
【文章Ⅱ】藤原辰史『食べるとはどういうことか』(2019年)
追試験若林幹夫「メディアの中の声」(1992年)
2021第一日程香川雅信『江戸の妖怪革命』(2005年)
問5(資料)芥川龍之介「歯車」(1927年)
第二日程多木浩二『「もの」の詩学』(1984年)

昨年度、一昨年度と2年続けて出題されていた複数テクストの形式ではありませんでした。

第1問の全体外観

字数は3889字(空白除く)だったため、昨年度よりも500字程度増加してはいますが、内容的にも文体としてもそれほど読みづらい印象は受けなかったのではないかと思います。

また、ある種の結果論にはなりますが、分量としても慌てて読む必要はなかったでしょう。むしろ具体例部分も含めて丁寧に文章を捉え、設問に対して的確に解答をしていく方が得策だったと言えます。

第1問の設問形式

2024年度共通テスト本試験(第1問)の設問は以下の通りでした。

設問内容形式配点
問1(ア)〜(オ)漢字[載・活し物・悪れ]各4択10(各2)点
問2理由説明問題5択7点
問3傍線部説明問題(換言)5択7点
問4理由説明問題5択7点
問5文章構成・展開の問題4択7点
問6【文章】学生のレポート456字
(ⅰ)表現の修正4択3点
(ⅱ)脱文挿入問題4択3点
(ⅲ)結論の加筆(主旨合致問題)4択6点

設問の全体的な傾向としては、これまでのセンター試験に近い形に戻りました(問6除く)。
基本的に各意味段落ごとに対応する傍線部が設定されており、その意味段落の内容を踏まえて解答していく形です。

問6については後述します。

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第1問で注目すべき設問――問2・問4・問6

2024年度共通テスト(第1問)で注目しておきたい問題をピックアップして簡単に解説します。

問2:意味段落の概要を掴む

まずは問2です。

解答のプロセス
  1. 傍線部を含む一文(傍線文)の分析
  2. 直後から「微妙」さが具体的に説明されていたことに気づく
  3. 解答のポイント
    ・「宗教行事」でありながら「通常の儀礼という範囲に」はおさまらない
    ・音楽自体を「鑑賞」の対象にしている
    ・第⑥段落最終文

この「解答のポイント」を押さえた選択肢が⑤でした。

文章を読んでいる際に、「筆者が『微妙』と判断した根拠が説明されるだろう」と考えながら読み進められた受験生にとっては、参照すべき範囲の特定は容易だっただろうと思います。
また、直前文「複合的な性格」という部分に注目して、これが具体化されている箇所、という追いかけ方でも良いでしょう。

いずれにせよ、本文を慌てて読むよりも、文同士の関係性を意識しながら丁寧に読解していく方がスムーズに解答できたであろうことは言うまでもありません。

各選択肢内の因果関係(①③「〜によって」、④「〜ことで」)にも注意しておきたいところです。

問4:最終段落まできちんと読むことが要求される

問4についても個人的には注目しておきたい問題でした。

解答のプロセス
  1. 傍線部を含む一文(傍線文)の分析
  2. 直後の一文が傍線文の理由説明になっていることに気づく
  3. 傍線文「だがそうであるならば」=直後の一文「このような状況自体〜だとすれば」……A
  4. 「警戒心を持つ」→注意すべき問題点がある
  5. 第⑩段落の第2文「それにもかかわらず〜すりかわってしまい」が問題点だと気づく……B

AとBのポイントを両方含む選択肢が⑤です。

現場で指導していると、「文章の終わりが見えてきたタイミングで残りは読み流す」という読み方をしている受験生にしばしば出会います。
こうした姿勢でこの部分を軽く読み流していると、この設問の解答に時間がかかったことが予想されます。

昨年度の本試験でも引用文を参考に解答することが要求される設問が出題されていました。
共通テストに限った話ではありませんが、今後は与えられた文章をきちんと全文読解していく姿勢を持ってください。

問6:新傾向の出題を含む学生レポートの推敲

やはり気になるのは問6でしょう。
この、学生の作成した【文章】を推敲するという形式は2022年度、2023年度の追試験でも出題されていました。

(ⅰ)は慌てていると迷ったかもしれませんが、「作品→違う印象」の関係になっているものを冷静に判断すれば解答可能です。

(ⅱ)はセンター試験・共通テストともに、基本的には出題されてこなかった脱文挿入問題が出題されました。

解答のプロセス
  1. 加筆しようとしている一文(脱落文)の分析
  2. 解答のポイント
    ・「それは……からだろう」(理由説明)
    ・「作品の舞台に足を運んだ」+「体験したイメージで作品を捉え直した」
  3. 作品のイメージが変わったことを述べた文の直後に挿入する

