こんにちは。
世界史講師の鈴木悠介です。
皆さんは世の中に溢れるたくさんの参考書と正しく向き合えているでしょうか。
以前、「世界史参考書を選ぶ時に意識しておきたい5つのポイント」という記事を書きましたが、今回はそれを踏まえて、ジャンルごとの具体的なおすすめ参考書を紹介したいと思います。
目次
世界史の参考書を選ぶ前に、自分に必要なジャンルを知る
参考書選びにおいては、まず自分に必要なジャンルを知ることが大切です。
世界史も講義系参考書・問題集・一問一答などのジャンルがありますが、中でも多くの受験生が使っている講義系参考書から紹介しましょう。
講義系参考書
講義系参考書とは、教科書の内容を噛み砕いて説明した通史の解説本のことです。
これまでに多くの「定番」が登場しましたが、特におすすめなのが『ナビゲーター世界史』(山川出版社)です。
『ナビゲーター世界史』
この本はかつて山川の世界史用語集の執筆にも携わっていた、元都立高教諭・鈴木敏彦先生の著作です。
初版は90年代の終わりになりますが、改訂を重ねつつ、今では世界史受験生のバイブルとしての地位を築いています。
おすすめポイントとしては、シンプルに記述の質が極めて高いことです。
細かすぎず、荒すぎずの絶妙なラインを突く鈴木先生の筆致は名人芸というべき出来です。
さらに、全編にわたって「一発でスッと頭に入る言葉」が紡がれており、膨大な内容でも不思議と過度な負担は感じません。
こういった点から、どこの大学を志望する受験生にも広く推奨できるシリーズといえます。
世界史問題集は「インプットするための手段」として取り組む
次に問題集の紹介に移りましょう。
問題集は、歴史事項のまとまったプリントやサブノートの類を「インプットするための手段」として取り組むべき教材です。
問題集は選ぶ際に問題のレベルや解説の質ばかりに意識が向きやすいですが、意外と重要なのが解説のレイアウトや紙質など、実用書としての使い勝手です。
実際に手に取ってみて、これなら続きそうと感じる一冊を探しましょう。
解説の質という点では、解説文を「客観的情報」(歴史事項の解説)と「主観的情報」(著者による問題への感想コメントなど)に分けて分析してみましょう。
前者の記述は、大半の問題集において大差ありません。
差がつくのは後者です。
『ヒストリア世界史精選問題集』『イチから鍛える世界史』
以上を踏まえた上でおすすめしたいのが、『ヒストリア世界史精選問題集』(学研プラス)と『イチから鍛える世界史』シリーズ(学研プラス)です。
『ヒストリア』は「主観的情報」が充実しており、解説の読み応えがあります。
問題のレベルは高いですが、解説が丁寧なので疑問が残ることはないでしょう。
一方、『イチから鍛える世界史』はレベル別のシリーズ展開がされている点で類書と一線を画します。
「入門編」「必修編」「発展編」の3レベルが刊行されており、同じ著者による手ほどきで入試基礎から難関私大までの実力養成を行うことができます。
解説の充実度もさることながら、取り外し可能な別冊付録(地図やテーマ史)も魅力です。
世界史一問一答は使い方に注意が必要
最後に一問一答を紹介します。
一問一答は今や受験生の必須アイテムとなっていますが、その使い方には注意が必要です。「一問一答依存症」にかかると実力の伸びが頭打ちになるため、あくまでアウトプットの中心は問題集に据え、一問一答はサブ的な位置付けにするのが成功する受験生のあり方です。
『斎藤の世界史B一問一答 完全網羅版』
さて、多くの受験生が一問一答に期待することの一つとして、用語網羅性があります。
その点を最優先で選ぶならば、『斎藤の世界史B一問一答 完全網羅版』(学研プラス)で問題ありません。
本書は、いわゆる「東進一問一答」としてベストセラーだった実績を持つ名著の後継書です。
用語も頻度順に分けられていますので、目的に応じた使い方も可能です。
『世界史単語の10秒暗記 ENGRAM2250』
もう一冊、ひとつ上の一問一答学習をしたい受験生におすすめなのが『世界史単語の10秒暗記 ENGRAM2250』(学研プラス)です。
こちらは通常の一問一答学習で陥りがちな「単線的な学習」からの脱却を主眼として制作された一冊です。
世界史用語の「多面的な問われ方」に対応できる実力を養うにはもってこいです。
詳細はこちらの記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
▼「『世界史単語の10秒暗記 ENGRAM2250』(学研プラス)のコンセプト」
おわりに
今回は講義系参考書・問題集・一問一答という、いわば世界史学習「三種の神器」の紹介を行いました。
皆さんの参考書選びの一助となれば幸いです。