高1・高2生が「図形」の土台を固めるために取り組むべき学習とは?

こんにちは。
数学講師の大塚志喜です。

今回の記事では,非受験学年のみなさんに向けて「図形学習の仕方」について話していこうと思います。

図形分野はどの分野よりも差が大きくなる分野です。
苦手な人はとことん苦手なまま受験勉強に突入してしまいます。

そうならないためにとにかく早いうちから手を打たなければなりません。

しっかりと土台を固める学習法について考えていきましょう。

図形の土台を固めるには兎にも角にも幾何の「積み重ね」

図形が苦手だという人は,まずは中学範囲から始めなければいけない人が大多数です。

幾何は積み重ねがとにかく大切です。
しかも,他の分野に比べて必要な積み重ねが膨大です。

頑張ろうと思っても,それまでの積み重ねがなければ何の力にもなりません。
とにかく土台から固めていく必要があります。

 

「公立高校入試の図形分野 8 割」を目標にする

中学までの幾何の復習は,「公立高校入試の図形分野 8 割」を目標にしましょう。

公立高校入試では図形分野からの出題がだいたい 20~30 点分ほどあるようです。
そのうち 8 割くらい安定して得点できる力があれば,必要な土台が固まってきたと思って大丈夫です。

残りの2割部分に関しては高校範囲の学習の中で 一緒に磨いていきましょう。

 

図形の土台を固めるために大切なこと

数学の分厚い問題集は「問題辞書」として利用しよう
図形の訓練というと,長さや角度,面積や体積を求めることがメインだと思っている人が多いかもしれません。
しかし,もう一つとても大切なことがあります。

土台を固めるためには「証明」が大切

それは証明です。

値を求めるだけでなく,論証に時間をかけなければいけません。
なぜならば,論証の訓練こそ数学の訓練そのものだからです。

数学というのは答えを出す学問ではありません。
なぜ自分の出した答えが正しいのか,誰が読んでも納得できる文章で説明するのが皆さんに求められる数学的思考力です。

 

「説明」をする訓練を積むには高校受験レベルの証明問題が最適

「証明」なんて堅苦しく考える必要はありません。
「説明」でいいのです。

「どうして自分はそう考えたのか」「なぜその考え方は正しいと言えるのか」を文章にする練習をしましょう。
そしてその練習として,初心者に最も効果的な題材が高校受験レベルの証明問題なのです。

とにかく証明から逃げないでください。
この訓練をきちんと積むか積まないかで図形問題どころか数学全体の能力に影響を与えます。

 

論証力の鍛え方


しかし,ただ闇雲に問題を解けばいいというわけではありません。
いきなりオリジナルの文章を書くのはハードルが高すぎます。

 

まずは穴埋め問題から始める

まずは穴埋め問題から始めましょう。
それを通して「証明ではこんな文章を書けば良いんだ」という流れをつかんでください。

問題を解いていく中で「こう書けばきちんとした説明になる」と納得し,自分のものにすることが大切です。

 

穴埋め問題を解いた後,自力で証明を書いてみる

穴埋め問題を解いた後に,その問題の証明を自分で書いてみてください。

問題の通りの文章を書こうとするのではなく,自分の言葉で説明を書くことを意識しましょう。
そして,書いた後は数学のできる身近な先生にチェックしてもらってください。

初めのうちはダメ出しをされると思いますが,経験をしっかりと積み重ねることで徐々にきちんとした文章が書けるようになります。

 

穴埋めではない証明問題に挑戦する

その流れで,穴埋めではない証明問題に挑戦していきましょう。

自分の言葉で説明を書いて,ダメ出しがほとんどなくなってきたら十分力がついてきている証拠です。

そうなれば,高校範囲に突入してもほとんど困らないレベルになっているでしょう。

 

証明の練習を通して,必要な知識も身につけている

証明以外の部分はどうするのかと思っている人がいるでしょう。

実は,証明がある程度できるようになった頃には必要な知識がかなり身に付いている状態になっています。

自分の言葉で証明を書くためには知識が必要です。

合同条件を知らなければ合同の説明などできません。
相似条 件を知らなければ相似の説明などできません。

このように,そもそも大切な知識が入っていなければ説明どころの話ではないのです。

そこで,序盤は証明以外の計算問題を中心にやっていき,徐々に証明問題にシフトしていくという流れがいいでしょう。

 

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これが一冊(とくに証明問題)できるようになればもう中学までの内容は十分です。

もちろん自分に合うものをやればよいのですが,計算問題と証明問題が程よい 難易度で並んでいる問題集はなかなかありません。

やはりこの分野別過去問がおすすめです。

 

中学内容が8割できたら高校範囲の図形学習に


高校範囲の図形学習は,できる限り中学内容の目標が達成できてからにしてほしいところです。

公式を覚えて当てはめる訓練だけでなく,「なぜその公式が成り立つのか」の証明が非常に重要です。
身につけてほしいのは証明の中で使われている大切な技術や図形の見方なのです。

公式の証明の中には,初見では思いつかないような面白い技術や合同,相似の見つけ方,作り方などがたくさん入っています。
証明の中でこれらに触れていくことによって,見たことのない問題への対応力も効率よく身につけていくことができます。

 

三角比や図形の性質分野のポイント

その気持ちを忘れずに三角比や図形の性質分野の学習を進めてほしいと思います。

三角比の分野は,中学までは出てこなかった「三角比」という新しい概念を受け入れるところから始まります。

結局はただの比なのですが,まずは数値計算の練習をしてしっかりと自分の中で「当たり前」にしていく必要があります。
そこさえ乗り越えれば,むしろ図形問題で使える道具が増えるわけですか ら,必ず心強い味方になってくれます。

たくさん使ってはやく自分のものにしましょう。

おわりに


いかがだったでしょうか。

繰り返しになりますが,図形問題はとにかく積み重ねです。
それも正しく積み重ねていかないといつか必ず壁にぶつかることになります。

「目の前の問題が解ければ良い」という考え方を捨てて,「どんな問題が出てきても対抗できるような土台と実力をつける」勉強をしていきましょう。

これは比較的学習時間を確保できる非受験学年だからこそできることです。
いざ本格的に受験勉強を始めた時に困らないように,今できることを今のうちに頑張っておきましょう。

では,今回の記事はこの辺で。
また次の記事でお会いしましょう。

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