脱文挿入問題は文系受験生にとって馴染みのある問題ではありますが、共通テストのみ現代文を使うという受験生にとっては解き慣れていないものだったかと思います。

このように、今後も様々な形式の問題が出題される可能性は十分にあります。
問題演習をする際には「この形式は出ない」などと決めつけることなく、ある程度様々な問題に取り組んでいく必要性はありそうです。

(ⅲ)については【文章】の論旨が「作品→現実のイメージ」「現実のイメージ→作品のイメージ」という関係性に気づけるかどうかがポイントでした。

通常の趣旨合致問題と同じように、丁寧に論旨を掴むことを意識しましょう。

2025年度共通テスト受験生が第1問対策で意識しておくべきポイント

2025年度の共通テスト国語は時間・大問に変化があることが発表されています。
それに伴い、第1問の分量が今年より減る可能性はあると考えていますが、要求される力にさほど大きな変化はないでしょう。

第1問対策のポイント
  • 「速く読む」よりも「きちんと読んで、速く解く」
  • 解答のイメージを掴んだ上で正解を選びにいく
  • 様々な形式の問題が出題される可能性を頭に入れておく

これらのポイントを踏まえて、基本的な文章読解の手法を学び、問題演習を重ねていくことをお勧めします。

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第2問 牧田真有子「桟橋」

第2問は牧田真有子「桟橋」(河出書房新社『文藝』2017年秋季号初出)。
こちらも複数テクストの形での出題ではありませんでした。

今回の主要な登場人物は16歳の高校生「イチナ」とその周辺の人物。
比較的読み進めやすい設定だったと言って良いでしょう。

共通テスト国語(第2問)の出典一覧

センター試験も含め、特に本試験の第2問は発表年や舞台設定が古い作品が続いていましたし、登場人物の年代などの設定が現代の受験生とは異なる出題が続いていました。

第2問についても、これまでの出典を挙げておきます。

年度本・追出典(初出もしくは刊行年)
2024本試験牧田真有子「桟橋」(2017年)
問6(資料)太田省吾「自然と工作――現在的断章」(1980年)
2023本試験梅崎春生「飢えの季節」(1948年)
追試験太宰治「パンドラの匣」(1946年)
問6(資料)外山滋比古『「読み」の整理学」(2007年)
2022本試験黒井千次「庭の男」(1991年)
追試験室生犀星「陶古の女人」(1956年)
問6(資料)柳宗悦「『もの』と『こと』」(『工藝』1939年2月号所収)
2021第一日程加能作次郎「羽織と時計」(1918年)
問6(資料)宮島新三郎「師走文壇の一瞥」(『時事新報』所収) (1918年)
第二日程津村記久子「サキの忘れ物」(2017年)

2010年代後半の作品が出題されたのは2021年の第二日程以来です。
古い文章では、舞台設定が現代の受験生が置かれている状況とは大きく異なるため、背景の設定もきちんと整理する必要がありますが、今回の問題ではそこまでの隔絶感はなかったと思われます。

とはいえ、時系列を含めて話の展開を丁寧に整理していくことが要求されていることは変わりません。

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第2問の全体外観

本文の字数は2992字(リード文・空白除く)だったため、昨年度よりも1000字程度減少しました。

したがって第2問も第1問同様、慌てて読む必要はなかったと言えます。
たしかに問7で380字程度(383字)の資料が出題され、さらには対話文の形式での設問があることから、時間が足りない感覚はあったかもしれませんが、やはり慌てる必要まではない分量です。

とはいえ、それでも本番は焦ってしまうものなので、日頃から「きちんと文章を読み、設問は速く解く」ということを意識した学習を積んでおくことが共通テスト現代文攻略の鍵を握っているでしょう。

第2問の設問形式

2024年度共通テスト本試験(第2問)の設問は以下の通りでした。

設問内容形式配点
問1(ア)〜(ウ)語義[うらぶれた・もっともらしい・やにわに]各5択9(各3)点
問2傍線部説明問題5択5点
問3心情説明問題5択6点
問4表現説明問題5択7点
問5心情説明問題5択7点
問6表現説明問題6点
問7【資料】太田省吾「自然と工作――現在的断章」383字
(ⅰ)資料を用いた本文理解問題(空所補充)4択5点
(ⅲ)内容説明問題(空所補充)4択5点

問1で語義把握の問題が復活していますが、この問題は2023年度追試験でも出題されています。
第1問の問6(文章の推敲)も併せて考えると、共通テスト対策としては追試験にも触れておく必要があるでしょう。

(ウ)の「やにわに」は日常生活で聞く機会はほとんどないかもしれません。
とはいえ、2011年のセンター試験(追試験)でも出題されている語です。

センター試験では過去に出題された漢字や語句が再び出題されることもありました。
対策の一環としてセンター試験・共通テストで過去に出題された漢字・語句については一通りおさえておくというのも手でしょう(諸々クリアできたらそのうち公開するかも……)。

また、表現の特徴についての設問にも慣れておきたいところです。
「『表現の特徴』+『内容・効果』→二つの要素の関係性」の3つの要素をおさえて解きましょう。

表現の特徴・叙述の効果
  1. 内容・効果は本文から読み取れるか確認する
  2. 表現は本文と一致しているか確認する
  3. その二つの関係は適切か確認する
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第2問で注目すべき設問――問3:心情説明問題

まずは問3の心情説明問題です。

解答のプロセス
  1. 傍線部を含む一文(傍線文)の分析
  2. 「言ってしまうと」→「もう気安い声を……」の関係を掴む
    ・直前の台詞を言ったことで傍線部の状態になったことをおさえる
    ・「もう」とあることから、直前の台詞を言ったことで何かから解放されたことを掴む
  3. 直前の台詞が出てきた流れを確認する

心情説明問題では、心情の原因となった事態を正確に掴むことが鍵を握ります。
ここでは、「『おばさん』のことを億劫に感じているのか問われたことに対して弁解したことで解放された」という流れをつかめればOKです。

心情説明問題でもきちんと「事実」を捉える

ひとまずここでは選択肢の①に注目してください。

選択肢では「〜口止めされていた」とありますが、本文では「これ言っていいのかな」と述べられていることに気づきます。
「言ってはいけないのかもしれない」と感じていたとは読み取れるにしても、「口止めされていた」という要素は本文中から読み取れません。

「ロジカルシンキング」で有名なフレームワークに「空・雨・傘」というものがあります。
簡単に言うと、「空が暗くなってきた→『雨が降りそうだ』→傘を持って家を出た」というとき……

「空・雨・傘」のフレームワーク
  • 空が暗くなってきた(事実)
  • 雨が降りそうだ(推論)
  • 傘を持って家を出た(事実)

この「事実」と「推論」の区別は小説の心情説明問題でも重要です。
一人称小説では特にそうですが、小説の問題を解く際には「書かれている事実をきちんと把握する」「推論は推論として捉え」という意識を持ってください。

問7:複数テクスト問題

2024年度の第2問は本文こそ複数テクストの形式ではありませんでしたが、問7で【資料】を用いた複数テクストの読解が要求されていました。

特に(ⅰ)では、【資料】と本文の関係性を丁寧に抑えることが必要です。
共通テストに限らず、資料が出題されたときの基本的なパターンとしては以下の3つが考えられます。

資料を用いた出題パターン
  • 資料+本文の相互参照
  • 複数の資料同士の比較
  • 資料のみの読解

今回の(ⅰ)はそれぞれの関係性を掴む「相互参照」パターンです。
資料の中で述べられている「枠」の概念を掴み、おばには自分を「枠づけ」ようとする様子が見られなかったというところから出発したいところでした。

2025年度共通テスト受験生が第2問対策で意識しておくべきポイント

第1問と同様に、分量が今年より減る可能性はあると考えていますが、要求される力にさほど大きな変化はないでしょう。

第1問対策のポイント
  • 「速く読む」よりも「きちんと読んで、速く解く」
  • 表現の特徴を問う問題の対策も抜かりなく
  • 書かれている事実を「事実」として捉える
  • 複数テクストはテクスト同士の関係性に意識を向ける

これらのポイントを踏まえて、基本的な文章読解の手法を学び、問題演習を重ねていくことをお勧めします。
特に、小説は対策が手薄になりがちな分野でもあるので、ぬかりなく取り組んでいきたいですね。

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2025年度共通テスト受験生が意識しておきたいポイントまとめ

今回は、2024年度大学入学共通テスト(国語)第1問・第2問の分析を通して、2025年度受験生が共通テスト対策として取り組んでおきたいポイントを紹介してきました。

改めてポイントをまとめておきます。

共通テスト対策のポイント
  • 「速く読む」よりも「きちんと読んで、速く解く」
  • 解答のイメージを掴んだ上で正解を選びにいく
  • 様々な形式の問題が出題される可能性を頭に入れておく
  • 追試験にも取り組んでおきたい
  • 表現の特徴を問う問題の対策も抜かりなく
  • 小説では、書かれている事実を「事実」として捉える
  • 複数テクストはテクスト同士の関係性に意識を向ける

共通テストをはじめ、新課程になっていろいろと入試が変化する2025年。
様々な可能性を考えながら、万全の準備を整えて本番に臨めるように、今から準備を始めてください!

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※本記事はプロモーションを含む場合があります。

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